発現蛋白の機能亢進により発がん性を発揮するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
MYCは代表的な原癌遺伝子であり、細胞の増殖、分化、アポトーシスを制御する転写因子として機能します。通常は厳密に制御されていますが、遺伝子増幅や染色体転座などによってMYC遺伝子の発現が亢進すると、細胞の異常増殖が促進され、最終的に発がんにつながります。一方、他の選択肢であるAPC、BRCA1、RB1、TP53はすべてがん抑制遺伝子であり、これらの遺伝子の機能が喪失することによって発がんリスクが増大します。
選択肢ごとの解説
- 1. APC遺伝子は細胞の増殖を制御するがん抑制遺伝子であり、その機能が低下または失われること(機能喪失)で発がんリスクが高まります。機能亢進で発がん性を示すものではありません。正しくは:APCは、その機能が失われること(機能喪失)で発がん性を発揮します。選びやすい理由:大腸がんなどでよく知られている主要ながん関連遺伝子の一つであり、名前がよく知られているため、深く考えずに選んでしまう可能性があります。混同注意:原癌遺伝子とがん抑制遺伝子の区別、特にそれぞれの機能亢進・機能喪失が発がんにどう影響するかという基本的な概念。
- 2. BRCA1遺伝子はDNAの修復に関わるがん抑制遺伝子であり、その機能が低下または失われること(機能喪失)で乳がんや卵巣がんなどの発がんリスクが高まります。機能亢進で発がん性を示すものではありません。正しくは:BRCA1は、その機能が失われること(機能喪失)で発がん性を発揮します。選びやすい理由:遺伝性乳がん・卵巣がんの原因遺伝子として非常に有名であり、がん関連遺伝子として注目度が高いため、選択肢として目を引きやすいです。混同注意:原癌遺伝子とがん抑制遺伝子の区別、およびDNA修復と細胞増殖のメカニズム。
- 3. 正解。MYC遺伝子は細胞の増殖や分化を促進する原癌遺伝子です。その発現量やタンパク質の機能が異常に亢進すると、細胞の無秩序な増殖が引き起こされ、発がんへとつながります。
- 4. RB1遺伝子(網膜芽細胞腫遺伝子)は、細胞周期の進行を負に制御するがん抑制遺伝子です。その機能が低下または失われること(機能喪失)により細胞周期の制御が破綻し、発がんリスクが高まります。機能亢進で発がん性を示すものではありません。正しくは:RB1は、その機能が失われること(機能喪失)で発がん性を発揮します。選びやすい理由:細胞周期制御の重要な因子であるため、細胞増殖に関連するイメージから原癌遺伝子と誤解される可能性があります。混同注意:細胞周期制御における原癌遺伝子とがん抑制遺伝子の役割の違い。
- 5. TP53遺伝子は「ゲノムの守護者」とも称される主要ながん抑制遺伝子で、DNA損傷応答、細胞周期停止、アポトーシス誘導などに関与します。その機能が低下または失われること(機能喪失)により、癌化が促進されます。機能亢進で発がん性を示すものではありません。正しくは:TP53は、その機能が失われること(機能喪失)で発がん性を発揮します。選びやすい理由:最も有名ながん抑制遺伝子であり、多くのがんに深く関与しているため、がんに関する問題であればつい選びたくなる心理が働きます。混同注意:原癌遺伝子とがん抑制遺伝子の機能の違い。TP53の重要性が非常に高いため、がん遺伝子全般の代表として選んでしまいがち。
国試ポイント
原癌遺伝子とがん抑制遺伝子の基本的な違い、特に「機能亢進」と「機能喪失」がそれぞれどちらの発がんメカニズムに関連するかを正確に理解しているかを問う問題です。代表的な癌関連遺伝子の名称と、それが原癌遺伝子か、がん抑制遺伝子かの分類を正確に覚えているかがポイントになります。
混同注意
原癌遺伝子(機能亢進で発がん)とがん抑制遺伝子(機能喪失で発がん)の働きが混同されやすいです。特に、「遺伝子の異常」という漠然とした知識だけでは、どちらの機能異常が発がんにつながるのかを区別できません。
次に同じ論点が出たら
「機能亢進」または「機能喪失」というキーワードにまず注目し、それが原癌遺伝子とがん抑制遺伝子のどちらに当てはまるかを判断する。その上で、各選択肢の遺伝子がどちらのカテゴリーに属するかを知識から引き出すことが重要です。癌関連遺伝子の名称と分類、その役割(細胞増殖、DNA修復、細胞周期制御など)をセットで覚えることが重要です。
関連知識
原癌遺伝子: 正常な細胞増殖や分化を促進する遺伝子。例: RAS, MYC, ERBB2 (HER2), ABLなど。機能亢進型変異や過剰発現によって癌化を促進する。がん抑制遺伝子: 異常な細胞増殖を抑制したり、DNA損傷を修復したり、アポトーシスを誘導したりして、癌化を防ぐ遺伝子。例: TP53, RB1, BRCA1/2, APC, PTEN, WT1など。機能喪失型変異によって癌化を促進する。発がんは通常、複数の遺伝子変異が蓄積することで起こる多段階発がんの過程を経て進行します。