神経性無食欲症で生じやすいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
神経性やせ症(拒食症)の患者は、低栄養状態であるにもかかわらず、甲状腺機能の低下様状態や肝臓における脂質代謝の異常が起こるため、血液中の総コレステロールやLDLコレステロール値が高くなることが特徴的な所見として知られています。他の選択肢は、神経性やせ症で通常みられる生理的・検査的な変化とは逆の状態を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 神経性やせ症の患者では、活動量の低下や代謝の抑制、心機能の低下により、心拍数が減少する徐脈が一般的に観察されます。正しくは:心拍数の減少(徐脈)選びやすい理由:精神的ストレスや疾患による負担から、心拍数が上がるのではないかと思いやすいかもしれません。混同注意:他の原因による頻脈や、一般的な「体調が悪い」と心拍数が上がるというイメージと混同することがあります。
- 2. 神経性やせ症では、循環血液量の減少や自律神経系の調節異常、心拍出量の低下などが原因で、血圧が低下する低血圧がよくみられます。正しくは:血圧の低下(低血圧)選びやすい理由:ストレスや精神的な緊張から血圧が上がるという一般的なイメージと結びつけてしまうかもしれません。混同注意:本態性高血圧症など、他の原因による高血圧と混同する可能性があります。
- 3. 栄養摂取が極端に少ないため、肝臓での糖新生の低下やインスリン感受性の亢進により、血糖値は低値を示す(低血糖)傾向にあります。正しくは:血糖値の低下(低血糖)選びやすい理由:糖尿病など、一般的な代謝異常では高血糖になるというイメージから誤って選択するかもしれません。混同注意:糖尿病の主要な症状である高血糖と混同することがあります。
- 4. 神経性やせ症では慢性的な栄養不足により、リンの摂取不足や、細胞外から細胞内へのリンの移動が起こりやすく、低リン血症が生じやすいです。特に再栄養症候群では重篤な低リン血症が問題となります。正しくは:血液中のリン濃度が低い状態(低リン血症)選びやすい理由:電解質異常として何か異常が起きるだろうと推測し、高値になる可能性を考えるかもしれません。混同注意:腎機能障害などで起こる高リン血症と混同するかもしれません。
- 5. 正解。神経性やせ症の患者では、摂取エネルギーが著しく少ないにもかかわらず、肝臓でのコレステロール代謝の変化(異化の低下や甲状腺機能低下様状態など)により、総コレステロール値やLDLコレステロール値が上昇することがしばしば報告されています。
国試ポイント
神経性やせ症(拒食症)の患者によくみられる身体合併症や特徴的な検査所見に関する知識が問われています。特に、一般的な低栄養状態からの予想とは異なる代謝異常(高コレステロール血症など)の理解が重要です。
混同注意
低栄養状態であれば、一般的に全ての数値が低下するという誤解が生まれやすいです。特に高コレステロール血症は、摂取カロリーが少ないにもかかわらず高値を示すため、学生が混乱しやすいポイントです。また、再栄養症候群における急激な電解質変動(特に低リン血症)との関連も理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
神経性やせ症の患者に対して理学療法を行う際、高コレステロール血症をはじめとする身体合併症(心機能低下、骨粗鬆症リスク、電解質異常など)を考慮し、運動負荷の調整や栄養管理チームとの連携を適切に行えるかどうかが問われる可能性があります。
関連知識
神経性やせ症の主要な身体合併症には、徐脈、低血圧、低血糖、低体温、骨粗鬆症、月経停止、皮膚乾燥、電解質異常(低カリウム血症、低リン血症など)、肝機能障害などがあります。高コレステロール血症もその一つです。これらの症状は、理学療法を実施する上でのリスク管理や運動負荷量の決定に影響を及ぼすため、基本的な知識として重要です。