尿定性試験紙法でアスコルビン酸による影響がないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
尿定性試験紙法において、アスコルビン酸は強い還元作用を持つため、多くの項目で偽陰性を引き起こす可能性があります。具体的には、潜血、亜硝酸塩、ブドウ糖、ビリルビンはそれぞれ、過酸化物反応、ジアゾ化反応、グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ反応、ジアゾニウム塩反応といった酸化還元反応やジアゾ化反応を利用しており、アスコルビン酸がこれらを阻害することで呈色反応が不十分となり、偽陰性となります。一方、蛋白の検出は「蛋白質誤差」の原理に基づいており、pH指示薬の色調変化を利用するため、アスコルビン酸の還元作用の影響をほとんど受けません。したがって、蛋白がアスコルビン酸による影響を受けない項目です。
選択肢ごとの解説
- 1. アスコルビン酸は試験紙の呈色反応を阻害し、偽陰性の結果を引き起こすことがあります。潜血反応は過酸化物とクロモゲンの反応を利用しており、アスコルビン酸が還元剤として働き、この反応を妨げるためです。正しくは:アスコルビン酸による影響を避けるためには、尿検体を採取する際にアスコルビン酸の摂取状況を確認するか、別の方法で測定する必要があります。選びやすい理由:潜血は体内の状態を直接反映するため、アスコルビン酸のような外部因子の影響は受けにくいと誤解されることがあります。混同注意:他の還元性物質による干渉と混同しやすいです。
- 2. 正解。蛋白の検出は、試験紙に含まれるテトラブロモフェノールブルーなどの指示薬が、特定のpH条件下で蛋白質と結合して色調変化を起こす「蛋白質誤差」の原理を利用しています。この反応はアスコルビン酸の還元作用による影響をほとんど受けません。混同注意:グルコースなど、他の項目がアスコルビン酸の影響を受けることから、蛋白も影響を受けると誤解されることがあります。
- 3. 亜硝酸塩の検出は、アミンとのジアゾ化反応とカップリング反応を利用しています。アスコルビン酸がこのジアゾ化反応を阻害するため、偽陰性となることがあります。正しくは:アスコルビン酸による影響を考慮し、偽陰性の可能性を排除できない場合は、細菌培養などの追加検査が必要です。選びやすい理由:尿路感染症のスクリーニング項目であり、アスコルビン酸とは直接的な関連がないように思えるため。混同注意:尿pHや比重など、他の尿の状態に影響される因子と混同しやすいです。
- 4. ブドウ糖の検出は、グルコースオキシダーゼとペルオキシダーゼの酵素反応を利用しています。アスコルビン酸は還元剤として働き、ペルオキシダーゼによる呈色反応を阻害するため、偽陰性を引き起こすことがあります。正しくは:アスコルビン酸の影響が疑われる場合は、血糖値測定など、別の方法で糖の有無を確認する必要があります。選びやすい理由:尿糖は糖尿病の重要な指標であり、アスコルビン酸が血糖値に直接影響しないため、試験紙の結果にも影響しないと誤解されがちです。混同注意:糖尿病患者がビタミンCを多く摂取することがあるため、その関係性について誤解を生みやすいです。
- 5. ビリルビンの検出は、ジアゾニウム塩との反応による呈色を利用します。アスコルビン酸はこの反応を阻害し、偽陰性の結果をもたらすことがあります。正しくは:アスコルビン酸の影響を避けるためには、早朝尿を用いるなど、尿中のアスコルビン酸濃度が低い時に測定するか、別の検出方法を検討します。選びやすい理由:肝機能の指標であり、アスコルビン酸との関連性が薄いように感じられるため。混同注意:ウロビリノーゲンとの検出原理の違いや、他の色素による干渉と混同しやすいです。
国試ポイント
尿定性試験紙法の各項目における測定原理を理解しているか、特に外因性物質(アスコルビン酸)が各測定項目にどのような干渉(偽陽性・偽陰性)を引き起こすかという知識が問われています。アスコルビン酸が還元作用により多くの項目で偽陰性を引き起こす点が重要です。
混同注意
アスコルビン酸による「偽陰性」と、他の物質による「偽陽性」の区別が曖昧になりやすいです。また、各試験項目でアスコルビン酸がどの反応ステップに干渉するかという詳細なメカニズムや、アスコルビン酸以外の薬剤・飲食物による干渉と混同することもあります。
次に同じ論点が出たら
次回この論点が出題される場合、アスコルビン酸以外の干渉物質(例:ホルマリン、漂白剤、特定の薬剤)や、偽陽性を引き起こす項目について問われる可能性が高いです。また、特定の疾患における尿検査結果の特徴(例:糖尿病患者における尿糖とアスコルビン酸の影響)を臨床シナリオと絡めて問われることも考えられます。
関連知識
尿定性試験紙法の各項目の測定原理(例:グルコースオキシダーゼ法、テトラブロモフェノールブルー法、ジアゾ化カップリング法、ペルオキシダーゼ様作用)。アスコルビン酸以外の干渉物質(例:薬剤、食品色素、消毒薬)。偽陽性、偽陰性の概念とその臨床的意義。尿検体の適切な保存・処理方法。