Lewis血液型がLe(a-b-)の場合、産生されないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Lewis式血液型がLe(a-b-)の人は、Lewis遺伝子(FUT3)が機能しないため、Lewis a抗原もLewis b抗原も産生できません。CA19-9は、Sialyl-Lewis a抗原とも呼ばれる糖鎖抗原であり、その生合成にはLewis a抗原(またはLewis b抗原)が前駆体として不可欠です。したがって、Lewis抗原を産生できないLe(a-b-)の人では、CA19-9も生成されません。このため、膵癌などのCA19-9が高値となる疾患があっても、Le(a-b-)の人ではCA19-9が検出されないか、非常に低い値を示すことがあります。AFP、CEA、PSA、ProGRPはそれぞれ異なる疾患の腫瘍マーカーであり、その産生経路はLewis式血液型とは直接関係ありません。
選択肢ごとの解説
- 1. AFPは肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍などで高値を示す腫瘍マーカーであり、Lewis式血液型とは直接的な関連はありません。Le(a-b-)型の人でも産生されます。選びやすい理由:他の腫瘍マーカーと並んでいるため、Lewis式血液型との関連性を疑うかもしれませんが、AFPの産生経路はLewis抗原とは無関係です。混同注意:他の消化器系腫瘍マーカー(CEAなど)と混同して、広義の腫瘍マーカーとしての共通性を考えてしまう可能性があります。
- 2. CEAは大腸癌、胃癌、肺癌などの腫瘍マーカーですが、その産生はLewis式血液型とは無関係です。Le(a-b-)型の人でも産生されます。選びやすい理由:消化器系の腫瘍マーカーであるため、同じく消化器系癌で用いられるCA19-9と関連があるように感じるかもしれませんが、CEAの産生経路はLewis抗原とは異なります。混同注意:CA19-9も消化器系の腫瘍マーカーであるため、両者の関連性を誤解しやすいですが、CA19-9のみがLewis抗原と密接に関与します。
- 3. PSAは主に前立腺癌の腫瘍マーカーであり、Lewis式血液型とは関連がありません。Le(a-b-)型の人でも産生されます。選びやすい理由:他の腫瘍マーカーと同様、出題の意図を誤解して、Lewis式血液型との関連がないにもかかわらず選択肢として選んでしまう可能性があります。混同注意:他の臓器特異的な腫瘍マーカーと混同し、Lewis式血液型と特定の腫瘍マーカーとの関係性の理解が不足している場合に見誤る可能性があります。
- 4. 正解。CA19-9の生合成にはLewis抗原が必要不可欠です。Le(a-b-)型はLewis遺伝子(FUT3)が欠損しているため、Lewis抗原を産生できません。したがって、CA19-9も生成されません。このため、膵癌などがあってもCA19-9が低値を示すことがあります。
- 5. ProGRPは小細胞肺癌の腫瘍マーカーであり、Lewis式血液型とは直接的な関連がありません。Le(a-b-)型の人でも産生されます。選びやすい理由:他の腫瘍マーカーと並んでいるため、Lewis式血液型との関連性を疑うかもしれませんが、ProGRPの産生経路はLewis抗原とは無関係です。混同注意:他の肺癌マーカー(CEAなど)と混同して、一般的な腫瘍マーカーの一つとして、Lewis式血液型との関連を見落とす可能性があります。
国試ポイント
Lewis式血液型と特定の腫瘍マーカー(特にCA19-9)の生合成経路との関連性を問う問題です。Le(a-b-)型の人ではCA19-9が産生されないという臨床的に重要な知識が試されます。単に各腫瘍マーカーの適応疾患を覚えるだけでなく、その生化学的背景、特に糖鎖抗原の合成経路に関する理解が求められます。
混同注意
Lewis遺伝子(FUT3)と分泌型遺伝子(FUT2)の役割の違い、およびそれらがH抗原、A/B抗原、Lewis抗原などの糖鎖抗原合成にどのように関与するかについて混同しやすいです。また、消化器系腫瘍マーカーであるCEAとCA19-9のそれぞれの特徴と、Lewis式血液型との関連性の有無も混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず『特定の血液型や遺伝的背景(例:Le(a-b-)、非分泌型など)』と『問われている物質(腫瘍マーカー、抗原など)』の組み合わせを確認します。次に、その物質の生合成経路が、提示された血液型や遺伝的背景によって影響を受けるかどうかを判断します。特に、糖鎖抗原(CA19-9など)の合成には、H抗原、Lewis抗原、ABO抗原などが複雑に関与するため、各遺伝子の役割を正確に理解しておくことが重要です。
関連知識
Lewis式血液型は赤血球膜ではなく血漿中の糖脂質として合成され、その後赤血球表面に吸着することで表現されます。Lewis遺伝子(FUT3)は、H抗原にフコースを付加してLewis a抗原を合成します。分泌型遺伝子(FUT2)は、唾液腺などの分泌腺でH抗原を分泌物質に結合させる酵素です。CA19-9は、膵癌、胆道癌、大腸癌などで高値を示し、特に膵癌の診断補助や治療効果判定に用いられます。Le(a-b-)型は、日本人では約5%に見られ、この表現型を持つ患者ではCA19-9が偽陰性となる可能性があるため、検査結果の解釈には注意が必要です。