要因Aは疾患Bのリスクファクターであると判定するために不可欠なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
危険因子(リスクファクター)とは、疾患の発症確率を高める要因であり、その要因が疾患の発症よりも時間的に先行していることが、危険因子であると判断するための最も基本的な要件です。他の選択肢は、因果関係を強化する証拠にはなり得ますが、不可欠な条件ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 要素Cが危険因子であるとしても、病気Dの患者全員がその因子を持っているとは限りません。他の危険因子や原因も存在しうるため、この選択肢は不可欠な条件ではありません。正しくは:病気Dの患者において、要素Cの保有率が高い傾向があること。選びやすい理由:一見すると原因と結果の関係を示しているように見えるため選びやすいかもしれませんが、危険因子は『発症のリスクを高めるもの』であり、『全ての発症者に存在する』とは限りません。混同注意:必要条件(疾患があれば必ず因子が存在する)とリスクファクターの定義(疾患のリスクを高める因子)を混同している可能性があります。
- 2. 正解。危険因子(リスクファクター)は、疾患の発症に先行して存在し、その発症確率を高めるものです。時間的な前後関係(先行性)は、原因と結果の関係を評価する上で不可欠な基準であり、危険因子であると判定するための最も基本的な条件です。
- 3. 要素Cが危険因子であっても、それが唯一の危険因子であるとは限りません。要素Cがなくても、他の危険因子によって病気Dが発症する可能性は十分にあります。これは「必要条件」であり、リスクファクターの定義とは異なります。正しくは:要素Cがない場合、病気Dの発症リスクが有意に低いこと。選びやすい理由:因果関係が非常に強い場合を想像し、これが決定的な条件だと誤解しやすいです。しかし、複数の危険因子がある疾患では、どれか一つがなくても発症する可能性は残ります。混同注意:要素Cが病気Dの『必要条件』であることと、病気Dの『リスクファクター』であることの区別がついていない可能性があります。リスクファクターは必ずしも必要条件ではありません。
- 4. 量反応関係(dose-response relationship)は、危険因子と疾患の関連性をより強く支持する重要な証拠の一つですが、不可欠な条件ではありません。量反応関係が明確でなくても、危険因子であると判定されるケースはあります。正しくは:要素Cの量や期間と、病気Dの発症率の間に明確な関連性が認められると、危険因子であることの証拠を強化する。選びやすい理由:因果関係を強く示唆する強力なエビデンスであるため、これを選ぶ人が多いかもしれません。しかし、あくまで『強化する証拠』であり、『不可欠な条件』ではありません。混同注意:因果関係の判断基準(ブラッドフォード・ヒルの基準など)における『量反応関係』の重要性と、『最も不可欠な条件』の区別がついていない可能性があります。
- 5. 動物実験による再現性は、因果関係を支持する強力な証拠ですが、人間における疾患の危険因子を特定する上で必ずしも不可欠な条件ではありません。人間を対象とした疫学研究によって危険因子が特定されることが多く、動物実験での再現が難しいケースも存在します。正しくは:要素Cにさらされると病気Dが発症することを動物実験で再現できると、危険因子であることの証拠を強化する。選びやすい理由:実験的証拠は非常に説得力があるため、これを選ぶ人もいるかもしれません。しかし、疫学的な危険因子の特定において、必ずしも動物実験での再現性が求められるわけではありません。混同注意:因果関係の判断基準(ブラッドフォード・ヒルの基準など)における『実験的証拠』の重要性と、『最も不可欠な条件』の区別がついていない可能性があります。
国試ポイント
疫学における因果関係の判断基準、特に危険因子(リスクファクター)の定義と、その成立に不可欠な条件(時間的先行性)を理解しているかどうかが問われています。ブラッドフォード・ヒルの因果関係の基準を念頭に置くと理解が深まりますが、この問題では『不可欠な』という点が重要です。
混同注意
ブラッドフォード・ヒルの因果関係の基準(先行性、関連性の強さ、一貫性、特異性、時間的関係、量反応関係、生物学的妥当性、コヒーレンス、実験的証拠、類推)のうち、どれが『最も不可欠』かという点で迷いやすい。特に「量反応関係」や「動物実験での再現性」は強力な証拠であるため、それらを選んでしまいがちですが、これらは不可欠ではなく、先行性が最も重要です。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、まず『要因が疾患より先に存在しているか』という時間的な前後関係に注目する。次に、他の要因(関連の強さ、一貫性、量反応関係など)が因果関係をどれだけ補強するかを評価する。
関連知識
ブラッドフォード・ヒルの因果関係の判断基準、コッホの原則、疫学研究の種類(コホート研究、症例対照研究、横断研究)。特にコホート研究は、曝露と疾患の時間的先行性を確認するのに適しています。