消毒用エタノールに対して抵抗性を示すのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
アルコール消毒薬は、ウイルスの脂質二重膜であるエンベロープを溶解させることで、ウイルスを不活化する作用があります。B型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルスは、いずれもエンベロープを持つエンベロープウイルスであるため、アルコール消毒に感受性があり、比較的容易に不活化されます。一方、ノロウイルスはエンベロープを持たないノンエンベロープウイルスであるため、アルコールの作用機序が効果を発揮しにくく、アルコール消毒薬に対して強い抵抗性を示します。ノロウイルスの消毒には、次亜塩素酸ナトリウムが推奨されます。
選択肢ごとの解説
- 1. B型肝炎ウイルスはエンベロープを持つエンベロープウイルスであるため、アルコールによってエンベロープが溶解し、容易に不活化されます。正しくは:アルコール消毒はB型肝炎ウイルスに対して有効です。選びやすい理由:感染症として重要度が高いため、抵抗性を持つと誤解されやすいかもしれません。混同注意:ノロウイルスやロタウイルスなどの、アルコール抵抗性を持つノンエンベロープウイルスと混同しやすいです。
- 2. インフルエンザウイルスはエンベロープを持つエンベロープウイルスであるため、アルコールによってエンベロープが溶解し、容易に不活化されます。正しくは:アルコール消毒はインフルエンザウイルスに対して有効です。選びやすい理由:冬季に流行し、手洗いの重要性が強調されるため、アルコール消毒の効果が低いと誤解する可能性があります。混同注意:ノンエンベロープウイルスであるノロウイルスと、アルコール消毒への感受性が混同されがちです。
- 3. 正解。ノロウイルスは脂質性のエンベロープを持たないノンエンベロープウイルスです。アルコール消毒薬は、エンベロープを構成する脂質を溶解することでウイルスの不活化を図るため、エンベロープを持たないノロウイルスには効果が限定的であり、抵抗性を示します。そのため、ノロウイルスに対する消毒には次亜塩素酸ナトリウムが推奨されます。
- 4. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はエンベロープを持つエンベロープウイルスであるため、アルコールによってエンベロープが溶解し、容易に不活化されます。正しくは:アルコール消毒はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して有効です。選びやすい理由:重篤な感染症を引き起こすため、強い病原体は消毒薬にも強いという先入観から誤って選ぶ可能性があります。混同注意:アルコール消毒に強いノンエンベロープウイルスや細菌の芽胞などと混同されることがあります。
- 5. ヘルペスウイルスはエンベロープを持つエンベロープウイルスであるため、アルコールによってエンベロープが溶解し、容易に不活化されます。正しくは:アルコール消毒はヘルペスウイルスに対して有効です。選びやすい理由:比較的一般的な感染症の原因ウイルスであるため、抵抗性を持つと誤解しやすいかもしれません。混同注意:アルコール抵抗性を持つノロウイルスのようなノンエンベロープウイルスや、他の薬剤耐性を持つ菌種と混同されることがあります。
国試ポイント
消毒薬の種類と、それに対する微生物(細菌、ウイルス、真菌、芽胞など)の感受性を問う問題は、臨床検査技師国家試験において基本的な知識として頻出です。特に、アルコール消毒薬に対するウイルスのエンベロープの有無による感受性の違いは重要であり、ノロウイルスのように特定の消毒薬に抵抗性を示す病原体はよく出題されます。
混同注意
エンベロープを持つウイルス(アルコール感受性)と持たないウイルス(アルコール抵抗性)の区別が最も重要です。また、アルコールと次亜塩素酸ナトリウムの適用範囲や、細菌の芽胞がアルコールに抵抗性を示すこととも混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、消毒薬の種類(アルコール、次亜塩素酸ナトリウム、グルタラールなど)と、それぞれの作用機序を理解しているか。そして、主な病原体(細菌、真菌、ウイルス、芽胞、プリオン)の種類と、各消毒薬に対する感受性や抵抗性を正確に把握しているかを確認する必要があります。特に、ノンエンベロープウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)と細菌の芽胞(クロストリジウム・ディフィシルなど)がアルコール消毒に抵抗性を示すことは重要です。
関連知識
エンベロープウイルスには、HIV、HBV、HCV、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルスなどがあります。これらはアルコール消毒のほか、熱や乾燥にも比較的弱いです。ノンエンベロープウイルスには、ノロウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルスなどがあります。これらはアルコール消毒のほか、熱や乾燥にも比較的強いです。芽胞形成菌(例: クロストリジウム・ディフィシル)もアルコールでは不活化されず、物理的な洗浄や次亜塩素酸ナトリウムが必要です。