病気の解説

びまん性脱毛症

まず相談する診療科皮膚科
この解説の項目8項目

受診の目安

  • 洗髪やブラッシングのときの抜け毛が、以前よりはっきり増えたと感じるとき
  • 髪全体のボリュームが減った、分け目や頭のてっぺんが透けて見えるようになったとき
  • 出産、大きな手術、高い熱が出る病気、急な減量などのあとに抜け毛が増えたとき
  • だるさ、体重の変化、皮膚の症状など、髪以外の体の変化もあるとき

相談先は皮膚科です。抜け毛の原因はさまざまで、原因によって治療も変わります(日本皮膚科学会)。抜け毛が一時的に増えているだけなのか、髪が育ちにくくなっているのか、その両方なのかは、見た目や症状だけでは判断できません。皮膚科で確かめてもらうことが勧められています(米国皮膚科学会)。薬を飲んでいて、その副作用ではないかと心配なときも、自分の判断で薬をやめず、まず医師に相談してください(米国皮膚科学会)。

基本

びまん性脱毛症とは

「びまん性」は「全体に広がった」という意味で、頭の一部分だけでなく、髪全体が薄くなる抜け毛の状態をまとめて指す言葉です。一つの病気の名前ではなく、その背景にはいろいろな原因があります。日本皮膚科学会も、脱毛症は病名ではなく、毛を作る組織そのものが傷むタイプと、毛の生え変わりのリズムが乱れて抜け毛が増えるタイプに大きく分けられると説明しています(日本皮膚科学会)。

毛は生え変わるため、毎日ある程度抜けるのはふつうのことです(米国皮膚科学会)(MedlinePlus)。それを超えて抜け毛が増えたり、髪が細く育たなくなったりすると、全体が薄く見えるようになります。

主な症状

  • 抜け毛が急に増える:きっかけとなる出来事から数か月たってから、毎日の抜け毛がはっきり増えることがあります(米国皮膚科学会)。
  • 少しずつ薄くなる:女性では、生え際は保たれたまま、前髪の少し後ろから頭頂部にかけて薄くなっていく形が多いとされます(日本皮膚科学会)。体質によるこのタイプは、女性では全体がゆっくり薄くなる形で現れやすいとされます(米国皮膚科学会)。
  • 病気が背景にある場合は、髪以外の症状を伴うことがあります(日本皮膚科学会)。

原因・なりやすい要因

髪全体が薄くなる原因には、主に次のようなものがあります。

  • 体への大きな負担のあとの一時的な抜け毛(休止期脱毛):大きな手術、重い感染症、妊娠・出産、極端なダイエットなどのあと、毛の生え変わりのリズムが乱れて抜け毛が増えることがあります(日本皮膚科学会)。高い熱、強い精神的ストレス、経口避妊薬をやめたことなどもきっかけになるとされます(米国皮膚科学会)。
  • 女性型脱毛症:女性ホルモンの状態など、さまざまな要因が関わると考えられています。男性型脱毛症とは区別して扱われます(日本皮膚科学会)。
  • 体の病気:甲状腺の働きの低下、副腎の働きの低下、亜鉛不足、全身性エリテマトーデスなどの膠原病で抜け毛が起こることがあります(日本皮膚科学会)。糖尿病も原因の一つに挙げられています(MedlinePlus)。
  • 薬や治療の影響:一部の薬や抗がん剤、放射線治療の副作用として起こることがあります(日本皮膚科学会)(MedlinePlus)。
  • 栄養:たんぱく質の少ない食事や栄養不足も原因になりうるとされます(MedlinePlus)。

検査と診断

診断

皮膚科では、抜け毛が始まった時期やきっかけ、持病や飲んでいる薬などを聞き取り、頭皮と髪の状態を診察して、原因を探ります。病気が疑われる場合には、それに応じた検査が行われることがあります。抜け毛が増えているのか、髪が育ちにくくなっているのか、両方なのかを見分けることが、対策を決めるうえで大切とされます(米国皮膚科学会)。

治療

治療

治療は原因によって変わります(MedlinePlus)(日本皮膚科学会)。

  • 一時的な抜け毛:きっかけとなった負担がなくなり体が落ち着けば、抜け毛は止まっていくとされます(米国皮膚科学会)。
  • 病気や薬が原因の場合:もとの病気を治療したり、原因となる薬や治療が終わったりすると、髪が戻ってくることがあります(MedlinePlus)(米国皮膚科学会)。
  • 女性型脱毛症:日本皮膚科学会は、塗り薬のミノキシジルを最も勧められる治療とし、次に低出力の光・レーザーの照射を挙げています。これらは保険診療の対象外です。男性型脱毛症に使われる飲み薬(5α還元酵素阻害薬)は、女性では有効性が確立しておらず、妊娠時の問題などから使うべきではないとされています(日本皮膚科学会)。

治療を早く始めるほど見通しがよいことが多いとされます(米国皮膚科学会)。

日常生活の注意・セルフケア

治療中は、医療機関の指示を優先してください。抜け毛を確実に防ぐ方法はありませんが、次のような習慣が勧められています(日本皮膚科学会)。

  • 髪を強く引っぱる髪型を避け、カラーリングをあまり頻繁にしない
  • 自分に合ったシャンプーを使い、頭皮が乾きすぎたり脂っぽくなったりしない頻度で洗う
  • ビタミンやミネラルをとれるよう、バランスのよい食事を心がける
  • 無理をせず休息をとり、規則正しい生活を送る
  • ふだんから抜け毛の量や頭皮の様子を把握し、変化に早く気づけるようにする

経過と生活

経過

体への負担がきっかけの一時的な抜け毛であれば、多くは元に戻り、米国皮膚科学会は6〜9か月ほどで髪のボリュームが戻ることが多いとしています。ただし、負担が続いていると抜け毛も長引くことがあります(米国皮膚科学会)。体質による薄毛などは、治療で改善が期待できる人が多い一方、すべての人に効くわけではないとされます(米国皮膚科学会)。膠原病などが原因の場合、治療が遅れると毛が生えなくなる跡が残るおそれがあるため、早めの診断が大切とされています(日本皮膚科学会)。

皮膚科で扱うほかの病気

出典

日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 脱毛症」 / 米国皮膚科学会「Hair shedding」 / MedlinePlus「Hair Loss」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。