DNAの分離に用いられる装置はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
DNAの分離方法として最も一般的で広く用いられるのが、アガロースゲル電気泳動です。DNAは負に帯電しているため、アガロースゲル中で電気を流すと、その鎖長(分子量)に応じて移動速度が異なり、これを利用して分子サイズごとに分離されます。他の選択肢は、DNAの増幅、解析、測定などに関わる装置であり、分離を直接行うものではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. デンシトメータは、電気泳動後のゲルやクロマトグラムなどから得られるバンドやスポットの濃度を光学的に測定する装置であり、DNAの分離自体を行うものではありません。正しくは:DNAの分離後、バンドの量や濃度を測定する装置です。選びやすい理由:分析装置であるため、関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:分離後の解析装置と分離装置を混同する可能性があります。
- 2. サーマルサイクラーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においてDNAを増幅させるために、特定の温度変化を繰り返す装置であり、DNAを分離する機能はありません。正しくは:DNAを増幅させるために温度制御を行う装置です。選びやすい理由:DNAを扱う装置であるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:DNAを「増幅」する装置と「分離」する装置を混同する可能性があります。
- 3. フローサイトメータは、細胞や微粒子を流体中で一つずつレーザー光に当て、その散乱光や蛍光を解析することで、細胞の数や特性(例: DNA含量、表面抗原)を測定する装置です。DNA分子そのものを分離する目的で使われることはありません。正しくは:細胞や微粒子を一つずつ解析し、その特性を評価する装置です。選びやすい理由:DNA含量の測定にも使われるため、関連があるように感じられるかもしれません。混同注意:細胞レベルでのDNA解析と、分子レベルでのDNA分離を混同する可能性があります。
- 4. シンチレーションカウンタは、放射性同位体(特にβ線やγ線)から放出される放射線を測定する装置です。核酸の標識などに利用されることがありますが、DNA自体を分離する装置ではありません。正しくは:放射性物質の放射線量を測定する装置です。選びやすい理由:放射性標識DNAを扱う実験で用いられるため、DNA関連と誤解される可能性があります。混同注意:DNAの検出・定量に関連する装置と、DNAの分離装置を混同する可能性があります。
- 5. 正解。アガロースゲル電気泳動装置は、DNA分子をそのサイズ(鎖長)に基づいて分離するために広く用いられる手法です。電気泳動槽、電源装置、ゲルキャストなどが含まれ、DNAは負に帯電しているため、電場をかけることでアガロースゲル中を移動し、分子量に応じた速度差で分離されます。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、核酸検査の基礎知識として、DNAの基本的な操作やそれに使用される機器の名称と機能が問われます。特に、DNAの抽出、増幅、分離、検出といった一連のプロセスで使われる主要な装置は頻出です。各装置の役割を正確に理解しているかが重要となります。
混同注意
DNAを扱う様々な装置(増幅装置、測定装置、分離装置など)の名称と機能を混同しやすいです。特に、核酸関連の実験手技で使われる機器が多いため、それぞれの具体的な役割を明確に区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、DNAの「分離」だけでなく、「増幅」「検出」「定量」などに使われる各装置の名前と原理、具体的な用途を問われる可能性が高いです。また、各操作のメリット・デメリットや、特定の疾患診断における応用例も確認しておくべきでしょう。
関連知識
DNAの抽出法(フェノール・クロロホルム法、シリカゲル膜法など)、PCRの原理と応用、リアルタイムPCR、サザンブロット法、ノーザンブロット法、ウェスタンブロット法、DNAシーケンシングの原理。