選択分離培地と目的菌の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
この問題は、主要な選択分離培地とその目的菌の正確な組み合わせを問うものです。CIN寒天培地はYersinia enterocoliticaの分離に特化しており、特徴的なブルズアイ集落を形成します。NAC寒天培地はPseudomonas aeruginosaの選択分離に用いられ、セトリミドが緑膿菌以外の菌の発育を抑制します。他の選択肢は培地と目的菌の組み合わせが誤っています。BBE寒天培地はBacteroides fragilis、CCFA寒天培地はClostridioides difficile、Thayer-Martin寒天培地はNeisseria属菌(淋菌、髄膜炎菌など)が目的菌です。
選択肢ごとの解説
- 1. BBE寒天培地(Bacteroides Bile Esculin Agar)は、主にBacteroides fragilisなどの嫌気性グラム陰性桿菌、特にエスクリン加水分解能を持つ菌の選択分離に用いられます。Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)の分離には適していません。正しくは:BBE寒天培地の目的菌は主にBacteroides fragilisです。Neisseria meningitidisの選択分離にはThayer-Martin寒天培地などが用いられます。選びやすい理由:多種類の培地名と菌名が並んでいるため、知識が曖昧だと誤った組み合わせを選びやすい。混同注意:様々な選択培地の名前と目的菌が混同しやすい。特に嫌気性菌用培地と好気性菌用培地、グラム陽性菌用とグラム陰性菌用といった区別。
- 2. CCFA寒天培地(Cycloserine-Cefoxitin Fructose Agar)は、Clostridioides difficile(クロストリディオイデス・ディフィシル)の選択分離培地です。Bacteroides fragilisの分離には適していません。正しくは:CCFA寒天培地の目的菌はClostridioides difficileです。Bacteroides fragilisの選択分離にはBBE寒天培地などが用いられます。選びやすい理由:Bacteroides fragilisも嫌気性菌であり、Clostridioides difficileも嫌気性菌であるため、嫌気性菌用の選択培地という共通点から混同しやすい。混同注意:嫌気性菌用の選択分離培地(BBE, CCFAなど)とそれぞれの目的菌の組み合わせ。
- 3. 正解。CIN寒天培地(Cefsulodin-Irgasan-Novobiocin Agar)は、Yersinia enterocolitica(腸炎エルシニア)の選択分離培地として広く用いられています。本培地ではYersinia enterocoliticaは特徴的なブルズアイ(牛の目)状の集落を形成します。
- 4. 正解。NAC寒天培地(Nalidixic Acid Cetrimide Agar)は、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)の選択分離培地です。セトリミドが他の細菌の発育を抑制し、緑膿菌の発育を促進する効果があります。
- 5. Thayer-Martin寒天培地は、Neisseria gonorrhoeae(淋菌)やNeisseria meningitidis(髄膜炎菌)などのナイセリア属菌の選択分離培地として用いられます。Clostridioides difficileの分離には適していません。正しくは:Thayer-Martin寒天培地の目的菌はNeisseria属菌(特に淋菌・髄膜炎菌)です。Clostridioides difficileの選択分離にはCCFA寒天培地などが用いられます。選びやすい理由:Clostridioides difficileが感染症の原因菌として有名であり、Thayer-Martin培地も感染症診断に用いられる培地であるため、関連性があるように見えるかもしれない。混同注意:ナイセリア属菌用培地(Thayer-Martin)とクロストリディオイデス・ディフィシル用培地(CCFA)の混同。
国試ポイント
臨床微生物学における「選択分離培地」と「目的菌」の組み合わせは、微生物検査の基本知識として頻出します。特に、特定の感染症の診断に用いられる代表的な培地と、そこで分離される主要な菌種を正確に理解しているかが問われます。培地の構成成分(選択剤)がなぜその菌を選択的に増殖させるのか、他の菌の発育を抑制するのかという原理まで理解していると、応用問題にも対応できます。今回は2つ選択させる形式で、より広範囲の知識を問うています。
混同注意
多数の培地名と、様々な性状を持つ菌種が混在するため、それぞれの選択性(どの菌が発育し、どの菌が抑制されるか)と、その培地の特徴的な反応(例: ブルズアイ集落、エスクリン加水分解など)を混同しやすい。特に、嫌気性菌用培地、グラム陰性桿菌用培地、特定の栄養要求性を持つ菌用培地といったグループ分けを理解していないと誤答しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同じような問題が出題された場合、選択分離培地の名称だけでなく、その培地に含まれる主要な選択剤や、その培地で分離される菌の典型的な集落形態(色、透明度、溶血性、特徴的な反応など)も確認するようにしましょう。また、目的菌の病原性や臨床的意義についても併せて復習し、単なる暗記ではなく関連付けて理解することが重要です。特に、国家試験でよく問われる主要な病原菌については、分離培地、同定試験、薬剤感受性試験の関連知識をまとめておくのが有効です。
関連知識
選択分離培地は、検体中に目的菌以外の雑菌が多く含まれる場合でも、目的菌を効率よく分離・検出するために開発された培地です。これには、特定の栄養素の添加や、特定の菌の発育を抑制する選択剤(抗生物質、色素、胆汁酸など)の配合が行われます。主な選択分離培地と目的菌の例:SS寒天培地(サルモネラ属菌、シゲラ属菌)、DHL寒天培地(サルモネラ属菌、シゲラ属菌)、マッコンキー寒天培地(腸内細菌科)、TCBS寒天培地(腸炎ビブリオ、コレラ菌)、LCB培地(Campylobacter属菌)、スキロー培地(Campylobacter属菌)。