熱画像検査〈サーモグラフィ〉で低温相を示すことが多い病態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
レイノー病は、寒冷刺激や精神的ストレスにより、手足の末梢動脈が発作的に収縮し、血流が著しく低下する病態です。これにより患部の皮膚温が低下するため、熱画像検査では低温相として描出されます。これは病態生理と直接的に関連する所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 乳癌は、細胞の異常増殖に伴う代謝亢進と、それに伴う腫瘍周囲の血管新生による血流増加が見られます。そのため、病変部位は周囲組織よりも温度が高くなることが多く、熱画像検査では一般的に高温相を示します。正しくは:乳癌は、一般的に高温相を示すことが多い。選びやすい理由:癌という重大な疾患であるため、何かしらの異常を示すと考えるのは自然だが、その異常が低温であると誤解しやすい。混同注意:代謝亢進による発熱や炎症症状の有無。
- 2. 静脈炎は、静脈に炎症が生じる病態です。炎症反応は、血管拡張や血流増加、発熱を伴うため、炎症部位は周囲組織よりも温度が高くなり、熱画像検査では高温相を示します。正しくは:静脈炎は、高温相を示すことが多い。選びやすい理由:炎症という単語から、血行障害を連想してしまい、低温を連想することもあるかもしれない。混同注意:動脈の閉塞による虚血性変化。
- 3. 動脈瘤は、動脈壁の一部が局所的に拡張した病態であり、通常、瘤自体が周囲組織より温度が著しく低下することはありません。むしろ血流が豊富な部分であり、炎症を伴う場合は高温を示す可能性もあるため、低温相を示す病態とは異なります。正しくは:動脈瘤は、一般的に低温相を示すことはない。炎症を伴う場合は高温を示す可能性もある。選びやすい理由:動脈の異常という点から血行障害を連想しやすいが、動脈瘤自体が直接的な虚血を引き起こすわけではない。混同注意:動脈閉塞症などの虚血性疾患。
- 4. 静脈うっ滞は、静脈血の還流が滞り、血液が貯留する状態です。これにより局所の組織圧が上昇し、皮膚の循環障害を引き起こすことがありますが、基本的には動脈性の虚血性変化とは異なり、著しい皮膚温の低下を引き起こすことは稀です。むしろ炎症を伴う場合は高温を示すことがあります。正しくは:静脈うっ滞は、一般的に低温相を示すことは稀であり、炎症を伴う場合は高温を示すこともある。選びやすい理由:血流の停滞という表現から、冷たくなるイメージを持つことがある。混同注意:動脈性の血流障害による虚血状態。
- 5. 正解。レイノー病は、寒冷刺激や精神的ストレスにより末梢動脈が発作的に収縮し、血流が著しく低下するため、患部の皮膚温が低下します。このため、熱画像検査では低温相として描出されます。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、医学的知識があれば選択しやすい。
国試ポイント
熱画像検査における低温相と高温相を示す代表的な疾患を理解すること。特にレイノー病や閉塞性動脈硬化症などの虚血性疾患は低温相、炎症性疾患や悪性腫瘍は高温相を示すことを覚える。
混同注意
レイノー病とレイノー現象は混同しやすいが、レイノー現象は基礎疾患に伴うもの全般を指し、レイノー病は特発性のものを指す。熱画像検査での低温相という点では共通する。
次に同じ論点が出たら
熱画像検査の問題が出た際は、提示された病態が血流増加/代謝亢進を伴う(高温相)のか、あるいは血流低下/虚血を伴う(低温相)のかを医学的機序から判断する。
関連知識
熱画像検査(サーモグラフィ)は、体表面から放射される赤外線を検出し、温度分布を画像化する検査であり、非侵襲的に皮膚温の変化を捉えることができる。炎症性疾患(関節炎、蜂窩織炎など)や悪性腫瘍(乳癌など)では血流増加や代謝亢進により高温相を、虚血性疾患(閉塞性動脈硬化症、レイノー病など)では血流低下により低温相を示す。