Aさん(78歳、女性、要支援1)は1人で暮らしており、認知機能や嚥下機能の低下はない。訪問看護師は、内科と整形外科から朝2種類、夕3種類の合計5種類の内服薬が処方されていることを確認し、夕方に飲む薬だけが減っていることに気付いた。訪問看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Aさんは認知機能や嚥下機能に問題がなく、要支援1で一人暮らしをしている状況です。夕方の薬だけが減っていないという情報から、何らかの理由で夕方の服薬が適切に行われていないことが推測されます。この段階で最も重要なのは、具体的な服薬状況(いつ、どの薬を、どのように服用しているか)をAさん自身から詳しく聞き取り、問題の根本原因を特定することです。原因が分からなければ、適切な介入策を立案できません。そのため、「どの薬を何時に内服しているのかを聞く」ことが、情報収集の第一歩として最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。服薬状況を正確に把握するためには、まずAさん自身がどのように薬を管理し、いつ、どの薬を服用しているのかを具体的に聞くことが不可欠です。夕方の薬が減っていない状況の背景にある原因(飲み忘れ、飲み間違い、服用拒否など)を特定するために、具体的な情報を得るための最初のステップとして最も適切です。選びやすい理由:すぐに解決策を提示したくなるが、まずは情報収集が基本。混同注意:他の選択肢は具体的な介入策であるため、一見有効に見えるが、状況把握が先決。
- 2. Aさんには嚥下機能の低下がないため、服薬補助ゼリーの使用は直接的な解決策にはなりません。現在の問題は服薬の管理や習慣にあると考えられ、嚥下補助は問題の本質とは異なります。正しくは:服薬補助ゼリーの提案は、嚥下機能に問題がある場合に検討すべき対応です。選びやすい理由:高齢者における服薬困難への一般的な対策であるため。混同注意:嚥下機能の低下がないという前提条件を見落とすと、この選択肢を選んでしまう可能性がある。
- 3. Aさんは認知機能の低下がないため、服薬の必要性を理解できていない可能性は低いと考えられます。単に必要性を説明するだけでは、夕方の薬が減っていない根本原因(飲み忘れ、飲み間違い、自己判断での中断など)の解決には繋がりません。すでに処方されており、その内容は説明されている可能性が高いです。正しくは:薬の必要性だけでなく、具体的な服薬方法や注意点、飲み忘れの原因などを探る説明に重点を置く必要があります。選びやすい理由:薬の重要性を認識させることは必要だと感じるため。混同注意:認知機能が低下していないという情報から、説明すれば理解すると誤解する可能性がある。
- 4. 介護予防訪問介護における服薬介助は、利用者が自己管理できない場合に検討されるサービスです。Aさんは要支援1で認知機能の低下がなく、まずは自己管理能力を確認し、可能な限り自立を支援することが重要です。いきなり他者による介助を導入するのは早計であり、Aさん自身の能力を阻害する可能性もあります。正しくは:服薬管理の状況や、Aさん自身の意向を十分に把握した上で、必要に応じて他のサービスを検討すべきです。選びやすい理由:高齢者の服薬管理が困難な場合の一般的な解決策であるため。混同注意:要支援1という情報から、介護サービス導入を直感的に選択してしまう可能性があるが、本人の自立支援が優先される。
国試ポイント
高齢者の服薬管理に関する問題では、まず患者の状態(認知機能、嚥下機能など)と現状の服薬状況を正確に把握するための情報収集が初期対応として最も重要であることを理解しているかが問われます。安易に介助や補助具の導入を勧めるのではなく、患者の自立支援の視点を持つことが求められます。
混同注意
他の選択肢は、一見すると高齢者の服薬問題への対応として適切に思えるものも含まれますが、Aさんの具体的な状況(特に認知機能・嚥下機能の低下がないこと)と、問題の初期段階における対応として、最も優先すべきは原因の特定のための情報収集であるという点で判断が分かれます。
次に同じ論点が出たら
情報収集後、得られた情報に基づいて、飲み忘れの具体的な原因(例:薬の整理ができていない、服用を忘れる時間帯がある、面倒に感じるなど)を特定し、それに応じた介入策(例:服薬カレンダーの活用、一包化の検討、服薬指導の強化、必要に応じた他職種連携など)を検討します。
関連知識
高齢者の薬物療法の原則、ポリファーマシーとその対策、高齢者の服薬アドヒアランス向上のための支援、介護保険サービス(訪問看護、介護予防訪問介護など)の利用基準と役割。