病気の解説
更年期障害
別名:メノポーズ、ポストメノポーザル・シンドローム、更年期、更年期症候群
受診の目安
- ほてりや汗、眠れない、イライラ、気分の落ち込みなどがつらく、仕事や家事など日常生活に差し支えるときは、我慢せず早めに婦人科に相談することが勧められています(厚生労働省)。
- 寝つきが悪い・眠りが浅いといった一見軽い症状でも、仕事の質に影響することがあるため、早めの相談が大切とされます(厚生労働省)。
- 生活の工夫を続けても症状が十分に和らがないときは、医師に相談すると、症状や病歴、希望をふまえて治療の選択肢を一緒に検討してもらえます(MedlinePlus)。
- ホルモン補充療法を受けている間に性器からの出血があったときは、子宮体がんなどがないか調べる必要があるため、受診してください(MSDマニュアル家庭版)。
- サプリメントやハーブを使う前にも、医師に確認することが勧められています(MedlinePlus)。
更年期の年代には、糖尿病、甲状腺の働きが低下する病気(甲状腺機能低下症)、メニエール病など、似た症状を起こす病気も増えるため、更年期障害と決めつけるとほかの病気を見逃すおそれがあります(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。更年期らしくない症状や、治療しても良くならない症状は、ほかの原因を調べる必要があるとされます(MSDマニュアル家庭版)。症状だけで病名は判断できないため、自己判断せず受診してください。
基本
更年期障害とは
月経が1年以上来ない状態になることを閉経といい、日本人の平均的な閉経の年齢は50.5歳、一般には45〜55歳ごろとされます(厚生労働省)。閉経の前後それぞれ約5年、合わせて10年ほどの時期を「更年期」と呼びます(厚生労働省)。
この時期に現れるさまざまな不調を「更年期症状」といい、そのうち生活に支障が出るほどのものを「更年期障害」といいます(厚生労働省)。年齢とともに卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン)が減り、体の衰えや生活環境の変化も重なることで、心と体の両方に症状が出るとされます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。症状の種類や重さには個人差が大きく、40代から気づく人もいます(厚生労働省)(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
主な症状
症状は100種類ほどあるともいわれ、人によって大きく異なります(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
- 血管の働きに関係する症状:顔や上半身のほてり・のぼせ、汗をかきやすい、冷え(厚生労働省 ヘルスケアラボ)(厚生労働省)。夜間の寝汗がみられることもあります(MedlinePlus)。
- 心の症状:イライラ、不安、気分の落ち込み、やる気が出ない、寝つきが悪い・眠りが浅い(厚生労働省 ヘルスケアラボ)(厚生労働省)。
- 体の痛み:肩こり、腰痛、関節や手足の痛み(厚生労働省)(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
- その他:疲れやすい、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、皮膚の乾燥やかゆみ(厚生労働省 ヘルスケアラボ)(厚生労働省)。
- 腟や尿の症状:腟の乾き、性交時の痛み、頻尿、尿もれ、膀胱炎などで、まとめて「閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)」とも呼ばれます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)(MSDマニュアル家庭版)。
- 月経の周期や量が不規則になることが、閉経が近づいた最初のサインになることが多いとされます(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
頭痛や肩こりのように、更年期による症状だと気づきにくいものも多いとされます(厚生労働省)。
原因・なりやすい要因
- 女性ホルモンの減少:卵巣の働きが落ちてエストロゲンが減ることが主な原因です(厚生労働省)(MedlinePlus)。
- 心理的・性格的な要因:エストロゲンの減少はすべての女性に起こりますが、症状の出方には性格や体質、心理的な要因が強く影響し、ほとんど気にならない人もいれば、生活に大きく差し支える人もいるとされます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)(厚生労働省)。
- 環境の要因:家庭や職場など、周囲の環境の変化も症状にかかわるとされます(厚生労働省)(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
- 閉経が早まる場合:両側の卵巣を手術で取ったときや、乳がんの化学療法・ホルモン療法などで、通常より早く閉経が起こることがあります(MedlinePlus)。子宮だけを取った場合は月経はなくなりますが、それだけで閉経になるわけではありません(MedlinePlus)。喫煙も閉経を早める要因とされます(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
検査と診断
診断
閉経したかどうかは、主に月経の経過から判断され、通常は血液検査は必要ないとされます(MSDマニュアル家庭版)。年齢が若い場合や月経の状況がはっきりしない場合などに、ホルモンの値を調べることがあります(MSDマニュアル家庭版)。更年期障害かどうかを考えるうえでも、血液中のホルモンの値の検査が参考になるとされます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
婦人科を受診すると、不調が更年期によるものか、ほかの病気の可能性はないかを、ある程度確かめてもらえるとされます(厚生労働省)。糖尿病・甲状腺機能低下症(内科)、メニエール病(耳鼻咽喉科)、手の病気(整形外科)など、似た症状の病気がないかを確かめることも大切です(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
治療
治療
治療を受けると、多くの場合で症状は良くなるとされています(厚生労働省)。治療の方法は症状や体の状態に応じて選ばれます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
- ホルモン補充療法(HRT):減った女性ホルモンを補う治療で、飲み薬・貼り薬・塗り薬などがあります(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。ほてりや腟の症状に最も効果的な治療とされ、骨粗しょう症の予防にもなります(MSDマニュアル家庭版)。一方で、血栓(血のかたまり)や脳卒中などの危険もあり、年齢や持病によっては勧められないことがあるため、利点と危険について医師とよく相談します(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
- 漢方薬:単独で、またはホルモン補充療法と組み合わせて使われます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)(厚生労働省)。
- 心の症状が強い場合:抗うつ薬や睡眠薬などが使われることがあります(厚生労働省)(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
- 腟の乾きや性交痛:腟に使うホルモン剤や潤滑剤・保湿剤が使われます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)(MSDマニュアル家庭版)。
- カウンセリング:心理的・環境的な要因がかかわることが多く、薬だけでは十分でない場合にカウンセリングが役立つとされます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)(厚生労働省)。認知行動療法がほてりや睡眠の悩みに使われることもあります(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
大豆やハーブなどのサプリメントは、効果についての研究結果が一定せず、長期の安全性もはっきりしていないうえ、薬との飲み合わせの問題が起こることもあるとされます(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)。どの治療を選ぶかは、医師と相談して決めてください。
日常生活の注意
- ほてりに備えて脱ぎ着しやすい重ね着にするなどの工夫が役立つことがあります(MedlinePlus)。
- お酒、辛い食べ物、カフェインを控える、たばこをやめる(MedlinePlus)。
- 寝室を暗く涼しく保つなど、眠りやすい環境を整える(MedlinePlus)。
- 適度な運動、健康的な体重の維持、リラックスする方法でストレスを和らげる(MedlinePlus)。
- つらさを一人で我慢せず今の自分の状態を受け入れ、生活を見直すきっかけにすることも大切とされます(厚生労働省 ヘルスケアラボ)。
- 職場では、本人が症状について理解を深めるとともに、周囲がこの年代の体調の変化を理解することが大切とされています(厚生労働省)。
日常生活の注意は、担当の医師の指示を優先してください。
経過と生活
経過
つらい時期は5年ほどともいわれます(厚生労働省)。治療によって症状は多くの場合改善するとされています(厚生労働省)。ただし、症状を放っておくと、仕事でのミスや効率の低下から精神的に追い込まれ、離職につながることもあるとされます(厚生労働省)。
閉経後は、骨の量が特に閉経後の数年間で急に減り、骨粗しょう症や骨折の危険が高まるほか、悪玉(LDL)コレステロールが上がりやすく、心臓や血管の病気の危険も高まるとされます(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
産婦人科で扱うほかの病気
出典
厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「更年期症状・更年期障害」 / 厚生労働省 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?」 / MSDマニュアル家庭版「閉経」 / MedlinePlus「Menopause」
内容の確認日:2026-10-16(次回確認予定 2027-04-16)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。