透過型電子顕微鏡写真(別冊No. 7)を別に示す。矢印で示す細胞小器官はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
透過型電子顕微鏡写真において、矢印で示される細胞小器官は、特徴的な二重膜構造と、内膜が内部にひだ状に突出したクリステ構造を示しています。この形態は、細胞のエネルギー産生を担うミトコンドリアに特有のものです。クリステは、電子伝達系や酸化的リン酸化の酵素が配置される表面積を増やす役割があります。
選択肢ごとの解説
- 1. ゴルジ体は、扁平な膜でできた嚢(シスterna)が積み重なった構造を特徴とし、分泌タンパク質の修飾や選別を行います。ミトコンドリアの内部構造とは異なります。正しくは:ゴルジ体は、小胞体から輸送されたタンパク質や脂質を修飾・選別・濃縮し、細胞外へ分泌したり、リソソームへ輸送したりする役割を担います。選びやすい理由:細胞内の膜構造を持つ点では共通するため、混同する可能性があります。混同注意:粗面小胞体、滑面小胞体
- 2. 粗面小胞体は、表面にリボソームが付着しており、タンパク質合成に関与する膜でできた網状構造を示します。下図の細胞小器官は、内膜がひだ状になっているクリステを特徴とするため、粗面小胞体ではありません。正しくは:粗面小胞体は、膜表面に多数のリボソームが付着しており、分泌タンパク質や膜タンパク質の合成・折りたたみ・品質管理を行います。選びやすい理由:ミトコンドリアもタンパク質合成系を持ちますが、粗面小胞体とは構造が全く異なります。混同注意:滑面小胞体
- 3. 滑面小胞体は、リボソームが付着していない膜でできた網状構造を持ち、脂質の合成や薬物代謝に関与します。ミトコンドリア特有の内膜のひだ構造とは異なります。正しくは:滑面小胞体は、リボソームを持たず、脂質の合成、ステロイドホルモンの合成、解毒作用、カルシウムイオンの貯蔵など多様な機能を持ちます。選びやすい理由:どちらも膜構造で構成されるため、名称から区別がつきにくい場合があります。混同注意:粗面小胞体
- 4. リソソームは、加水分解酵素を多く含む一重膜で囲まれた小胞であり、細胞内の不要な物質の分解や消化を行います。内部構造にクリステのような特徴的なひだは見られません。正しくは:リソソームは、細胞内で不要となった物質や異物を分解する役割を持つ細胞小器官で、内部には多数の加水分解酵素が含まれています。選びやすい理由:膜に囲まれた小器官という点で共通しますが、ミトコンドリアの明確な内部構造とは異なります。混同注意:ペルオキシソーム、オートファゴソーム
- 5. 正解。提示された電子顕微鏡写真の矢印で示されている細胞小器官は、二重膜構造を持ち、特に内膜が内部にひだ状に突き出した「クリステ」と呼ばれる構造を示しています。これはミトコンドリアの典型的な形態学的特徴であり、細胞のエネルギー産生(ATP合成)を担う細胞小器官です。
国試ポイント
電子顕微鏡写真から細胞小器官の形態的特徴を識別し、その名称を正確に判断する能力が問われています。特に、ミトコンドリアのクリステ構造、粗面小胞体のリボソーム、ゴルジ体のシスterna構造など、主要な細胞小器官の形態を区別できることが重要です。
混同注意
他の膜系細胞小器官(粗面小胞体、滑面小胞体、ゴルジ体、リソソームなど)とミトコンドリアの形態学的特徴を混同しやすい。特に、二重膜構造と内膜のひだ(クリステ)はミトコンドリアに特有のものであるため、他の膜系構造との違いを明確に理解しておく必要がある。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、電子顕微鏡写真で細胞小器官が示された際に、まず「膜の数(一重膜か二重膜か)」「内部構造(ひだ、積み重なった嚢、リボソームの有無など)」を判別基準として確認する。特にミトコンドリアはクリステの有無と形状、リソソームは均一な内部構造、小胞体やゴルジ体は網状構造や扁平嚢の積み重なりに注目する。
関連知識
ミトコンドリアの構造(外膜、内膜、膜間腔、マトリックス、クリステ)、機能(ATP合成、クエン酸回路、電子伝達系)、起源(共生説)。他の細胞小器官の構造と機能(ゴルジ体の分泌、粗面小胞体のタンパク質合成、リソソームの分解など)。