入眠困難を訴えるうつ病患者に対する睡眠衛生指導で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
体内時計の調整と睡眠・覚醒リズムの安定化は、睡眠衛生指導の最も基本的な柱の一つです。毎日同じ時刻に起床することで、身体のリズムが整い、夜間の自然な眠気を促し、入眠困難の改善に繋がります。特にうつ病患者では睡眠リズムが乱れやすいため、規則正しい起床は治療上も重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 夕方以降の長時間にわたる昼寝は、夜間の睡眠を妨げ、入眠困難を悪化させる可能性があります。特にうつ病患者では睡眠リズムの乱れを助長しやすいため避けるべきです。正しくは:昼寝をする場合は、午後の早い時間帯に20~30分程度の短い仮眠に留めるべきです。選びやすい理由:睡眠不足を感じている患者にとって、昼寝は一時的な疲労回復になりそうに思えるかもしれません。混同注意:短時間の昼寝(パワーナップ)のメリットと混同しやすいですが、夕方以降の長時間昼寝は逆効果です。
- 2. 正解。毎日決まった時刻に起きることは、体内時計を整え、睡眠と覚醒のリズムを安定させる上で非常に重要です。これにより、夜間の自然な眠気を促し、入眠困難の改善に繋がります。うつ病患者の乱れた睡眠リズムの調整にも有効です。
- 3. アルコールは一時的に寝つきを良くする効果があるように感じられますが、睡眠の質を低下させ、夜間の中途覚醒を増加させます。また、アルコールは覚醒作用があるため、長期的には睡眠障害を悪化させ、特にうつ病患者では気分安定に悪影響を与える可能性があります。正しくは:就寝前のアルコール摂取は避けるべきです。特に就寝3~4時間前からは控えるのが望ましいです。選びやすい理由:アルコールを飲むと眠くなるという経験から、寝つきが悪いときに良いと誤解されがちです。混同注意:眠剤の代わりになると誤解されやすいですが、作用機序が異なり、睡眠の質は低下します。
- 4. 眠くないのに無理にベッドに入って過ごすことは、「ベッド=眠れない場所」という悪い関連付け(刺激制御の悪化)を生じさせ、かえって不眠を悪化させることがあります。ベッドは睡眠のためだけに使うべきです。正しくは:眠気を感じてから就床し、眠れない場合は一度ベッドから出てリラックスできる活動を行い、再度眠気を感じてから就床するように指導すべきです。起床時刻の一定化が優先されます。選びやすい理由:規則正しい生活を送るという点では一見正しいように見えますが、就床時刻の固定は「眠くなってから」が基本です。混同注意:起床時刻を一定にすることと、就床時刻を一定にすることを混同しやすいです。起床時刻の一定化は睡眠衛生の基本ですが、就床時刻の固定は不眠症患者には推奨されません。
- 5. 寝床で眠れずに長時間過ごすことは、ベッドと覚醒状態を関連付けてしまい(不適切な刺激制御)、不眠を悪化させます。20分程度眠れない場合は一度ベッドから出て、リラックスできる別の場所で過ごし、眠気を感じてから再度ベッドに戻ることが推奨されます。正しくは:入眠困難な場合は、一度寝床から出て、別の場所でリラックスできる軽い活動(読書など)を行い、眠気を感じてから再び寝床に戻るよう指導すべきです。選びやすい理由:睡眠不足を感じ、なんとかベッドで横になっていればそのうち眠れる、と患者自身が思いがちです。混同注意:「ベッドは睡眠のためだけの場所」という原則と逆の行為であり、不適切な行動です。
国試ポイント
睡眠衛生指導の基本的な原則と、うつ病患者に特有の考慮事項について問われています。不眠を悪化させる誤った睡眠習慣を理解し、刺激制御法や睡眠制限法といった認知行動療法の基礎知識が問われる問題形式です。
混同注意
起床時刻の固定と就床時刻の固定の区別、アルコールの入眠作用と睡眠の質への影響、短時間の昼寝と長時間の昼寝、ベッドで過ごす時間と睡眠効率の関係など、睡眠衛生に関する誤解しやすい知識が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
「最も適切」という指示に注意し、複数の選択肢が部分的に正しく見える場合でも、睡眠衛生指導の基本原則に最も合致し、かつ患者の状態(うつ病、入眠困難)に最適なものを選ぶ必要があります。特に、刺激制御法(ベッドと覚醒を関連付けない)の原則に反する選択肢は避け、体内時計を整えることに繋がる指導(起床時刻の固定)が最優先事項であることを認識することが重要です。
関連知識
睡眠衛生指導の具体的な内容(規則正しい生活リズム、カフェイン・アルコール摂取制限、就寝前の過ごし方、寝室環境など)、不眠症の認知行動療法(CBT-I)の要素(刺激制御法、睡眠制限法、睡眠衛生教育、認知再構成法、リラクゼーション法)、うつ病と睡眠障害の関連性、およびその治療的介入。