精神遅滞の発症と関連がない疾患はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ワレンベルグ症候群は脳幹の血管障害によって引き起こされる神経症候群であり、知能の発達とは直接的な関連がありません。一方、クラインフェルター症候群、プラダー・ウィリー症候群、ターナー症候群、ウエスト症候群はいずれも、程度の差はあれ、精神発達遅滞や学習障害などの発達上の問題を伴うことが知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. クラインフェルター症候群は性染色体異常(XXY)によるもので、高身長や男性不妊などの特徴に加え、精神発達遅滞や学習障害を伴うことがあります。正しくは:この症候群は、精神発達遅滞や学習障害を伴うことがあります。選びやすい理由:染色体異常症は知的障害と関連が深いため、比較的正答と判断しにくい選択肢です。混同注意:他の染色体異常症(例:ターナー症候群)と、知的障害との関連性について混同する可能性があります。
- 2. プラダー・ウィリー症候群は特定の染色体異常(15番染色体長腕の微細欠失など)による遺伝性疾患で、新生児期の筋緊張低下、幼児期からの過食と肥満、低身長、性腺機能不全とともに、精神発達遅滞を伴うことが特徴です。正しくは:この症候群は、精神発達遅滞を伴うことが特徴です。選びやすい理由:遺伝子疾患であるため、発達障害を伴うことが多いという知識があれば、関連があると判断しやすいでしょう。混同注意:他の遺伝子疾患や症候群の症状と混同する可能性があります。
- 3. ターナー症候群は性染色体異常(XO)によるもので、低身長や卵巣機能不全などが特徴です。一般的に重度の精神発達遅滞は伴わないとされていますが、学習障害や視空間認知障害を伴うことが多く、広義の発達上の問題として関連が見られます。正しくは:この症候群は、学習障害や視空間認知障害を伴うことが多く、広義の発達上の問題と関連が見られます。選びやすい理由:「精神遅滞は伴わない」という情報のみを知っている場合、誤って関連がないと判断してしまう可能性があります。しかし、学習障害はしばしば伴うため、広義には関連があると言えます。他の選択肢と比較すると、知的障害との関連性が相対的に低いと誤解しやすいです。混同注意:クラインフェルター症候群など他の染色体異常症との違い、特に知的障害との関連性の有無や程度について混同しやすいです。
- 4. 正解。ワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)は、脳幹(延髄)の血管障害(主に後下小脳動脈の閉塞)によって引き起こされる神経症候群です。めまい、嚥下障害、構音障害、顔面や体幹の温痛覚障害などが主な症状であり、知能の発達遅滞とは直接的な関連がありません。選びやすい理由:他の選択肢が全て「〜症候群」という名称で、神経系の疾患であることから、何らかの発達障害と関連があるのではないかと誤って推測する受験生がいるかもしれません。混同注意:他の神経疾患や脳血管障害の後遺症との混同、あるいは脳の疾患であれば何でも精神発達遅滞と関連があると誤解する可能性があります。
- 5. ウエスト症候群は乳幼児期に発症する重篤なてんかん症候群の一つで、特徴的なてんかん発作(点頭てんかん)、脳波上のヒプスアリスミア、そして重度の精神発達遅滞の三徴を伴うことが特徴です。正しくは:この症候群は、重度の精神発達遅滞を伴うことが特徴です。選びやすい理由:てんかんが精神発達遅滞と関連があることは広く知られているため、知識があれば適切に判断できるでしょう。混同注意:他のてんかん症候群(例:レノックス・ガストー症候群)と混同し、その症状の詳細を正確に把握していない場合に判断に迷う可能性があります。
国試ポイント
この問題では、特定の症状や状態(ここでは精神発達遅滞/知的障害)を引き起こす可能性のある疾患と、そうでない疾患を区別する知識が問われます。特に、遺伝性疾患やてんかん性脳症など、発達障害と関連の深い疾患の知識が求められます。様々な「症候群」の名称とその主な臨床像、関連する発達障害の有無を正確に判断する能力が必要です。
混同注意
多くの「症候群」名が並んでいるため、それぞれの疾患の病態、主要症状、そして特に精神発達遅滞との関連性の有無を正確に記憶していないと判断に迷いやすいです。特にターナー症候群のように、知的障害そのものは伴わないとされることが多いが学習障害を伴うケースでは、広義の「精神発達の遅れ」との関連性について解釈が難しく感じるかもしれません。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題された場合、受験生はまず各疾患が中枢神経系にどのような影響を与えるか、特に認知機能や発達に影響を及ぼす部位やメカニズムを理解しているかが問われます。また、精神遅滞/知的障害を引き起こす可能性のある他の疾患(例:フェニルケトン尿症、先天性甲状腺機能低下症、脆弱X症候群、脳性麻痺など)についても知識を広げ、鑑別できる能力が求められます。
関連知識
知的障害(精神遅滞)の診断基準と重症度分類、各染色体異常症(ダウン症候群、XXY、XOなど)の臨床像、遺伝子疾患(プラダー・ウィリー症候群など)の臨床像、てんかん性脳症(ウエスト症候群など)の臨床像、脳血管障害(ワレンベルグ症候群など)による局所症状とそれらが引き起こす機能障害に関する知識が必要です。