Eriksonの発達段階で成人前期に獲得すべき課題はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
エリクソンの心理社会的発達段階において、成人前期(青年期のアイデンティティ確立後から成人中期の間、一般的には18歳頃から40歳頃)に中心となる課題は「親密性 vs 孤立」です。この時期には、自己のアイデンティティを確立した上で、他者との深い信頼に基づいた親密な関係(友情、恋愛、結婚など)を築くことが求められます。この課題をうまく達成することで、共感性や愛を育むことができます。他の選択肢は、エリクソンの異なる発達段階の課題です(勤勉性は学童期、自律性は幼児前期、生殖性は成人中期、統合性は老年期)。
選択肢ごとの解説
- 1. 勤勉性は、エリクソンの発達段階では学童期(約6歳から12歳)の課題であり、「勤勉性 vs 劣等感」として、自己の能力を肯定的に評価し、社会的役割を学ぶ時期に対応します。成人前期の課題ではありません。正しくは:成人前期の課題は親密性です。勤勉性は学童期の課題です。選びやすい理由:社会で働く成人にとって勤勉さは確かに重要ですが、これはエリクソンが提唱する発達理論における特定の心理社会的課題の時期とは異なります。混同注意:成人の一般的な社会的能力や責任感と、エリクソンの発達段階で定義される特定の心理社会的課題としての「勤勉性」の概念を混同しやすいです。
- 2. 自律性は、エリクソンの発達段階では幼児前期(約1歳半から3歳)の課題であり、「自律性 vs 恥・疑惑」として、自己の意思を持ち、独立して行動しようとする時期に対応します。成人前期の課題ではありません。正しくは:成人前期の課題は親密性です。自律性は幼児前期の課題です。選びやすい理由:成人として精神的・身体的に自立していることは当然と考えるかもしれませんが、エリクソン理論における「自律性」は、より初期の発達段階で確立される自己決定能力を指します。混同注意:一般的な「自立」という言葉の概念と、エリクソンが特定の幼児期に設定した発達課題としての「自律性」を混同しやすいです。
- 3. 正解。エリクソンの発達理論において、成人前期(およそ18歳から40歳頃)の主要な課題は「親密性 vs 孤立」です。この時期に、自己のアイデンティティを確立した上で、他者との深い愛情関係や友情を築き、親密な人間関係を形成することが求められます。
- 4. 生殖性は、エリクソンの発達段階では成人中期(約40歳から65歳頃)の課題であり、「生殖性 vs 停滞」として、子育てや仕事を通じて次世代を育成したり、社会に貢献したりすることに対応します。成人前期の課題ではありません。正しくは:成人前期の課題は親密性です。生殖性は成人中期の課題です。選びやすい理由:成人前期に結婚や出産が始まる人が多いため、生殖性がこの時期の課題のように感じるかもしれませんが、エリクソンが定義する「生殖性」は、より広範な意味での次世代への関わりや社会貢献を指し、成人中期の主要課題とされています。混同注意:成人前期に始まる結婚や出産といったライフイベントと、エリクソンが示す成人中期の心理社会的課題「生殖性」の概念を混同しやすいです。
- 5. 統合性は、エリクソンの発達段階では老年期(約65歳以降)の課題であり、「統合性 vs 絶望」として、これまでの人生を振り返り、全体として意味のあるものとして受け入れ、自己を統合することに対応します。成人前期の課題ではありません。正しくは:成人前期の課題は親密性です。統合性は老年期の課題です。選びやすい理由:成人前期に人生の方向性を見つめ直したり、自己のアイデンティティを確立したりする過程と混同して、統合性を選択してしまう可能性がありますが、エリクソンが言う統合性は、人生の終末期に訪れる課題です。混同注意:成人前期のアイデンティティ確立の延長線上にある自己認識と、老年期における人生全体の意味づけや受容を混同しやすいです。
国試ポイント
エリクソンの発達段階理論は、国家試験で頻繁に出題される重要な概念です。特に、各段階における主要な心理社会的課題と、それが達成された場合/達成されなかった場合に生じる心理的状態(対となる概念)を正確に理解しているかが問われます。年代と課題の対応、または具体的な事例と課題の関連を問う問題が多い傾向にあります。
混同注意
各発達段階の年齢区分が厳密ではなく曖昧であること、また、各段階の課題名称が一般的な言葉の意味合いと混同されやすい点が間違いやすいポイントです。例えば、「自律性」や「勤勉性」は成人にとっても重要な特性ですが、エリクソン理論では特定の初期発達段階の課題として定義されています。また、「生殖性」も成人前期に結婚や出産が始まることから、成人前期の課題だと誤解されがちですが、エリクソンが提唱する生殖性は、より広範な次世代の育成や社会貢献を指し、成人中期の課題です。
次に同じ論点が出たら
次にエリクソンの発達段階に関する問題が出題された場合、まず『どのライフステージの課題を問われているか』を正確に把握し、そのステージに該当する『心理社会的課題とその対となる概念』を確実に思い出すようにしましょう。特に、青年期から老年期にかけての成人期の課題(アイデンティティ、親密性、生殖性、統合性)は混同しやすいため、それぞれの概念が指す具体的な内容と年齢範囲を再確認することが重要です。
関連知識
エリクソンの発達段階理論の全8段階とその対となる概念(例:乳児期:基本的信頼 vs 不信)、各段階で獲得される力(例:青年期:忠誠)を理解することが基礎となります。また、フロイトの心理性的発達段階やピアジェの認知発達段階など、他の主要な発達理論との比較も重要です。ハヴィガーストなどのライフサイクル理論や成人期の発達課題に関する他の理論も関連知識として挙げられます。