手指の巧緻性向上を目的とした作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
手指の巧緻性を向上させるためには、指先を使った細かい操作や、両手の協調的な動きが求められる活動が適切です。籐細工の編み込みとマクラメ編みの平結びは、どちらも指先で細い材料を精密に操作し、複雑な手順で結んだり編んだりする作業であり、指の分離運動、つまみ動作、両手動作、視覚運動協調性などを効果的に促進します。
選択肢ごとの解説
- 1. 菊練りは、粘土の空気を抜き、均一にするために行う作業です。主に手のひら全体や腕、体幹の力を使い、大きな動きと全体的な協調性が要求されるため、指先の巧緻性向上には直接結びつきにくいです。正しくは:陶芸で指先の巧緻性を高める場合は、小さなパーツを指先で形作ったり、細かい模様を施したりする作業が該当します。選びやすい理由:陶芸は手を使うものづくりであり、一見すると繊細な作業も含まれるように思えるため、選びやすいかもしれません。混同注意:陶芸における「成形」や「装飾」など、他のより細かい作業と混同されやすいです。
- 2. 正解。籐細工の編み込みは、細くしなやかな籐の材料を指先で挟んだり、通したり、ねじったりする精密な操作を伴います。この作業は、指先の繊細な動き、巧みな操作能力、両手の協調性を高めるのに非常に適しています。
- 3. 正解。マクラメ編みの平結びは、複数の紐を指先で正確に操作し、定められた順序で結びつけていく作業です。細かい紐の把持、指先での細かい運動、左右の手の協調性、そして集中力が必要とされ、手指の巧緻性を効果的に向上させることができます。
- 4. 木版画の摺りは、バレンや手のひらを使って、版木に付いたインクを紙に均等に転写する作業です。これは主に腕や手全体の大きな動きと、均一な圧力をかけるコントロールが要求され、指先の独立した精密な動きよりも、広い範囲での手のひらや腕の安定した動きが中心となります。正しくは:木版画で巧緻性を高めるのであれば、彫刻刀を使って細かい部分を彫り進める作業が該当します。選びやすい理由:版画は芸術的な創作活動であり、繊細なイメージがあるため、選びやすいかもしれません。混同注意:木版画の「摺り」は、同じ版画制作過程にある「彫り」の工程とは異なるスキルを要求されます。「彫り」は指先の巧緻性をより必要とします。
- 5. 鋸挽きは、のこぎりを使って木材を切断する作業です。これは主に腕全体や体幹を使った大きな往復運動と筋力、持続性が要求される粗大運動であり、指先の巧緻性向上には直接寄与しません。正しくは:木工で巧緻性を高めるのであれば、小さな部品の組み立てや、やすりを使って細かい部分を仕上げる作業などが挙げられます。選びやすい理由:木工は手を使って何かを作る活動であり、手の機能を使うため、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:木工における、より精密な「彫刻」や「細かい組み立て」といった作業と混同されやすいです。
国試ポイント
この問題は、作業療法における活動分析の基礎知識、特に「手指の巧緻性」という目的達成のためにどのような活動が適切かを判断する能力を問うものです。粗大運動と微細運動(巧緻性)を区別し、各活動がどのような身体機能に影響するかを理解しているかが試されます。
混同注意
「手を使う作業全般」と「手指の巧緻性を要する作業」を混同しやすい点が挙げられます。力がいる作業や腕全体を動かす作業も手を使いますが、指先の器用さとは異なる能力が求められます。また、ものづくり系の活動は、工程によって要求される能力が大きく異なるため、具体的な動作内容を詳細に把握していないと誤答につながりやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された際は、提示された活動が、①指の個々の動きをどの程度要求するか、②細かいものを精密に操作する要素があるか、③両手の協調的な細かい作業が含まれるか、④筋力や腕全体の大きな動きが主でないか、という点に着目して判断すると良いでしょう。
関連知識
手指の巧緻性に関する評価方法(例:Purdue Pegboard Test、Nine Hole Peg Testなど)、さまざまな手技(つまみ動作、把握動作、操作動作)の種類と、それぞれの獲得に必要な能力、対象者の発達段階や疾患特性に応じた活動選択の原則、作業活動の適応と禁忌。