病気の解説

アフリカ睡眠病

まず相談する診療科感染症内科
この解説の項目9項目

すぐに受診が必要な場合

  • サハラ以南のアフリカの農村部などに滞在したあと、発熱・頭痛などの体調不良がある、または感染が心配なとき(CDC)

放置すると命に関わる病気で、早く治療を始めるほど治りやすいとされます(WHO)(CDC)。

出典:CDC「About Sleeping Sickness」、WHO ファクトシート

当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。

受診の目安

  • 流行地への渡航歴があり、発熱、頭痛、リンパ節の腫れ、関節の痛みなどが出たとき(WHO)(CDC)
  • 虫に刺された場所に赤い腫れもの(下疳)ができたとき(CDC)
  • 帰国後しばらくして、性格の変化、混乱、眠りのリズムの乱れなどが出てきたとき(WHO)

感染症内科や、渡航者の診療を行う医療機関に相談してください。受診時は渡航先・時期・虫刺されの有無を伝えます。発熱や頭痛は多くの病気で起こるため、症状だけで病名は判断できません。(CDC)

基本

アフリカ睡眠病とは

サハラ以南のアフリカの農村部でみられる、原虫(トリパノソーマ)による感染症で、医学的にはアフリカトリパノソーマ症と呼ばれます。原虫はツェツェバエが人を刺したときに入り込み、病気を起こします(CDC)(WHO)。初めは血液やリンパの中で増え、進むと脳や神経に入り込みます(WHO)。治療しなければ命に関わります(CDC)。

主な症状

病気は大きく2つの段階に分かれます。(WHO)(CDC)

  • 前半(血液・リンパの段階):発熱、頭痛、リンパ節の腫れ、関節の痛み、かゆみなど、かぜに似た症状が出ます。刺された部分に赤い腫れもの(下疳)ができることもありますが、出ない・気づかないこともあります。
  • 後半(脳・神経の段階):行動や性格の変化、混乱、感覚の異常、手足の動きのぎこちなさが現れます。昼夜の眠りのリズムが乱れることが、病名の由来になっています。

進み方は種類によって違います。西アフリカ型はゆっくり進み、数か月から1年以上たって症状が出ることもあります。気づいたときには進行していることが多いとされます。東アフリカ型は進みが速く、刺されてから1〜数週間で症状が出るとされます。(CDC)(WHO)

原因・なりやすい要因

原因はトリパノソーマ・ブルーセイという原虫で、ガンビア型(西・中央アフリカ)とローデシア型(東・南部アフリカ)があります(WHO)(CDC)。ローデシア型では、動物が主な感染源になります(WHO)。

ほとんどは原虫を持ったツェツェバエに刺されて感染します。まれに、妊娠中の母親から胎児へうつることや、検査室での針刺し事故などで感染することもあります(WHO)(CDC)。

流行地の農村部や自然保護区で長く過ごす人、狩猟をする人などで危険が高く、都市部だけを訪れる旅行者の危険は低いとされます(CDC)。

検査と診断

診断

血液やリンパ液などの体液を顕微鏡で調べ、寄生虫を確認します。ガンビア型では、まず血液の抗体検査でふるい分けることもあります。病気がどの段階かを確かめるため、腰に針を刺して脳脊髄液を調べることがあります。(WHO)

治療

治療

治療は入院して行うことが多く、できるだけ早く始めることが大切とされます(CDC)。使う薬は、原虫の種類と病気の段階によって異なります。ガンビア型ではフェキシニダゾールなど、ローデシア型ではスラミンなどの薬が使われます(WHO)。治療のあとも、再発がないかを長期間にわたって確認します(WHO)(CDC)。

経過と生活

予防

予防のためのワクチンや薬はありません。流行地ではツェツェバエに刺されないことが基本です。(CDC)

  • 長袖・長ズボン・靴下を身につけ、目立たない中間色の服を選ぶ
  • 虫よけ剤を使う
  • やぶに近づかない
  • 車に乗る前に、ハエが入り込んでいないか確かめる

経過

治療しなければ多くは命を落とします(WHO)(CDC)。一方で、早く見つけて治療すれば治る見込みが高まります(WHO)。流行地での対策が進み、報告される患者数は大きく減ってきています(WHO)。

感染症内科で扱うほかの病気

出典

WHO ファクトシート「Trypanosomiasis, human African (sleeping sickness)」 / CDC「About Sleeping Sickness」
内容の確認日:2026-10-18(次回確認予定 2027-04-18)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。