病気の解説
反社会性パーソナリティ障害
別名:ASPD、反社会性、反社会性パーソナリティ症、反社会性パーソナリティ障害者
受診の目安
- うそや約束違反、ルールを破る行動がくり返され、仕事や家庭、人間関係が何度も壊れてしまうとき
- かっとなりやすく、暴力やけんかにつながることが続くとき
- お酒や薬物の使い方をやめられない、危険な運転をしてしまうなど、自分や周りを危険にさらす行動があるとき
- 家族や身近な人がこうした行動に悩み、どう接すればよいか困っているとき
相談先は精神科です。本人が問題に気づきにくく、周りにすすめられて受診することも多い病気とされます(MedlinePlus)。似た行動は依存症やほかの心の病気でもみられるため、行動だけで病名を決めることはできません。診断は専門家が経過や生い立ちなどをていねいに聞き取って行います(MedlinePlus)。
基本
反社会性パーソナリティ障害とは
パーソナリティ障害は、考え方やふるまいの偏りが長く続き、対人関係や仕事、社会生活に大きな支障が出る心の病気のグループです(MedlinePlus)。反社会性パーソナリティ障害はその一つで、他人の権利や気持ち、社会のルールを軽んじ、だましたり利用したりする行動が長期にわたって続くことが特徴とされます(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)。診断は18歳以上で行われます(MSDマニュアル家庭版)。男性に多く、高齢になると少なくなることが知られています(MSDマニュアル家庭版)。
主な特徴
現れ方は人によって異なりますが、次のような傾向がみられることがあります(MSDマニュアル家庭版)(Cochrane)。
- 人をあざむく:自分の得や楽しみのために、うそをついたり人を操ったりします。人当たりがよく、魅力的にふるまうこともあります。
- 罪悪感が乏しい:相手を傷つけても、相手のせいにしたり、気にとめなかったりします。
- 衝動的:先の見通しを立てずに行動し、仕事や住まいを急に変える、危険な運転をする、といったことがあります。
- 攻撃的:怒りやすく、暴力に及ぶことがあります。
- 責任を果たさない:働く機会があっても仕事を続けない、支払いをしない、といったことがあります。
お酒や薬物の問題を合わせもつ人が多いとされ、注意欠如・多動症(ADHD)などほかの心の病気が重なることもあります(MSDマニュアル家庭版)(Cochrane)。
原因・なりやすい要因
はっきりした原因はわかっていませんが、生まれもった遺伝的な要因と、子どものころの環境の両方が関わると考えられています(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)。子ども時代の虐待やつらい体験は、パーソナリティ障害全般の要因の一つとされます(MedlinePlus)。親が同じ病気をもつ場合や、子どものころに素行の問題やADHDがあった場合に、なりやすいことが指摘されています(MSDマニュアル家庭版)。症状はふつう10代から成人期の初めに現れます(MedlinePlus)。
治療
治療
治療が難しい病気とされ、長期的に確実な効果が示された治療法はまだありません(MSDマニュアル家庭版)。
- 心理的な支援:パーソナリティ障害の治療の中心は、カウンセリングなどの精神療法です(MedlinePlus)。反社会性パーソナリティ障害では、望ましい行動の変化に報いる形の行動療法が用いられることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- 薬:攻撃性や衝動性などの特定の症状をやわらげる目的で、薬が使われることがあります(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。ただし、薬がこの病気そのものに役立つかどうかを判断できるだけの研究結果は、まだ十分にないとされます(Cochrane)。
- 合わせもつ問題への対応:お酒や薬物の問題、ほかの心の病気がある場合は、その治療も大切です。
子どものころの素行の問題に早く気づいて対応することが、のちの社会的な問題を減らすことにつながる可能性があるとされます(MSDマニュアル家庭版)。
経過と生活
経過
年齢を重ねるにつれて行動が落ち着いてくる人もいると考えられています(MSDマニュアル家庭版)。一方で、仕事や人間関係の困難、物質の乱用などを抱えやすく、平均よりも早く亡くなる傾向があるとも報告されています(Cochrane)(MSDマニュアル家庭版)。
精神科で扱うほかの病気
出典
MedlinePlus「Personality Disorders」 / Cochrane「Pharmacological interventions for people with antisocial personality disorder」 / MSDマニュアル家庭版「反社会性パーソナリティ症」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。