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病気の解説

慢性胃炎

まず相談する診療科消化器内科
この解説の項目9項目

緊急性の高い症状

胃炎で粘膜がただれたり潰瘍ができたりすると、胃から出血することがあります。胃の出血が疑われる症状があるときは、すぐに医療機関を受診するよう勧められています(NIDDK)。

  • 黒くてタールのような便が出る、便に血が混じる
  • 血を吐く、コーヒーかすのようなものを吐く
  • ふらつき、息切れ、強いだるさがある

大量に血を吐いた、ふらついて立っていられないなど重い場合は、ためらわず救急車(119番)を呼んでください。潰瘍が深くなって胃に穴があくと腹膜炎を起こすことがあり(MSDマニュアル家庭版)、急に強い腹痛が起きたときも急いで受診してください。

出典:NIDDK「Symptoms & Causes of Gastritis & Gastropathy」、MSDマニュアル家庭版「胃炎」

当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。

受診の目安

  • みぞおちのあたりの痛みや不快感、吐き気、食事の途中ですぐおなかがいっぱいになる、食欲がない、といった胃の不調が続くときは、消化器内科などを受診してください(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。
  • 体重が減ってきたときも相談してください(NIDDK)。
  • 疲れやすい、体に力が入らないなど貧血を思わせる症状があるときも相談のきっかけになります。慢性胃炎では、ゆっくりした出血や、ビタミンB12・鉄の吸収が悪くなることで貧血が起こることがあります(MSDマニュアル家庭版)(NIDDK)。
  • ピロリ菌の除菌治療を受けた後も、胃がんの危険はゼロにはならないため、胃の内視鏡検査を受けることが大切とされています(国立がん研究センター)。

胃の症状は、胃潰瘍や胃がんなどほかの病気でも起こり、症状だけで病名は判断できません。原因や合併症を確かめるには内視鏡などの検査が必要になることがあります(NIDDK)。症状があるときは検診を待たずに受診するよう勧められています(国立がん研究センター)。

基本

慢性胃炎とは

胃炎は、胃の内側を覆う粘膜に炎症が起きている状態です(MSDマニュアル家庭版)(NIDDK)。そのうち、少しずつ始まって長く続くものを慢性胃炎といい、急に起きて短期間で治まる急性胃炎と区別されます(NIDDK)。

慢性胃炎の代表は、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃に住みつくことで起こる胃炎で、治療しなければ一生続くこともあるとされています(NIDDK)。このほか、免疫が自分の胃の粘膜の細胞を攻撃する自己免疫性胃炎も慢性に続くタイプです(NIDDK)。炎症が長く続くと粘膜が薄くなり(萎縮)、胃酸や消化酵素を作る細胞が失われる「萎縮性胃炎」になることがあります(MSDマニュアル家庭版)。

主な症状

慢性胃炎の多くは、症状がありません(MSDマニュアル家庭版)(NIDDK)。症状が出る場合は、まとめて「消化不良(ディスペプシア)」と呼ばれるような胃の不調がみられます(MSDマニュアル家庭版)(NIDDK)。

  • 上腹部の痛みや不快感(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)
  • 吐き気、嘔吐(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)
  • 食事中にすぐ満腹になる、食後に苦しいほどおなかが張る(NIDDK)
  • 食欲が落ちる、体重が減る(NIDDK)

萎縮性胃炎では消化不良がよくみられるとされます(MSDマニュアル家庭版)。出血がわずかな場合は自分では気づかず、黒い便で気づくこともあります(MSDマニュアル家庭版)(NIDDK)。

原因・なりやすい要因

  • ピロリ菌の感染:慢性胃炎のもっとも多い原因です(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。どのようにうつるかはまだ研究中ですが、吐いたもの・便・唾液との接触や、汚れた食べ物・水を通してうつる可能性が考えられています(NIDDK)。
  • 自己免疫:免疫が胃の粘膜を攻撃して起こります。1型糖尿病など、ほかの自己免疫の病気がある人に多いとされます(NIDDK)。
  • 胃を刺激するものに長くさらされること:アスピリンなどの解熱鎮痛薬(NSAID)、アルコール、小腸から胃への胆汁の逆流などが挙げられています(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。
  • そのほか、胃の部分切除後、放射線療法、免疫の低下などが関係することがあります(MSDマニュアル家庭版)。

検査と診断

診断

症状から疑われ、必ずしも検査が必要なわけではありません(MSDマニュアル家庭版)。診断がはっきりしない場合や治療で良くならない場合は、口から細いカメラを入れて胃の中を見る上部消化管内視鏡検査を行い、必要に応じて粘膜の一部をとって顕微鏡で調べます(生検)(MSDマニュアル家庭版)(NIDDK)。ピロリ菌の有無などを調べるため、血液検査、便の検査、息を調べる検査(呼気検査)が行われることもあります(NIDDK)。

治療

治療

治療は、胃炎の種類と原因によって変わります(NIDDK)。

  • ピロリ菌が原因の場合:複数の抗菌薬と胃酸を抑える薬を組み合わせて、菌を取り除く治療(除菌治療)を行います(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。途中でやめると菌が残って薬が効きにくくなることがあるため、処方どおりに飲みきることが大切とされます。治療後には菌が消えたかを確かめる検査が勧められています(NIDDK)。
  • 薬や刺激物が原因の場合:原因となる解熱鎮痛薬などを避けたり見直したりし、胃酸を抑える薬や胃の粘膜を守る薬が使われます(MSDマニュアル家庭版)(NIDDK)。
  • 自己免疫性胃炎・萎縮性胃炎の場合:ビタミンB12や鉄などの不足による貧血を防ぐため、補充が行われることがあります(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。

萎縮性胃炎には根本的に治す治療はないとされています(MSDマニュアル家庭版)。どの治療を行うかは、病状に応じて医師が判断します。

経過と生活

予防

  • ピロリ菌は胃がんの主な原因の一つとされ、除菌によって胃がんができる危険が下がることが明らかになっています(国立がん研究センター)。ピロリ菌を早めに見つけて治療することで、一部の胃がんを防げるとされています(NIDDK)。
  • 胃がんの予防のため、塩分や塩分の多い食品を控えることが勧められています(国立がん研究センター)。
  • 食事そのものは、多くの胃炎の主な原因ではないとされています(NIDDK)。

日常の過ごし方は、担当の医師の指示を優先してください。

経過

慢性胃炎は、治療で症状が良くなり、合併症の危険を下げられるとされています(NIDDK)。一方で、ピロリ菌による胃炎や自己免疫性胃炎が長く続くと、胃潰瘍、貧血、胃の粘膜のできもの(良性のことも胃がんのこともある)、胃のMALTリンパ腫などにつながることがあります(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。萎縮性胃炎から胃がんに進む人は少数とされますが(MSDマニュアル家庭版)、除菌後も胃がんの可能性はゼロにならないため、内視鏡検査を続けることが大切です(国立がん研究センター)。

消化器内科で扱うほかの病気

出典

MSDマニュアル家庭版「胃炎」 / NIDDK「Gastritis & Gastropathy」(Definition & Facts/Symptoms & Causes/Treatment) / 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん 予防・検診」
内容の確認日:2026-10-16(次回確認予定 2027-04-16)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。