病気の解説
ピロリ菌感染症
緊急性の高い症状
ピロリ菌が原因でできた胃や十二指腸の潰瘍から出血したり、穴があいたりすることがあります。次のような症状があるときは、すぐに医療機関を受診してください(NIDDK)。
- 便が黒くタールのよう、または便に赤や赤黒い血が混じる
- 血を吐いた、またはコーヒーのかすのようなものを吐いた
- 急に起こった強いおなかの痛みが治まらない
- めまいがする、気を失う、脈が速いなど、ショックを思わせる症状
出典:NIDDK「Symptoms & Causes of Peptic Ulcers (Stomach Ulcers)」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- みぞおちのあたりの鈍い痛みや焼けるような痛みが、空腹時や夜にくり返すとき
- 食事の途中ですぐおなかがいっぱいになる、食後の胃もたれ、吐き気、げっぷ、おなかの張りが続くとき
- 健診などでピロリ菌の感染や胃の炎症を指摘されたとき
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状が変わった、悪くなったとき
相談先は消化器内科です。感染していても症状が出ないことが多く(MedlinePlus)、反対に胃の症状は多くの病気で起こるため、症状だけでピロリ菌がいるかどうかはわかりません。検査で確かめることが必要です(MedlinePlus)(NIDDK)。
基本
ピロリ菌感染症とは
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)という細菌が、胃の中にすみつく感染症です(MedlinePlus)。多くは子どものうちに感染するとされます(MedlinePlus)。感染しても症状のないことが多い一方、胃の粘膜に炎症を起こし、胃炎や胃・十二指腸潰瘍の主な原因となります(MedlinePlus)(NIDDK)。また、胃がんになる可能性を高めることが報告されています(国立がん研究センター がん情報サービス)(MedlinePlus)。
主な症状
ピロリ菌に感染しているだけでは、ふつう症状はありません(MedlinePlus)。胃炎や潰瘍ができると、次のような症状が出ることがあります(NIDDK)(MedlinePlus)。
- みぞおち(へそと胸骨の間)の痛みや不快感。鈍い痛みや焼けるような痛みで、空腹時や夜に出やすく、出たり治まったりします。
- 食事中にすぐ満腹になる、食後に胃が重い
- 吐き気・嘔吐、おなかの張り、げっぷ
- 体重が減る
潰瘍があっても、出血などの合併症が起こるまで症状がない人も多いとされます(NIDDK)。
原因・なりやすい要因
どのように感染が広がるのかは、まだ完全にはわかっていません。感染した人の唾液・吐いたもの・便との接触や、それらで汚れた食べ物や水を通じてうつる可能性があると考えられています(NIDDK)(MedlinePlus)。
痛み止めとして使われる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も潰瘍の大きな原因で、ピロリ菌に感染している人がこれらの薬を使うと、潰瘍の危険がさらに高まるとされます(NIDDK)。
検査と診断
診断
ピロリ菌がいるかどうかは、いくつかの方法で調べられます(MedlinePlus)(NIDDK)。
- 呼気検査:検査用の薬を飲んだあと、吐いた息を集めて調べます。
- 便の検査:便の中にピロリ菌の成分があるかを調べます。
- 血液検査:感染のしるしを調べます。
- 内視鏡検査:胃カメラで胃の中を観察し、粘膜を少し採って顕微鏡で調べます。
検査の前に一部の薬を休む必要があるかは、事前に医師や検査機関に確認しましょう(NIDDK)。
治療
治療
ピロリ菌を退治する治療(除菌治療)は、2種類以上の抗菌薬と、胃酸を抑える薬を組み合わせて飲むのが一般的です(NIDDK)(MedlinePlus)。
- 最後まで飲み切る:途中でやめると菌が生き残り、薬が効きにくい菌(耐性菌)が生まれる原因になるため、指示どおりに飲み切ることが大切です(NIDDK)。
- 治ったかの確認:治療が終わって一定期間をおいてから、もう一度検査をして菌がいなくなったかを確かめます(NIDDK)(MedlinePlus)。
- うまくいかなかった場合:別の組み合わせの薬で、再び治療を行うことがあります(NIDDK)。
以前に飲んだことのある抗菌薬は効きにくい可能性があるため、過去に使った薬を医師に伝えましょう(NIDDK)。
経過と生活
予防
ピロリ菌を防ぐワクチンはありません(MedlinePlus)。トイレのあとや食事の前に手を洗うこと、きちんと調理された食べ物をとること、安全な水を飲むことが勧められています(MedlinePlus)。
経過
感染が続くと、胃炎や潰瘍をくり返したり、潰瘍から出血・穿孔(穴があくこと)などの合併症が起こったりすることがあります(NIDDK)。除菌治療で菌がいなくなったかどうかは、再検査で確認することが大切です(NIDDK)(MedlinePlus)。胃がんとの関係もあるため、除菌後の検診の受け方は主治医と相談しましょう。
消化器内科で扱うほかの病気
出典
MedlinePlus「Helicobacter Pylori Infections」 / NIDDK「Peptic Ulcers (Stomach Ulcers)」 / 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がんについて」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。