病気の解説
ウエストナイル熱
別名:ウェストナイル熱、ウエストナイルウイルス感染症、ウエストナイル脳炎、西ナイル熱
緊急性の高い症状
次のような症状があるときは、急いで医療機関を受診してください。意識がおかしい、けいれんしている場合は119番で救急車を呼んでください。
- 高い熱
- 激しい頭痛や、首のこわばり(首が前に曲げにくい)
- ぼんやりする、話のつじつまが合わないなどの意識の変化
- 手足に力が入らない、ふるえ、けいれん
これらはウイルスが脳や脳の周りの膜に炎症を起こしたときにみられることがあるサインとされます(CDC)(厚生労働省)。
出典:CDC「West Nile: Symptoms, Diagnosis, & Treatment」、厚生労働省「ウエストナイル熱について」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 流行地域(海外)から帰国したあと、2週間ほどの間に熱・頭痛・体の痛み・発疹などが出たとき
- 熱は下がったものの、だるさや力の入りにくさが長く続くとき
- 授乳中に上のような症状が出たとき(厚生労働省)
まずは内科(かかりつけ医)に相談し、必要に応じて感染症内科のある医療機関を紹介してもらいます。日本国内では、これまでに国内で感染したという報告はないとされており(厚生労働省)、診断には蚊に刺された可能性のある場所・時期が手がかりになります(CDC)。受診するときは、いつ、どの国・地域に行っていたかを必ず伝えてください。熱や頭痛はほかの多くの感染症でも起こるため、症状だけでこの病気かどうかを判断することはできません。
基本
ウエストナイル熱とは
ウエストナイルウイルスに感染して起こる病気で、主にウイルスを持った蚊に刺されることでうつります(MedlinePlus)(厚生労働省)。自然界では鳥と蚊の間でウイルスが受け渡されており、人は「たまたま刺された」相手にあたります(厚生労働省)。感染しても多くの人は症状が出ないか軽くすみますが、まれに脳炎や髄膜炎を起こして重くなることがあります(MedlinePlus)。ウイルスはアフリカ、ヨーロッパ、中東、西アジア、北米などで確認されています(厚生労働省)。
主な症状
症状は、蚊に刺されてからおおむね2〜14日後(多くは2〜6日後)に出るとされます(厚生労働省)(CDC)。
- 症状が出ない:感染した人の約8割は症状が出ないとされます(厚生労働省)(CDC)。
- 軽い症状(ウエストナイル熱):約2割の人に、発熱・頭痛・筋肉や関節の痛み・吐き気や嘔吐・下痢・発疹などのかぜに似た症状が出ます。リンパ節が腫れることもあります(厚生労働省)(CDC)。多くは回復しますが、だるさや力の入りにくさが数週間〜数か月残ることがあります(CDC)。
- 重い症状(脳炎・髄膜炎など):感染者の約1%で、高熱、首のこわばり、意識の混乱、けいれん、ふるえ、筋力の低下やまひ、視力の低下、しびれなどが起こることがあります(CDC)(厚生労働省)。
原因・なりやすい要因
ほとんどは感染した蚊に刺されることで起こります。人から人へ、日常の接触で直接うつることは通常ありません(厚生労働省)。まれに、輸血や臓器移植、妊娠・出産や母乳を通じてうつることがあるとされます(MedlinePlus)。
だれでも感染する可能性がありますが、重症になりやすいのは高齢の人、がん・糖尿病・高血圧・腎臓病などの持病がある人、臓器移植を受けた人や免疫の働きを抑える薬を使っている人とされます(MedlinePlus)(CDC)。
検査と診断
診断
症状と、蚊に刺された可能性のある場所や時期(渡航歴)を確認したうえで、血液などの検査でウイルスへの感染を調べます。似た症状のほかの感染症がないかも併せて確かめます(CDC)(MedlinePlus)。
治療
治療
このウイルスそのものに効く薬はなく、人に使えるワクチンもありません(CDC)(MedlinePlus)(厚生労働省)。軽い場合は、安静と水分補給、熱や痛みをやわらげる薬などで症状を抑えながら回復を待ちます(MedlinePlus)。重い場合は入院して、全身の状態を支える治療が行われます(MedlinePlus)。
経過と生活
予防
予防の基本は蚊に刺されないことです(厚生労働省)。流行地域へ行くときは、次のような対策が勧められています。
- 肌の出ている部分に虫よけ剤を使う(MedlinePlus)(厚生労働省)
- 屋外ではできるだけ長袖・長ズボンを着る(MedlinePlus)(厚生労働省)
- 網戸を使う(MedlinePlus)(厚生労働省)
- バケツや植木鉢などにたまった水を捨て、蚊が増えにくくする(MedlinePlus)(厚生労働省)
経過
軽い場合は1週間ほどで回復することが多いとされます(厚生労働省)。重い場合は回復に数週間〜数か月かかり、後遺症が残ることもあります(CDC)(厚生労働省)。
感染症内科で扱うほかの病気
出典
CDC「West Nile: Symptoms, Diagnosis, & Treatment」 / MedlinePlus「West Nile Virus」 / 厚生労働省「ウエストナイル熱について」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。