親しい人間関係を構築できず、奇異な考え方や風変わりな行動が継続してみられ、パーソナリティ障害を指摘された。最も考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
統合失調型パーソナリティ障害は、親密な対人関係の構築が困難であり、さらに思考、知覚、行動において奇異さや特異性が見られることが特徴です。具体的には、奇妙な信念や魔術的思考、知覚の歪み(幻覚ではない)、不適切な感情表現、風変わりな外見や言動などが含まれます。設問の「親しい人間関係を構築できず、奇異な考え方や風変わりな行動が継続してみられ」という表現は、統合失調型パーソナリティ障害の診断基準に非常によく合致しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 演技性パーソナリティ障害は、注目を浴びたがり、感情表現が劇的で、誘惑的な行動が多いことが主な特徴です。設問にある「奇異な考え方や風変わりな行動」というよりは、常に人目を引こうとする行動が目立ちます。正しくは:演技性パーソナリティ障害は、過度な感情表現や注意を引くための行動が特徴であり、しばしば誘惑的で、自分をドラマチックに演出します。選びやすい理由:「風変わりな行動」という記述から、目立つ行動を取る演技性パーソナリティ障害を連想するかもしれませんが、その行動の性質が異なります。混同注意:自己愛性パーソナリティ障害(注目を浴びたい欲求)と混同しやすいですが、自己愛性は優越感や賞賛への欲求が強い点で異なります。
- 2. 回避性パーソナリティ障害の核となる特徴は、批判や拒絶への過敏さから社交を避けることです。親密な関係を望みながらも困難を抱える点は設問と部分的に合致しますが、「奇異な考え方や風変わりな行動」という特徴は通常見られません。正しくは:回避性パーソナリティ障害は、他者からの批判や拒絶に過敏で、自分を価値のない人間だと感じているため、親密な関係を望みながらも社交を避けて孤立します。選びやすい理由:「親しい人間関係を構築できず」という部分だけを見ると、回避性パーソナリティ障害も候補に挙がりえます。しかし、回避性は関係を求める気持ちがある点で、設問の表現とは異なります。混同注意:シゾイドパーソナリティ障害(そもそも関係を求めない)と混同しやすいですが、回避性は関係を求めるが恐れて回避する点で異なります。
- 3. 猜疑性パーソナリティ障害の主な特徴は、他者を信用せず、悪意があると常に疑うことです。そのため対人関係は困難になりますが、「奇異な考え方や風変わりな行動」というよりも、他者への不信感や被害妄想が中心となります。正しくは:猜疑性パーソナリティ障害は、他人の動機を悪意のあるものだと不当に解釈し、常に不信感を抱くことで、対人関係に深刻な問題が生じます。選びやすい理由:親密な人間関係の構築が困難な点は共通していますが、その理由が他者への不信感であるため、設問の「奇異な考え方や風変わりな行動」とは合致しません。混同注意:統合失調症の妄想症状と混同しやすいですが、パーソナリティ障害の妄想は現実検討能力が保たれている点で区別されます。
- 4. シゾイドパーソナリティ障害の主な特徴は、対人関係への関心が希薄で、感情の幅が狭く、孤立を選ぶことです。親しい人間関係の構築困難は共通しますが、「奇異な考え方や風変わりな行動」という特徴は通常目立たず、むしろ感情の表出が少なく無表情に見えることが多いです。正しくは:シゾイドパーソナリティ障害は、他者との親密な関係を望まず、感情の表現が乏しく、孤立を好むことが特徴で、奇異な思考や行動は目立ちません。選びやすい理由:「親しい人間関係を構築できず」という点が共通しているため、選択肢として魅力的です。しかし、シゾイドはそもそも関係に興味がない点で、設問の奇異な行動とは結びつきません。混同注意:統合失調型パーソナリティ障害(奇異な思考や行動がある)と混同しやすいですが、シゾイドは奇異な思考や行動がなく、感情の平板さが目立つ点で異なります。
- 5. 正解。統合失調型パーソナリティ障害は、親しい人間関係を築く能力の欠如に加え、認知や知覚の歪み、奇妙な行動、特異な思考パターンが特徴です。設問の「親しい人間関係を構築できず、奇異な考え方や風変わりな行動が継続してみられ」という記述に最も合致します。統合失調症スペクトラムに属しますが、精神病水準には達しません。
国試ポイント
パーソナリティ障害は、DSM-5に基づいてクラスターA、B、Cに分類されており、それぞれの代表的な障害と特徴を理解しているかが問われます。特に、類似した名称を持つ精神疾患(例:統合失調症)との鑑別点や、各障害に特徴的な思考、感情、行動パターンを正確に把握していることが重要です。この問題は、クラスターAの中でも統合失調型パーソナリティ障害の具体的な症状記述を問うもので、他のパーソナリティ障害やシゾイドパーソナリティ障害との鑑別能力が試されています。
混同注意
統合失調型パーソナリティ障害は、統合失調症スペクトラムに属しますが、統合失調症はより重篤な精神病症状(妄想、幻覚、著しい思考障害など)が持続し、現実検討能力が著しく損なわれる点で異なります。統合失調型パーソナリティ障害では、精神病症状は限定的で、現実検討能力は比較的保たれています。また、シゾイドパーソナリティ障害も対人関係への関心が薄く孤立を好みますが、奇異な思考や知覚の歪み、風変わりな行動は通常見られず、感情の平板さがより顕著です。統合失調型は、奇異な思考や行動の存在が鑑別点となります。
次に同じ論点が出たら
次回この種のパーソナリティ障害を問う問題が出た際には、以下の点に注目して判断すると良いでしょう。1. 対人関係のパターン: 人間関係を「避ける」「求めない」「築けない」「乱れる」など、どのように表現されているか。2. 思考や知覚の質: 「奇異な考え」「風変わりな行動」「妄想」「幻覚」といった具体的な表現があるか、あるいは感情の平板さや衝動性など別の特徴が強調されているか。3. 感情表現: 感情の幅が広いか、狭いか、不適切か、あるいは衝動的か。これらを総合的に判断し、DSM-5の診断基準に照らし合わせて最も合致するパーソナリティ障害を選択します。特に、統合失調症スペクトラムに属するパーソナリティ障害と統合失調症本体との違いを意識することが重要です。
関連知識
パーソナリティ障害のクラスター分類:<br>・クラスターA(奇妙で風変わりなパーソナリティ障害): 統合失調型、シゾイド、妄想性。<br>・クラスターB(劇的で感情的、移り気なパーソナリティ障害): 境界性、反社会性、演技性、自己愛性。<br>・クラスターC(不安で恐れが強いパーソナリティ障害): 回避性、依存性、強迫性。<br>各パーソナリティ障害の具体的な診断基準を把握し、核となる特徴を覚えることが鑑別に役立ちます。