ヘキソキナーゼ・グルコース6リン酸脱水素酵素法を用いた血清グルコース測定における反応終結時の試薬対照における吸収スペクトル(別冊No. 4)を別に示す。主波長340 nmと副波長400 nmによる二波長法で測定した場合、患者血清のグルコース濃度[mg/dL]はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
別冊No. 4の吸収スペクトルから、二波長法の吸光度差(340 nm − 400 nm)を読み取ります。患者血清は0.85 − 0.25 = 0.60、200 mg/dLグルコース標準液は0.75 − 0 = 0.75です。濃度は吸光度差に比例するので、200 × 0.60 / 0.75 = 160 mg/dLとなります(公式正答2)。
選択肢ごとの解説
- 1. 吸光度差の比(0.60 / 0.75)を正しく用いると160 mg/dLになり、120 mg/dLにはなりません。正しくは:患者血清の吸光度差 / 標準液の吸光度差 × 標準液濃度 = 0.320 / 0.200 × 100 mg/dL = 160 mg/dL選びやすい理由:吸光度差の比率から濃度を求める基本的な計算は理解しているが、具体的な数値適用や計算の順序で誤りが生じやすいです。混同注意:比率計算の順序。例えば、0.200 / 0.320 × 100 = 62.5となり、全く異なる値となります。
- 2. 正解。患者血清の吸光度差0.60(0.85 − 0.25)と200 mg/dL標準液の吸光度差0.75(0.75 − 0)の比から、200 × 0.60 / 0.75 = 160 mg/dLと求められます。選びやすい理由:問題文の提示された数値を正しく使用し、検量線の原理に基づいて正確に計算できた場合。混同注意:特になし。正しい計算結果。
- 3. 標準液の濃度(200 mg/dL)をそのまま答えた値です。患者血清の吸光度差は標準液より小さいため、200 mg/dLより低くなります。正しくは:患者血清の吸光度差 / 標準液の吸光度差 × 標準液濃度 = 0.320 / 0.200 × 100 mg/dL = 160 mg/dL選びやすい理由:標準液の濃度が100mg/dLであることが見落とされ、図中の「200mg/dLグルコース標準液」という記載に惑わされた可能性があります。図の200mg/dLは別のデータ曲線を示しており、本計算には直接使用しない情報です。混同注意:問題文で与えられた標準液濃度と図中に記載された200 mg/dLの標準液との混同。
- 4. 副波長400 nmの吸光度を差し引かずに主波長340 nmの吸光度だけで比をとるなど、二波長法の計算を誤った場合に近づく値です。正しくは160 mg/dLです。正しくは:患者血清の吸光度差 / 標準液の吸光度差 × 標準液濃度 = 0.320 / 0.200 × 100 mg/dL = 160 mg/dL選びやすい理由:計算間違いや、問題文中の情報(例えば画像中の200mg/dL標準液)に惑わされて誤った値を使って計算してしまった可能性があります。混同注意:計算方法の誤り。特に、単純な比例計算の原理を理解していなかったり、うっかりミスで数値を入れ違えたりする可能性があります。
- 5. 二波長法の吸光度差の比を逆に用いるなど、計算を誤った場合の値です。正しくは160 mg/dLです。正しくは:問題文で与えられた数値情報を用いて濃度を計算する。選びやすい理由:問題にグラフが示されているため、グラフから直接数値を読み取ろうとする、あるいはグラフに記載されている200 mg/dLの標準液の情報を、問題文で与えられた100 mg/dLの標準液と混同する可能性があります。混同注意:グラフ情報と数値情報の役割。グラフは原理の説明や視覚的情報提供であり、具体的な計算には数値を用いるという区別が曖昧になっている可能性。
国試ポイント
吸光光度法における検量線を用いた濃度計算および二波長法の原理を理解する。
混同注意
問題で提示されている吸光度スペクトルは試薬対照のものであり、患者血清や標準液の吸光度差とは直接関係しません。このグラフはNADHの吸光ピークが340nmであることを示唆しているにすぎません。問題文で与えられた吸光度差の値を用いて計算する必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合は、まず標準液の濃度と吸光度差から検量線係数(吸光度差あたりの濃度)を求めます。次に、患者血清の吸光度差にその係数を乗じて濃度を算出します。二波長法における主波長と副波長の意義も確認します。
関連知識
吸光度(A)は濃度(C)と光路長(L)に比例し、ランベルト・ベールの法則A = εCLで表されます。二波長法は、測定波長での測定物質の吸光度から、干渉物質の吸光度の影響が少ない副波長での吸光度を差し引くことで、干渉物質の影響を補正し、測定精度を向上させる手法です。NADHは340nmに極大吸収を持ち、NAD+は340nmに吸収がないことを利用しています。