GAM半流動培地での菌の発育(別冊No. 13)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
GAM半流動培地は、その成分(チオグリコール酸ナトリウムなど)により培地の下層が嫌気性環境となるため、酸素要求性菌の鑑別に利用されます。下層にのみ菌が発育している状態は、酸素を嫌う偏性嫌気性菌の典型的な発育パターンです。選択肢の中で、Bacteroides fragilisは代表的な偏性嫌気性菌であるため、下層に限定的な発育を示すと考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。GAM半流動培地は嫌気性菌の培養に用いられ、本種は代表的な偏性嫌気性菌である。画像のGAM培地では、培地の下層(酸素濃度の低い部分)に限定的に菌が発育していると推測され、これは偏性嫌気性菌の特徴的な発育パターンと一致する。また、GAM培地の主要成分であるチオグリコール酸ナトリウムは酸化還元電位を下げ、嫌気性環境を作り出す。
- 2. Candida albicansは酵母であり、通性嫌気性菌(広範囲の酸素濃度で発育可能、好気的条件で良好に発育)に分類される。GAM培地の下層にのみ発育するような、偏性嫌気性菌の特徴的なパターンは示さない。通常、液体培地では全体に均一に発育するか、表面に膜を形成することもある。正しくは:Candida albicansは真菌の一種である酵母であり、通性嫌気性または好気性で発育する。選びやすい理由:真菌も臨床的に重要であり、一般的な培養方法を問う問題として誤解しやすいかもしれない。混同注意:細菌と真菌の酸素要求性の違い。
- 3. Pasteurella multocidaは通性嫌気性菌であり、好気的条件下で良好に発育する。GAM培地の下層にのみ発育するようなパターンは示さない。正しくは:Pasteurella multocidaは通性嫌気性菌であり、GAM培地であれば、下層のみでなく、より広い範囲で発育を示す。選びやすい理由:グラム陰性桿菌として臨床的に認知度が高い菌種であるため、他の一般的な菌種と混同しやすいかもしれない。混同注意:グラム陰性菌の種類と、それぞれの酸素要求性の違い。
- 4. Proteus mirabilisは通性嫌気性菌である。鞭毛運動によりGAM培地全体に広がる(遊走現象を示す)ことが知られているが、下層に限定的な発育は示さない。正しくは:Proteus mirabilisは通性嫌気性菌であり、GAM培地であれば、遊走能を持つため培地全体に発育が広がる。選びやすい理由:グラム陰性桿菌として一般的に知られており、半流動培地での遊走という特徴を持つため、混同しやすい。混同注意:半流動培地での遊走能と、偏性嫌気性菌の沈降発育。
- 5. Pseudomonas aeruginosaは偏性好気性菌であり、酸素が豊富な表面でしか発育できない。GAM半流動培地の下層(酸素濃度の低い部分)では発育できないため、画像のような発育パターンは示さない。もし発育するなら、培地の最上層にのみ発育する。正しくは:Pseudomonas aeruginosaは偏性好気性菌であり、GAM培地であれば培地の表面(最上層)にのみ発育を示す。選びやすい理由:臨床的に重要なグラム陰性桿菌であり、薬剤耐性なども関連して知識を問われることが多いため。混同注意:偏性好気性菌と偏性嫌気性菌の酸素要求性の違い、および通性嫌気性菌との区別。
国試ポイント
本問題は、微生物の酸素要求性(偏性嫌気性、偏性好気性、通性嫌気性など)と、GAM半流動培地における各菌種の発育様式に関する知識を問うものです。特に、偏性嫌気性菌の培養環境と発育パターンを理解しているかが重要です。
混同注意
半流動培地における遊走性(Proteusなど)と、酸素要求性による発育位置(好気性菌の表面発育、嫌気性菌の深部発育)が混同されやすい。また、通性嫌気性菌の幅広い発育範囲との区別も重要。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず『下図の培地がどのような環境を提供しているか(特に酸素濃度勾配)』と『選択肢の各菌種の酸素要求性』を照らし合わせることで正答を導き出す。特に偏性嫌気性菌、偏性好気性菌、通性嫌気性菌の代表例と発育様式を確実に覚える。
関連知識
微生物の酸素要求性分類(偏性好気性、微好気性、通性嫌気性、偏性嫌気性、好気性・嫌気性両用など)、および各分類に属する代表的な菌種。液体培地における発育様式(均一混濁、沈降、表面膜形成など)と半流動培地における発育様式(表面、深部、遊走など)の違い。GAM培地の組成と利用目的。