病気の解説
逆流性食道炎
緊急性の高い症状
- 胸の痛みに息苦しさを伴う、あごや腕にも痛みが広がる:心臓の病気のサインのことがあり、すぐに医療機関にかかる必要があります(MedlinePlus)。胸やけと思っても自己判断せず、強い痛みがあるときは救急車(119番)を呼んでください。
- 血を吐いた、コーヒーのかすのようなものを吐いた、便が黒くてどろっとしている、便に血が混じる:消化管からの出血のサインとされ、すぐに受診が必要です(NIDDK)。
出典:MedlinePlus「GERD」、NIDDK「Symptoms & Causes of GER & GERD」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 胸やけ(みぞおちの上あたりが焼けるような感じ)や、酸っぱいものが上がってくる感じ(呑酸)が、くり返し起こるとき(日本消化器病学会)
- 市販薬や生活の見直しで良くならないとき(NIDDK)
- 飲み込みにくい・飲み込むと痛い、食欲がない、吐くことが続く、理由のわからない体重減少があるとき。これらは早めに受診すべきサインとされています(NIDDK)。
- 長引くせき、のどの違和感、声のかすれが続くとき(日本消化器病学会)(NIDDK)
相談先は消化器内科(または内科)です。胸やけに似た症状は、食道がんや消化性潰瘍などほかの病気でも起こるため、症状だけで判断はできません。薬を飲んでも症状が完全に良くならない場合は、内視鏡検査を受けることが勧められています(日本消化器病学会)。
基本
逆流性食道炎とは
胃の中の酸などが食道に逆流し、食道の粘膜がただれた状態を「逆流性食道炎」といいます(日本消化器病学会)。胃酸の逆流で不快な症状が出たり食道がただれたりする病気をまとめて「胃食道逆流症(GERD)」と呼び、逆流性食道炎はそのうち食道にただれがあるタイプです。ただれはないのに症状だけがあるタイプは「非びらん性逆流症」と呼ばれます(日本消化器病学会)。
胃食道逆流症は、最も多い胃腸の病気の一つとされます。命にかかわる病気ではありませんが、食事や睡眠、仕事など、日常生活の質を下げることがあるため、適切な対処が大切です(日本消化器病学会)。
主な症状
- 胸やけ:みぞおちの上や胸の真ん中が焼けるような、しみるような感じ(日本消化器病学会)(NIDDK)
- 呑酸:酸っぱい液体や食べたものが、のどや口まで上がってくる感じ(日本消化器病学会)(NIDDK)
- 胸が詰まるような痛み(日本消化器病学会)
- のどの違和感、長引くせき、声のかすれ(日本消化器病学会)(NIDDK)
逆流は食後2〜3時間までに起こりやすいとされます(日本消化器病学会)。一方で、食道にただれがあっても自覚症状がない人もいます(日本消化器病学会)。
原因・なりやすい要因
胃と食道のつなぎ目には、胃の中身が逆流しないようにするしくみがあります。このしくみが弱まったり、逆流した酸を胃に押し戻す食道の動きが弱かったりすると、酸が食道に長くとどまって粘膜がただれます(日本消化器病学会)(NIDDK)。
- 胃の一部が胸のほうにせり上がる「食道裂孔ヘルニア」(日本消化器病学会)(NIDDK)
- 肥満、喫煙(NIDDK)(日本消化器病学会)
- 食べすぎ、寝る前の食事、脂っこい食事(日本消化器病学会)
- 妊娠(NIDDK)
- 一部の薬(痛み止めの一部など)(NIDDK)
- 高齢の女性で、骨粗しょう症のために背中が丸くなり、お腹が圧迫されることも原因になりうるとされます(日本消化器病学会)。
検査と診断
診断
症状と、内視鏡検査(胃カメラ)で診断します。内視鏡で食道のただれが見つかれば、逆流性食道炎と診断されます(日本消化器病学会)。内視鏡検査は必須ではないものの、食道がんなどほかの病気でないことを確かめるために、できるだけ受けることが望ましいとされます(日本消化器病学会)。
治療
治療
- 胃酸を抑える薬:治療の中心です。プロトンポンプ阻害薬(PPI)や、より強く胃酸を抑えるP-CABを使います。多くの場合、4〜8週間ほどの服用で症状が良くなり、ただれも治るとされます(日本消化器病学会)。
- 補助的な薬:酸を中和する薬や粘膜を守る薬、消化管の動きを良くする薬、漢方薬が一緒に使われることがあります(日本消化器病学会)。
- 治療を続けるかどうか:ただれが重かった人では、薬をやめると食道が狭くなるなどの合併症につながる可能性があるため、症状が良くなっても薬を続けることが勧められます。軽い人では、症状が出たときだけ飲む方法がとられることもあります。飲み方は主治医と相談して決めます(日本消化器病学会)。
- 手術:薬で十分に良くならない場合や、大きな食道裂孔ヘルニアがある場合などには、逆流を防ぐ手術(多くは腹腔鏡手術)が検討されることがあります(日本消化器病学会)。
日常生活の注意・セルフケア
治療中は、医療機関の指示を最優先にしてください。
- とくに効果が確かめられているのは、太り気味の人の減量と、上半身を少し高くして寝ることです(日本消化器病学会)。
- 食べすぎや寝る前の食事を避け、脂っこい食事、甘いもの、お酒、チョコレート、コーヒー、炭酸飲料、柑橘類など、症状を起こしやすいものに気をつけます(日本消化器病学会)。
- お腹をきつく締めつける服装、重い物を持つこと、前かがみの姿勢を避けます。禁煙も大切です(日本消化器病学会)。
どの工夫がどのくらい効くかには個人差があります(日本消化器病学会)。
経過と生活
経過
軽い逆流性食道炎は、多くの場合重いタイプに悪化することはなく、自然に治る人もいるとされます(日本消化器病学会)。一方、ただれが重い場合は、治療しないと出血したり食道が狭くなったりすることがあります(日本消化器病学会)。治療しないままだと、食道の粘膜の性質が変わる「バレット食道」などにつながることもあるとされます(MedlinePlus)(日本消化器病学会)。
逆流性食道炎と関係する症状
症状のページでは、同じ症状が出るほかの病気や受診の目安も確認できます。
消化器内科で扱うほかの病気
出典
日本消化器病学会「患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド2023」 / NIDDK「Symptoms & Causes of GER & GERD」 / MedlinePlus「GERD」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。