発症が労働衛生環境に関連しないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
大腿骨頭すべり症は主に思春期に発生する股関節の疾患であり、その発症は肥満、ホルモンバランス、急速な成長など、労働環境とは直接関連しない要因が主です。一方、じん肺、腰痛症、頸肩腕症候群、レイノー症候群は、それぞれ粉塵曝露、反復作業、不良姿勢、振動工具の使用など、特定の労働衛生環境や職業上の要因と深く関連する可能性のある疾患や症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. じん肺は、粉塵の吸入が原因で肺に線維化が起こる職業性疾患の典型例であり、鉱業、建設業、特定の製造業など、粉塵の多い労働環境で発生します。選びやすい理由:じん肺が職業病であることは広く知られているため、これが正答ではないと判断しやすいでしょう。混同注意:喫煙など他の肺疾患の原因と混同する可能性もありますが、じん肺は職業性曝露が主因です。
- 2. 繰り返しの重量物運搬、長時間の同一姿勢、振動、不適切な作業姿勢などは、労働に関連する腰痛症の主要な原因となり得ます。選びやすい理由:腰痛は一般的な症状であるため、必ずしも職業と関連しないと考える人もいるかもしれませんが、職業性腰痛は重要な概念です。混同注意:一般的な生活習慣や加齢による腰痛と、職業に起因する腰痛を混同する可能性があります。
- 3. 長時間のVDT作業(コンピュータ作業)、反復作業、不自然な姿勢での作業などは、頸肩腕症候群のリスクを高め、職業性疾患として認定されることがあります。選びやすい理由:日常生活でも起こりうる症状であるため、職業との関連が薄いと誤解する可能性があります。混同注意:加齢や姿勢の悪さによる一般的な症状と、職業性の反復動作やストレスによる症状を混同する可能性があります。
- 4. 振動工具の使用(振動病)や寒冷環境での作業は、二次性レイノー現象(レイノー症候群)を引き起こす主要な職業性要因の一つです。選びやすい理由:レイノー病(原発性)とレイノー症候群(二次性)の区別が曖昧な場合、職業との関連性を見落とす可能性があります。混同注意:原発性レイノー病と、振動障害などの職業性要因による二次性レイノー症候群を混同する可能性があります。
- 5. 正解。大腿骨頭すべり症は、成長期の思春期に多く見られる股関節の疾患で、ホルモンバランスの変化、肥満、急速な成長などが関連するとされています。労働衛生環境や職業上の要因とは直接的な関連がほとんどありません。選びやすい理由:成長期の疾患であるため、他の選択肢が職業病の可能性が高いことから消去法で選ばれやすい選択肢です。
国試ポイント
職業性疾患(職業病)に関する基本的な知識が問われています。特に、一般的な疾患や症状が職業とどのように関連するか、また全く関連しない疾患を識別する能力が求められます。
混同注意
一般的な症状(腰痛、頸肩腕症候群など)が、必ずしも職業病ではないという認識と、職業性要因によって発症・悪化する「職業病としての側面」を持つことの区別。また、原発性疾患と職業性要因による二次性疾患の区別(例:原発性レイノー病 vs. 振動病によるレイノー症候群)も混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が問われた際には、各選択肢の疾患がどのような原因で発症するかを思い浮かべ、特に「職業性」というキーワードに注目し、労働環境のどんな因子が関与するかを具体的に考えることが重要です。他の疾患が職業性疾患として広く知られているか、あるいは特定の職業でリスクが高いかを判断基準としましょう。
関連知識
職業性疾患の種類と原因(物理的因子、化学的因子、生物学的因子、作業態様など)、労働安全衛生法、労災保険制度における疾病の認定基準、特定の職業に特徴的な健康リスク、生活習慣病と職業病の鑑別などが関連知識として挙げられます。