商用交流によるマクロショックで、自分の筋肉を動かして離脱できる限界電流[mA]はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
商用交流における離脱限界電流は、約10mAとされています。この電流値を超えると、筋肉の不随意な収縮により、感電者が自らの意思で電線から手を離すことが困難または不可能になります。電気安全においては、この離脱限界電流が非常に重要な指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 0.1mAは、ごく少数の人がわずかに電流を感じ始める「感知電流」のレベルに近い値であり、離脱限界電流としては低すぎます。正しくは:人が感知し始める電流の閾値であり、筋肉のコントロールに影響を与えるレベルではありません。選びやすい理由:電流値が非常に小さいため、安全な範囲と誤解しやすいですが、質問は「離脱できる限界」を問うています。混同注意:最小感知電流や、ミクロショックにおける心室細動電流(約0.1mA)と混同しやすいです。
- 2. 1mAは、人がはっきりと電流を感じる「感知電流」の範囲であり、軽いしびれや不快感を覚える程度です。自力での離脱が困難になるような筋収縮は起こりにくい段階であり、離脱限界電流としてはまだ低いです。正しくは:はっきりと電流を感じるが、まだ筋肉の制御を失うほどの電流ではありません。選びやすい理由:比較的低い電流値であるため、このあたりで危険ではないと考えてしまう可能性がありますが、離脱限界電流ではありません。混同注意:一般的な感知電流や、痛みを感じ始める電流と混同しやすいです。
- 3. 正解。商用交流(50-60Hz)における離脱限界電流は、男性で約10-15mA、女性で約6-9mAとされています。この値は、自力で感電状態から体を離すことが可能とされる最大の電流値として一般的に認識されています。これを超えると、筋肉が痙攣し硬直するため、自分の意思で手を離すことが非常に困難または不可能になります。
- 4. 100mAは、心臓を介して流れると心室細動を引き起こす可能性のある非常に危険な電流レベルです。この状態では自力での離脱は不可能であり、生命に致命的な影響が及ぶ可能性があります。正しくは:この電流値は心室細動を誘発する可能性があり、自力での離脱は不可能で生命に危険が及びます。選びやすい理由:大きな電流であることは認識できるかもしれませんが、それが具体的にどのレベルの危険性を持つか、離脱限界電流とは全く異なることを理解していないと選びかねません。混同注意:心室細動電流や、致死電流と混同しやすいです。
- 5. 1,000mA(1A)は、心停止や重度の熱傷を確実に引き起こす、極めて致死的な電流レベルです。この電流値では、もはや離脱の概念は存在せず、直ちに生命が失われるか、重篤な後遺症が残ります。正しくは:この電流値は致死的な影響を与え、心停止や重度の組織損傷を引き起こします。選びやすい理由:他の選択肢と比較して桁違いに大きいため、間違いと判断しやすいですが、電気安全の知識が不足していると誤って選ぶ可能性もゼロではありません。混同注意:心室細動電流や致死電流の数値(オーダー)と混同しやすいです。
国試ポイント
電気安全に関する基本的な知識、特に人体が電流に反応する閾値について問われています。マクロショックとミクロショックの違い、感知電流、離脱限界電流、心室細動電流といった主要な電流閾値とその数値の正確な理解が求められます。これらの知識は、医療機器の安全な取り扱いや患者安全の確保に直結するため、臨床検査技師として必須です。
混同注意
感知電流(約0.1-1mA)、痛みを感じる電流(1-5mA)、呼吸麻痺を起こす電流(約20-50mA)、心室細動電流(マクロショックで約50-100mA、ミクロショックで約0.1mA)など、人体の電気反応に関する様々な電流閾値と混同しやすいです。それぞれの電流値が人体に及ぼす影響と、具体的な数値のオーダーを正確に覚えることが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に類似問題が出題された際は、『マクロショックかミクロショックか』、そして『問われているのが感知電流、離脱限界電流、心室細動電流のいずれか』を最初に確認しましょう。特に、マクロショックとミクロショックでは心室細動を誘発する電流値が大きく異なるため(マクロショックで約50-100mA、ミクロショックで約0.1mA)、この区別が非常に重要です。
関連知識
電気による人体への影響は、電流の経路、時間、種類(交流か直流か)、周波数、接触面積、皮膚抵抗によって異なります。一般的に、交流(特に50-60Hz)は心室細動を誘発しやすく、直流よりも危険とされています。また、湿潤な皮膚は乾燥した皮膚よりも電気抵抗が低く、より少ない電圧で危険な電流が流れやすくなります。臨床現場では、特に心臓に直接通じる経路がある場合(例:心臓カテーテル使用時)には、マクロショックよりはるかに低い電流(ミクロショック)で心室細動が起こる可能性があるため、より厳重な電気安全管理が求められます。