「自分がやっていることなのに、自分がやっている感じがしない」と訴える患者の症状はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
離人症状は、自己の精神活動や身体が、自分のものではないように感じられるという自己体験の変容を特徴とします。患者は「自分が何か行動しているにもかかわらず、その行為がまるで自分のものではないように感じられる」と訴えており、これは自身の主体性や同一性の感覚が失われるという離人症状の典型的な表現です。
選択肢ごとの解説
- 1. 恐怖症は、特定の対象や状況に対して、不合理で強い恐怖と回避行動を示す精神症状であり、問題文の「行為が自分のものではないように感じられる」という訴えとは異なります。正しくは:恐怖症は、特定の対象や状況に対する強い恐怖反応です。選びやすい理由:精神症状の一つとして選択肢に挙がっているため、混同される可能性がありますが、内容は全く異なります。混同注意:不安障害全般
- 2. 拒絶症という用語は精神医学の正式な診断名としては一般的ではありません。特定の行動や食物などを拒否する状態を指すことはありますが、問題文の訴えとは直接関連しません。正しくは:拒絶症は医学用語として一般的ではなく、拒食症(摂食障害)など具体的な症状を指す場合があります。選びやすい理由:「〜症」という名称から何らかの精神症状を想起させる可能性があります。混同注意:拒食症などの特定の症状や行動
- 3. 正解。離人症状は、自己の思考、感情、身体、行動などが自分のものではないように感じられる体験の変容を指します。問題文の「自分が何か行動しているにもかかわらず、その行為がまるで自分のものではないように感じられる」という訴えは、まさに離人症状の典型的な表現です。選びやすい理由:問題文の記述と合致するため、正しい選択肢として明確です。混同注意:現実感喪失、感情鈍麻
- 4. 心気症状は、身体的な症状を過度に気にし、重篤な病気であると思い込む状態を指します。問題文の訴えは身体の異常ではなく、行為の主体性の感覚の異常であるため、心気症状とは異なります。正しくは:心気症状は、身体の不調を重篤な病気と思い込む状態です。選びやすい理由:精神症状の一つであるため、混同される可能性がありますが、その内容は大きく異なります。混同注意:身体表現性障害、不安障害
- 5. 感情鈍麻は、喜び、悲しみ、怒りといった感情の体験や表出が乏しくなる状態を指します。問題文の「行為が自分のものではないように感じられる」という訴えは、感情の障害ではなく、自己の主体性や同一性の感覚の障害であるため、感情鈍麻とは異なります。正しくは:感情鈍麻は、感情の体験や表現が乏しくなる状態です。選びやすい理由:統合失調症などの精神疾患でみられる症状であり、他の精神症状と混同される可能性があります。混同注意:無関心、快感消失
国試ポイント
離人症状は、自己の体験が非現実的であると感じられる精神症状の一つであり、うつ病、不安障害、PTSD、統合失調症など、様々な精神疾患でみられます。特に、自己の身体や行動が自分のものではないように感じられる感覚を理解することが重要です。
混同注意
離人症状は現実感喪失と混同されやすいですが、離人症状は自己の変容を、現実感喪失は外界の変容を指します。また、感情鈍麻や無関心とも異なります。感情鈍麻は感情の表出や体験が乏しくなる状態を指し、行動の主体性の喪失とは直接関係ありません。
次に同じ論点が出たら
「自分ではない」「現実ではない」といった主体性や外界の変容に関する訴えがあった場合、それが自己の体験か、外界の体験かを見極め、離人症状や現実感喪失の概念を適用できるかを判断します。
関連知識
離人感・現実感喪失性障害は、持続的または反復性の離人感または現実感喪失エピソードが中心となる障害です。DSM-5では解離性障害群に分類されます。ストレスや精神的な外傷が誘因となることも多く、患者は自己の体験の異常さを認識していることが多い点が特徴です。