門脈圧亢進症で起こりにくいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
門脈圧亢進症は肝臓への血流経路である門脈系に圧力が上昇する病態であり、門脈系内の鬱滞や門脈-体循環シャントの形成により、脾腫、食道静脈瘤、直腸静脈瘤、腹壁皮下静脈の怒張といった症状を呈します。一方、下大静脈は全身の静脈血を心臓へ送る体循環の主要な血管であり、その鬱血は主に右心不全や下大静脈自体の閉塞など、門脈系とは異なる原因で生じます。したがって、門脈圧亢進症で下大静脈の鬱血が直接的に起こることはありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 門脈圧亢進症では、門脈血流の鬱滞により脾臓に血液が貯留し、鬱血性脾腫を引き起こします。これは門脈圧亢進症の代表的な合併症の一つです。選びやすい理由:脾臓は門脈系の一部であり、門脈圧が上昇すれば血流が滞り、腫大することは理解しやすいでしょう。
- 2. 門脈圧が上昇すると、門脈系と体循環系の間にシャントが形成され、食道下部の静脈が拡張して静脈瘤となります。これは破裂すると重篤な出血を引き起こす可能性があります。選びやすい理由:食道静脈瘤は門脈圧亢進症の主要な合併症であり、多くの学生が正しく認識しているはずです。混同注意:胃静脈瘤など、他の部位の静脈瘤と混同しないようにしましょう。
- 3. 正解。門脈圧亢進症は、肝臓へ向かう門脈系内での血流障害や圧力上昇を指します。一方、下大静脈は全身の静脈血を心臓へ送る体循環系の主要な血管であり、その鬱血は主に右心不全や下大静脈自体の閉塞などが原因で起こります。門脈圧亢進症とは直接的な関連が薄く、この症状は通常発生しません。選びやすい理由:「鬱血」という言葉が共通しているため、何らかの形で関係があるように感じてしまうかもしれませんが、門脈系と体循環系の解剖学的な違いを理解しているかが重要です。混同注意:全身性の体液貯留や浮腫と混同しがちですが、下大静脈の鬱血は心臓に近い部位の障害に起因することが多いです。
- 4. 門脈圧亢進症では、直腸下部にある門脈系と体循環系の吻合部が拡張し、直腸静脈瘤(内痔核)を形成しやすくなります。これが破裂して出血することがあります。選びやすい理由:直腸静脈からの出血も、食道静脈瘤と同様にシャントによる合併症として知られています。混同注意:一般的な痔核と、門脈圧亢進症による痔核(直腸静脈瘤)は原因が異なりますが、症状は似ています。
- 5. 門脈圧亢進症により門脈系の血液が体循環系へ迂回するシャントが形成されると、腹壁の臍周囲の皮下静脈が拡張して怒張し、「メデューサの頭」と呼ばれる特徴的な所見を呈することがあります。選びやすい理由:この所見も門脈圧亢進症の古典的な徴候としてよく知られています。混同注意:単なる肥満による腹部膨満と混同しないように、怒張した静脈の特徴的なパターンを理解する必要があります。
国試ポイント
門脈圧亢進症の主要な合併症や症状について、その病態生理と関連付けて理解しているかを問う問題です。特に、門脈-体循環シャントによって生じる症状と、直接的な門脈系の鬱滞による症状、そして心不全などの他の疾患による症状とを区別できるかがポイントとなります。
混同注意
門脈圧亢進症による症状と、心不全や他の全身性疾患による浮腫・鬱血症状を混同しやすいです。特に、「鬱血」という言葉から、全身の静脈系が影響を受けると誤解する可能性があります。門脈系と体循環系の解剖学的・生理学的な違いを正確に理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、門脈圧亢進症の「原因」や「治療法」、あるいは「他の合併症」(腹水、肝性脳症など)について問われる可能性があります。また、具体的な検査所見(エコーでの門脈血流評価、内視鏡所見など)と結びつけて出題されることも考えられます。
関連知識
門脈系と体循環系の解剖学的接続(シャント部位:食道胃接合部、直腸、臍傍静脈、後腹膜静脈)を理解すること。門脈圧亢進症の主な原因(肝硬変など)や、他の合併症(腹水、肝性脳症など)についても関連付けて学習すると良いでしょう。