病気の解説
外胚葉形成不全症
受診の目安
- 暑いときや運動したときに汗をほとんどかかず、体に熱がこもってしまう(うつ熱)、原因のはっきりしない発熱をくり返す
- 歯がなかなか生えてこない、本数が少ない、とがった形や小さい歯がある
- 髪の毛やまゆ毛が生まれつき薄い、細くて伸びにくい
- 皮膚の乾燥が強い、湿疹がなかなか治らない
相談先は、子どもなら小児科、皮膚や汗の症状は皮膚科、歯の症状は歯科(小児歯科)です。歯の異常をきっかけに歯科医が最初に気づき、遺伝の専門医などに紹介されることも多いとされます(NIDCR)。これらの症状はほかの原因でも起こり、症状だけでこの病気と判断することはできません。
基本
外胚葉形成不全症とは
外胚葉形成不全症は、髪の毛、歯、爪、汗を出す腺(汗腺)など、皮膚とその仲間の組織がうまく形づくられない、生まれつきの病気の総称です(厚生労働科学研究 報告書)(MedlinePlus Genetics)。おなかの中の赤ちゃんの体の外側をつくる層(外胚葉)の発達に違いが生じることで起こり、多くの病型が知られています(NIDCR)。代表的なのは、汗がほとんど出ない、または少ない「無汗(低汗)性外胚葉形成不全症」です(MedlinePlus Genetics)(厚生労働科学研究 報告書)。
主な症状
どの組織にどの程度の症状が出るかは、病型によって、また同じ家族の中でも違います(NIDCR)。
- 汗・体温:汗腺が少ない、または働きが弱いため汗をかきにくく、体温を下げられずに熱がこもりやすくなります(MedlinePlus Genetics)(厚生労働科学研究 報告書)。
- 歯・口:歯の本数が少ない、とがった形や小さな歯、すき間の多い歯並び、歯が生えるのが遅い、エナメル質が弱くむし歯になりやすい、唾液が少なく口が乾く、などがみられます(NIDCR)(MedlinePlus Genetics)。
- 髪・爪:髪の毛が薄く、細く、伸びにくいことがあります。爪に変化が出る病型もあります(MedlinePlus Genetics)(厚生労働科学研究 報告書)。
- 皮膚:汗が少ないため皮膚が乾燥しやすく、湿疹やアトピー性皮膚炎を伴いやすいとされます(厚生労働科学研究 報告書)。
- 顔つき:額が出ている、鼻の付け根が低い、唇が厚いなどの特徴がみられることがあります(MedlinePlus Genetics)。
口唇裂・口蓋裂を伴う病型や、免疫・聴力・視力に影響する病型もあります(NIDCR)。知能や体の成長は通常は保たれるとされます(MedlinePlus Genetics)。
原因・なりやすい要因
遺伝子の変化によって起こります。親から受け継ぐ場合と、家族に同じ病気の人がいなくても新たに起こる場合があります(NIDCR)。無汗(低汗)性外胚葉形成不全症では、X染色体にある EDA という遺伝子の変化によるものが多く、主に男の子に症状が出ます。女性では症状が軽いことが多いとされます(MedlinePlus Genetics)(厚生労働科学研究 報告書)。ほかの遺伝子の変化によって、違う遺伝のしかたをとる場合もあります(MedlinePlus Genetics)。
検査と診断
診断
歯の数や形の異常から歯科医が気づき、X線検査で確かめることが多いとされます。そのうえで、遺伝の専門医やこの病気に詳しい医師が、髪・爪・汗腺など2つ以上の組織に症状があるかを確かめて診断します。必要に応じて遺伝子検査が役立つこともあります(NIDCR)。
治療
治療
病気そのものを治す治療はなく、それぞれの症状に合わせた対応が中心になります。
- 歯の治療:顔やあごの成長に合わせて段階的に行います。小さいうちは入れ歯、成長してからはかぶせ物や歯科インプラントなどが検討され、矯正治療が勧められることもあります(NIDCR)。
- 体温の管理:熱がこもらないよう、生活の中で体を冷やす工夫を続けることが大切です(MedlinePlus Genetics)(厚生労働科学研究 報告書)。
- 皮膚のケア:乾燥や湿疹に対して、皮膚科で保湿などのケアを受けます(厚生労働科学研究 報告書)。
早くから歯の治療を始めることで、話す・食べるといった働きや見た目を支えられるとされます(NIDCR)。
日常生活の注意・セルフケア
日常の過ごし方は病型や症状によって違うため、主治医の指示を最優先にしてください。
- 汗で体を冷やせないため、暑い環境では体温が危険なほど上がることがあり、命に関わる場合もあるとされます(MedlinePlus Genetics)。暑い時期や運動時は、室温の調整、こまめな水分補給、体を冷やす工夫を心がけ、ぐったりしている・様子がおかしいときは早めに医療機関に相談してください。
- 歯みがきや入れ歯の手入れは、子どもだけでは難しいため家族が手伝います。歯科で定期的に診てもらい、フッ化物の使い方なども相談しましょう(NIDCR)。
- 家族に同じ病気の人がいて妊娠・出産を考えている場合は、遺伝カウンセリングが役立つことがあります(NIDCR)。
経過と生活
経過
症状は生涯続くため、歯科や皮膚科などで長く診ていく必要があります(NIDCR)。体温の管理や歯の治療を適切に行うことで、勉強や仕事など日常生活への影響を減らせると考えられています(厚生労働科学研究 報告書)。
皮膚科で扱うほかの病気
出典
MedlinePlus Genetics「Hypohidrotic ectodermal dysplasia」 / NIDCR「Ectodermal Dysplasia」 / 厚生労働科学研究 分担研究報告書「無汗(低汗)性外胚葉形成不全症の疫学調査について」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。