血球形態と疾患の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
標的赤血球はサラセミアや肝疾患、脾臓機能亢進症などで見られます。涙滴赤血球は骨髄線維症、骨髄浸潤性疾患、重症溶血性貧血などで特徴的です。したがって、1と3が正しい組み合わせです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。サラセミアでは、ヘモグロビン合成異常により赤血球が薄くなり、中央部が濃染して標的赤血球として観察されます。
- 2. 異常ヘモグロビン症で有核赤血球が増加することは稀です。有核赤血球の出現は、骨髄での赤血球産生が亢進している状態や、骨髄外造血、骨髄浸潤性疾患などで見られます。正しくは:有核赤血球は、溶血性貧血が重度の場合や骨髄線維症、赤芽球癆などで見られます。異常ヘモグロビン症(特にヘモグロビンSS病などの重症型)では、溶血が進行すると有核赤血球が出現することがありますが、これは異常ヘモグロビン症に特異的な組み合わせではありません。選びやすい理由:異常ヘモグロビン症は重度の貧血を引き起こすことがあり、貧血の程度によっては骨髄での赤血球産生が亢進し、末梢血に有核赤血球が出現する可能性がないとは言えないため、誘引となりえます。しかし、有核赤血球の主な出現原因としては別の疾患が挙げられます。混同注意:異常ヘモグロビン症(特に鎌状赤血球症)で溶血が生じるため、その結果として代償性に赤芽球が亢進し、有核赤血球が出現するという誤った連想をする可能性があります。
- 3. 正解。骨髄線維症では、骨髄の線維化が進行し、造血幹細胞が骨髄外へ押し出されることで、末梢血中に涙滴状の赤血球(涙滴赤血球)が出現します。これは骨髄の破壊と骨髄外造血を示唆する特徴的な所見です。
- 4. 好塩基性斑点は、主に鉛中毒や重症貧血、サラセミアなどで見られます。骨髄癌腫症は骨髄への癌細胞浸潤を指し、この病態で好塩基性斑点が特異的に出現することはありません。正しくは:好塩基性斑点は、鉛中毒、重症貧血(特に溶血性貧血)、サラセミア、慢性アルコール中毒などで出現します。骨髄癌腫症では、涙滴赤血球や有核赤血球、幼若顆粒球の出現が見られることが多いです。選びやすい理由:骨髄癌腫症では骨髄の異常が顕著であり、血液疾患に関連する所見として好塩基性斑点が一般知識として挙げられるため、安易に結びつけてしまう可能性があります。しかし、特異的な関連性はありません。混同注意:骨髄の病態が背景にある点では共通しているため、他の赤血球異常との関連性と混同しやすいかもしれません。
- 5. Howell-Jolly小体は、脾臓機能低下や無脾症、重度の溶血性貧血などで観察される、核の残存物です。May-Hegglin異常は、巨大血小板、好中球の好塩基性封入体(Dohle小体様構造)、血小板減少症を特徴とする遺伝性疾患であり、Howell-Jolly小体との直接的な関連はありません。正しくは:Howell-Jolly小体は、脾機能低下、無脾症(脾臓摘出後など)、重度の巨赤芽球性貧血などで見られます。May-Hegglin異常では、巨大血小板、ドーレ小体様構造が特徴的な所見です。選びやすい理由:どちらも血球に見られる異常であり、遺伝性疾患も関連することから、知識が曖昧な場合に混同しやすい可能性があります。混同注意:Howell-Jolly小体は核残存物であり、May-Hegglin異常でみられるDohle小体様構造は細胞質のRNA凝集であるため、混同しやすいが全く異なるものです。
国試ポイント
この問題は、様々な血球形態異常とそれに特徴的な疾患との関連性を正確に理解しているかを問うものです。特に、国試では形態学的な特徴と病態生理の結びつきが重要視されます。
混同注意
血球形態異常と疾患の組み合わせは多岐にわたり、一つ一つの所見が複数の疾患で見られることもあるため、それぞれの所見がどの疾患で『特徴的』であるか、あるいは『主に見られるか』を正確に覚える必要があります。例えば、有核赤血球は多くの重症貧血で見られますが、特定の疾患の組合せとして問われた際に、最も関連性の高いものを選択する判断力が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、各血球異常(赤血球、白血球、血小板)が示唆する病態生理学的背景と、それに最も関連の深い主要な疾患名を正確に結びつけられるかに着目して学習を進めるべきです。特に、複数疾患で認められる所見については、それぞれの疾患における出現頻度や特徴度合いを理解しておくことが重要です。
関連知識
各血球の成熟過程と異常形態発生のメカニズム、脾臓の機能(異常赤血球の除去)、各種貧血の病態生理について理解していることが重要です。