病気の解説
網膜静脈閉塞症
受診の目安
- 片方の目が急に見えにくくなったとき(朝起きたら見えにくくなっていた場合も含みます)
- 視野の一部(上半分・下半分など)が急に暗く欠けて見えるとき
- ものがゆがんで見えるようになったとき
痛みがないことが多く、様子を見てしまいがちですが、急な見え方の変化があれば早めに眼科を受診してください(日本眼科学会)(MSDマニュアル家庭版)。見えにくさの原因はほかにも多く、症状だけでは病名を判断できません。眼底の検査で確かめる必要があります。高血圧や糖尿病などの持病がある人は、内科での管理も続けてください(日本眼科学会)。
基本
網膜静脈閉塞症とは
目の奥にある網膜から血液を運び出す静脈が詰まる病気です(MSDマニュアル家庭版)。血液の流れが滞ると、血管から血液や水分がしみ出して、網膜の出血やむくみ(黄斑浮腫)が起こり、見え方に影響します(日本眼科学会)。詰まる場所によって、静脈の枝が詰まる「網膜静脈分枝閉塞症」と、根元の太い静脈が詰まる「網膜中心静脈閉塞症」に分けられ、枝が詰まるほうが多いとされます(日本眼科学会)。中高年に多い病気です(日本眼科学会)(MSDマニュアル家庭版)。
主な症状
- 痛みを伴わない、急な視力低下(多くは片目)(MSDマニュアル家庭版)(日本眼科学会)
- 視野の一部が欠ける、暗く見える(日本眼科学会)
- ものがゆがんで見える(日本眼科学会)
枝が詰まるタイプでは、詰まった場所によって自覚症状がほとんどなく、目の中の出血(硝子体出血)で初めて気づくこともあります(日本眼科学会)。中心の静脈が詰まるタイプでは、数日から数週間かけて徐々に見えにくくなることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
原因・なりやすい要因
次のような要因があると起こりやすいとされます(日本眼科学会)(MSDマニュアル家庭版)。
- 高血圧、動脈硬化
- 糖尿病、脂質異常症
- 緑内障、遠視
- 血液が濃くなる状態
膠原病などの病気がある場合には、若い人に起こることもあります(日本眼科学会)。原因がはっきりしないこともあります(MSDマニュアル家庭版)。
検査と診断
診断
眼底検査で出血の広がりや血管の状態を調べます。光干渉断層計(OCT)で黄斑のむくみを確かめ、造影剤を使った蛍光眼底造影で、血流が途絶えた範囲や異常な血管の有無を調べます(日本眼科学会)(MSDマニュアル家庭版)。あわせて、高血圧や糖尿病など、背景にある病気も調べます(MSDマニュアル家庭版)。
治療
治療
- 目の中への注射:黄斑のむくみで視力が落ちている場合、むくみを引かせる薬(抗VEGF薬)を目の中に注射する治療が一般的です。効果を保つため、何回か注射が必要になることがあります(日本眼科学会)。
- ステロイド:状態によってはステロイドの注射が使われます(日本眼科学会)(MSDマニュアル家庭版)。
- レーザー治療:血流が途絶えた範囲が広い場合は、異常な血管ができるのを防ぐためにレーザーで網膜を焼き固める治療(網膜光凝固術)を行います(日本眼科学会)。
- 手術:目の中の出血が引かない場合や網膜剥離が起きた場合は、硝子体手術が行われます(日本眼科学会)。
- 経過観察:視力が比較的保たれている場合は、治療をせずに様子を見ることもあります(日本眼科学会)。
詰まりを防ぎ、再発を防ぐためにも、血圧・血糖・脂質の管理が重要とされています(日本眼科学会)(MSDマニュアル家庭版)。
日常生活の注意・セルフケア
治療や通院の間隔は、眼科の指示を優先してください。高血圧・糖尿病・脂質異常症がある人は、内科での治療を続けることが大切です(日本眼科学会)。
経過と生活
経過
完全に失明することはまれですが、見え方に大きく影響することがあります(日本眼科学会)。見通しは、詰まった場所と発症したときの視力によって変わります。多くの人で、何らかの見えにくさが残るとされています。一方、枝が詰まるタイプで視力が良い場合は、良い視力が保たれることが多いとされます(MSDマニュアル家庭版)。経過中に異常な血管が育つと、目の中の出血や、眼圧が上がる緑内障(血管新生緑内障)を起こすことがあるため、定期的な診察が必要です(日本眼科学会)(MSDマニュアル家庭版)。
眼科で扱うほかの病気
出典
日本眼科学会「網膜静脈分枝閉塞症」 / 日本眼科学会「網膜中心静脈閉塞症」 / MSDマニュアル家庭版「網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。