染色体異常とそれに伴う融合遺伝子との組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
t(15;17)(q22;q12)は、染色体15番長腕q22と17番長腕q12の転座によって生じ、PML遺伝子とRARA遺伝子が融合したPML::RARA融合遺伝子を形成します。この融合遺伝子は急性前骨髄球性白血病(APL)の診断に必須であり、治療法選択にも重要な役割を果たします。
選択肢ごとの解説
- 1. t(8;21)転座はAML1-ETO融合遺伝子(RUNX1::RUNX1T1)を形成し、急性骨髄性白血病M2型に特徴的です。CBFB::MYH11はinv(16)で生じます。正しくは:t(8;21)(q22;q22)はRUNX1::RUNX1T1融合遺伝子と関連します。選びやすい理由:染色体転座と遺伝子名が提示されているため、一見正しい組み合わせに見えるかもしれません。混同注意:inv(16)とt(8;21)で生じる融合遺伝子を混同しやすいです。CBFB::MYH11はinv(16)に、RUNX1::RUNX1T1はt(8;21)に対応します。
- 2. t(9;11)転座はKMT2A::MLLT3融合遺伝子を形成し、急性単球性白血病などで見られます。BCR::ABL1はt(9;22)(フィラデルフィア染色体)で生じます。正しくは:t(9;11)(p21.3;q23.3)はKMT2A::MLLT3(またはMLLT3::KMT2A)融合遺伝子と関連します。選びやすい理由:BCR::ABL1は非常に有名な融合遺伝子ですが、対応する染色体転座が誤っています。混同注意:t(9;11)とt(9;22)の融合遺伝子を混同しやすいです。BCR::ABL1はt(9;22)に、KMT2A::MLLT3はt(9;11)に対応します。
- 3. t(9;22)転座(フィラデルフィア染色体)はBCR::ABL1融合遺伝子を形成し、慢性骨髄性白血病(CML)に特徴的です。MLLT3::KMT2A(またはKMT2A::MLLT3)はt(9;11)で生じます。正しくは:t(9;22)(q34;q11.2)はBCR::ABL1融合遺伝子と関連します。選びやすい理由:MLLT3::KMT2Aも白血病に関連する融合遺伝子ですが、対応する染色体転座が誤っています。混同注意:t(9;22)とt(9;11)で生じる融合遺伝子を混同しやすいです。BCR::ABL1はt(9;22)に、MLLT3::KMT2Aはt(9;11)に対応します。
- 4. 正解。t(15;17)転座は、PML遺伝子とRARA遺伝子が融合することでPML::RARA融合遺伝子を形成します。これは急性前骨髄球性白血病(APL)に特徴的な異常です。正しくは:この組み合わせは正しいです。
- 5. inv(16)転座はCBFB::MYH11融合遺伝子を形成し、急性骨髄性白血病M4Eo型に特徴的です。RUNX1::RUNX1T1はt(8;21)で生じます。正しくは:inv(16)(p13.1;q22)はCBFB::MYH11融合遺伝子と関連します。選びやすい理由:RUNX1::RUNX1T1も白血病に関連する融合遺伝子ですが、対応する染色体異常が誤っています。混同注意:inv(16)とt(8;21)で生じる融合遺伝子を混同しやすいです。CBFB::MYH11はinv(16)に、RUNX1::RUNX1T1はt(8;21)に対応します。
国試ポイント
本問題は、白血病における主要な染色体異常とその結果生じる融合遺伝子の正確な組み合わせを問うものです。特に頻出かつ治療選択に直結する転座(例: t(9;22), t(15;17), inv(16), t(8;21), t(9;11)など)と、それに対応する融合遺伝子名を確実に覚えているかがポイントとなります。
混同注意
白血病関連の染色体異常と融合遺伝子は多数あり、互いに混同しやすいです。特に、転座番号と遺伝子名のペアを正確に記憶することが求められます。例えば、t(8;21)とRUNX1::RUNX1T1、inv(16)とCBFB::MYH11、t(9;22)とBCR::ABL1、t(15;17)とPML::RARA、t(9;11)とKMT2A::MLLT3などは特に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の主要な染色体異常(例: t(1;19), t(12;21))とそれに伴う融合遺伝子(例: TCF3::PBX1, ETV6::RUNX1)の知識も確認する必要があります。また、融合遺伝子の意義(予後や治療効果)についても問われる可能性があります。
関連知識
白血病の診断では、形態学的な分類に加えて、細胞遺伝学的検査や分子生物学的検査による染色体異常や融合遺伝子の検出が非常に重要です。これらは病型分類、予後予測、治療方針の決定に不可欠な情報となります。特にPML::RARA融合遺伝子はAPLの特異的なマーカーであり、レチノイン酸(ATRA)治療の効果予測因子となります。