H-E染色標本(別冊No. 10)を別に示す。この臓器はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下に示すH-E染色標本では、外側の皮質と内側の髄質が明確に区別できます。皮質はさらに球状帯、束状帯、網状帯の3層に分かれており、それぞれの層で細胞の配列や形態に特徴が見られます。特に、束状帯の細胞は明るく見え、索状に配列しています。これらの組織学的所見は副腎に一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 視床下部は中枢神経系の一部であり、神経細胞や神経膠細胞が主体となる組織像を示します。この画像に見られるような明瞭な皮質・髄質の構造や、内分泌腺特有の細胞配列とは異なります。正しくは:視床下部のH-E染色標本は、神経細胞体が集中する灰白質と神経線維が走行する白質から構成されます。特に内分泌腺細胞の集積は見られません。選びやすい理由:内分泌機能を持つという点で関連があるかもしれませんが、組織構造が大きく異なります。混同注意:下垂体と混同する可能性がありますが、下垂体も内分泌腺でありながら、この画像とは異なる細胞配列を示します。
- 2. 下垂体は前葉、後葉、中葉に分かれ、それぞれ異なる細胞の種類と配列を持ちます。特に前葉は細胞が索状に配列し、好酸性、好塩基性、嫌色素性の細胞が見られますが、この画像に見られるような明瞭な皮質・髄質の層構造は通常認められません。正しくは:下垂体は前葉、中葉、後葉からなり、前葉では細胞が索状に配列し、後葉は神経分泌終末と神経膠細胞が主体です。副腎のような層構造は見られません。選びやすい理由:内分泌器官であるため、迷うかもしれませんが、下垂体の組織構造は副腎とは明確に異なります。混同注意:他の内分泌腺、特に副甲状腺や甲状腺と混同することがあるかもしれません。
- 3. 副甲状腺は主細胞と好酸性細胞(oxyphil cell)が主体となり、これらが索状または小型の胞巣状に配列します。この画像に見られるようなはっきりとした皮質・髄質の区分けや、各層に特徴的な細胞の配列は認められません。正しくは:副甲状腺は主細胞と好酸性細胞が主体で、索状または胞巣状に配列します。副腎に見られる層状構造は持ちません。選びやすい理由:これも内分泌腺であるため、関連性を感じるかもしれませんが、組織学的特徴が異なります。混同注意:甲状腺や他の内分泌腺と混同しやすいです。
- 4. 膵臓は大部分が外分泌腺であり、漿液性の腺房細胞がブドウの房状に集まります。内分泌機能を持つ膵島(ランゲルハンス島)は、散在的に存在する小型の細胞集団であり、この画像に見られるような広範な層構造を持つ臓器ではありません。正しくは:膵臓は外分泌腺(腺房)が大部分を占め、内分泌機能を持つ膵島(ランゲルハンス島)が散在します。副腎のような層状構造とは異なります。選びやすい理由:内分泌機能も持つため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、組織の主要な部分は外分泌腺であり、副腎の形態とは大きく異なります。混同注意:唾液腺など、他の外分泌腺と混同することがあります。
- 5. 正解。下に示すH-E染色標本は、明らかに皮質と髄質に分かれている構造を示し、特に皮質は外側から球状帯、束状帯、網状帯という特徴的な層構造を持っています。球状帯の細胞は丸く密に、束状帯は索状に配列し脂質滴を豊富に含むため明るく見え、網状帯は不規則な索状配列を示します。髄質にはクロム親和性細胞が認められます。これらの組織学的特徴は副腎に特有のものです。選びやすい理由:他の内分泌腺も選択肢にあるため、それぞれの特徴を正確に把握していないと迷う可能性があります。混同注意:他の内分泌腺、特に下垂体や副甲状腺の組織像と混同しやすいです。
国試ポイント
臓器のH-E染色標本を見て、その組織学的特徴から正しい臓器を同定できるかどうかが問われる問題です。特に、内分泌腺の層構造や細胞の形態・配列に関する知識が重要となります。
混同注意
視床下部、下垂体、副甲状腺、膵臓など、他の内分泌機能を持つ臓器の組織像。それぞれの臓器に特有の構造(例:膵島の散在、下垂体の葉の構造、副甲状腺の主細胞と好酸性細胞)を把握していないと混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の組織像問題が出た場合、まず臓器全体の構造(例:皮質・髄質の有無、層構造の有無)を識別し、次に各層や領域の細胞の形態、配列、染色性といった微細構造に着目して同定する。
関連知識
副腎の皮質(球状帯、束状帯、網状帯)と髄質の構造と機能。各層で産生されるホルモン(鉱質コルチコイド、糖質コルチコイド、アンドロゲン、カテコールアミン)。他の内分泌腺(下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、生殖腺)のH-E染色標本における組織学的特徴。