病気の解説
嚢虫症
別名:嚢尾虫症
受診の目安
- けいれん発作が起きた、頭痛が続く、混乱するなどの神経の症状があるとき(MSDマニュアル家庭版)
- 見え方に異常があるとき。まれに目の中にのう胞ができ、視力を失うことがあるとされます(MSDマニュアル家庭版)。
- 皮膚の下に、硬い小さなしこりをいくつも触れるとき(MSDマニュアル家庭版)
- 嚢虫症かもしれないと心配なとき(CDC)
相談先は症状によって異なり、けいれんや頭痛は脳神経内科、目の症状は眼科、感染症としての相談は感染症内科が目安です。受診の際は、症状に加えて、海外での滞在歴や食事の内容を医師に伝えてください(CDC)。これらの症状はほかの多くの病気でも起こるため、症状だけで病名を判断することはできません。
基本
嚢虫症とは
有鉤条虫(ブタ条虫)という寄生虫の幼虫が体の組織に入り込み、小さな袋(のう胞)をつくる病気です。のう胞は筋肉、脳、目、皮膚の下などにできます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。脳や脊髄にできたものは、神経嚢虫症と呼ばれます(CDC)。
主な症状
症状は、のう胞の数とできた場所によって変わります(CDC)。感染してすぐには症状が出ず、数か月から数年たって、のう胞が弱って周りに炎症が起きるころに現れることが多いとされます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
- 脳:頭痛、けいれん発作、混乱などの神経の症状(MSDマニュアル家庭版)
- 目:まれに、視力の低下や失明につながることがあります(MSDマニュアル家庭版)
- 脊髄:まれに、手足の力が入りにくくなったり、まひが起きたりします(MSDマニュアル家庭版)
- 皮膚の下・筋肉:皮膚の下に硬いしこりとして触れることがあります(MSDマニュアル家庭版)
原因・なりやすい要因
嚢虫症は、有鉤条虫の卵を口から取り込むことで起こります(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。卵は、腸に条虫がいる人の便に含まれて出てきます。この便で汚れた食べ物や水、手を通じて卵が口に入ると感染します(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。腸に条虫がいる本人が自分の卵を飲み込んだり、家族にうつったりすることもあります(CDC)。
一方、加熱が不十分な豚肉を食べると、腸に成虫がすみつく「条虫症」になりますが、豚肉を食べることで嚢虫症になるわけではないとされます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
検査と診断
診断
脳ののう胞は、MRIやCTで見つけます。寄生虫に対する抗体を調べる血液検査が補助的に使われますが、軽い感染では陰性になることもあります(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。手術でのう胞を取り出した場合は、その組織を調べて確かめます(CDC)。
治療
治療
治療の内容は、のう胞の場所や数、症状によって選ばれ、必ずしも寄生虫そのものへの治療が必要とは限りません(CDC)。
- 症状を抑える治療:けいれんがあれば抗てんかん薬を使い、炎症にはステロイド薬が使われます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
- 寄生虫への治療:抗寄生虫薬で生きているのう胞をなくす治療が、症状が落ち着いてから行われることがあります(MSDマニュアル家庭版)(CDC)。ただし、目や脊髄ののう胞では、薬で起こる炎症が周りを傷つけるおそれがあるため、抗寄生虫薬は使わないとされます(MSDマニュアル家庭版)。
- 手術:のう胞が脳脊髄液の流れをさまたげている場合や、目・脊髄に問題を起こしている場合などに検討されます(MSDマニュアル家庭版)(CDC)。
経過と生活
予防
- トイレのあと、おむつを替えたあと、食べ物を扱う前に、石けんとお湯で手を洗います。子どもにも習慣づけます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
- 果物や野菜は洗って皮をむきます(CDC)。
- 水道水が安全でない地域では、未開封の容器入りの飲み物や、しっかり沸騰させた水を飲みます(CDC)。
- 豚肉は中までしっかり加熱し、腸の条虫症を防ぎます。排泄物を適切に処理することも、条虫の生活環を断つうえで大切とされます(MSDマニュアル家庭版)。
眼科で扱うほかの病気
出典
CDC「About Cysticercosis」 / MSDマニュアル家庭版「条虫感染症」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。