緊急輸血が必要な患者が搬送された。血液型の確定ができない状況下で使用する輸血用血液製剤と血液型の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
血液型が不明な緊急時には、赤血球製剤は受血者の抗体と反応しないO型製剤が、血漿製剤は受血者の赤血球と反応しない抗体を持たないAB型製剤がそれぞれ選択されます。特に赤血球輸血では、O型赤血球が抗原を持たないため、どの血液型の患者にも輸血が可能であり、『万能供血者』とされています。RhD型については、RhD陰性女性(特に妊娠可能年齢)への反復輸血などを考慮する必要があるが、緊急時にはRhD陽性の供給が優先されることもあります。本問の選択肢では、O型RhD陽性赤血球製剤が血液型不明時の緊急輸血として最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. A型赤血球製剤をO型やB型、AB型の患者に輸血すると、受血者側の抗A抗体や抗B抗体と反応し、重篤な溶血性輸血副作用を引き起こす可能性があるため不適切です。正しくは:赤血球製剤は、受血者の血液型に適合するもの、またはO型RhD陰性/陽性(緊急時)を選択します。選びやすい理由:緊急時であっても、いずれかの型が必要だという認識はあっても、具体的な型の選択が曖昧な場合に選びやすいかもしれません。混同注意:赤血球と血漿における適合原則(万能供血者/受血者)の混同。
- 2. 正解。O型赤血球はA抗原もB抗原も持たないため、受血者がどのABO血液型であっても(抗A抗体や抗B抗体を持っていても)凝集反応を起こしにくく、緊急時や血液型不明時の赤血球輸血に「万能供血者」として使用されます。RhD陽性であれば、RhD陰性の女性(特に妊娠可能年齢)以外には比較的安全に用いられ、緊急で血液型が判明していない場合は、RhD陰性の女性以外にはRhD陽性赤血球を投与することがあります。
- 3. AB型赤血球製剤はA抗原とB抗原の両方を持つため、O型、A型、B型の患者に輸血すると、受血者側の抗A抗体や抗B抗体と反応し、溶血性輸血副作用を引き起こすため不適切です。正しくは:赤血球製剤は、受血者の血液型に適合するもの、またはO型RhD陰性/陽性(緊急時)を選択します。選びやすい理由:AB型が「万能受血者」であるという知識と混同し、赤血球製剤にも適用できると誤解する可能性があります。混同注意:赤血球と血漿における適合原則の混同。
- 4. 血漿製剤は抗体を多く含むため、受血者側の赤血球抗原と反応しないように選択する必要があります。B型血漿は抗A抗体を含むため、A型やAB型の患者に輸血すると、受血者の赤血球を破壊する可能性があります。血液型不明の場合、O型血漿ではなくAB型血漿が「万能供血者」の原則に合致します。また、緊急時の血漿製剤の選択においてRhD型は通常考慮されません。正しくは:血液型不明時の緊急輸血では、AB型血漿製剤が最も安全です。選びやすい理由:RhD陰性という安全なイメージに引っ張られる可能性がありますが、血漿においてはRhD型は通常重要ではありません。混同注意:赤血球製剤のRhD陰性(汎用性が高い)と血漿製剤のRhD陰性を混同。また、血漿の適合原則(抗体がないもの)と赤血球の適合原則(抗原がないもの)を混同。
- 5. O型血漿は抗A抗体と抗B抗体を両方含むため、A型、B型、AB型の患者に輸血すると受血者の赤血球を破壊する可能性があります。血液型不明時の血漿輸血では、AB型血漿が抗A抗体も抗B抗体も持たないため、「万能供血者」として最も安全です。O型血漿は「万能供血者」ではありません。RhD型は血漿輸血において通常考慮されません。正しくは:血液型不明時の緊急輸血では、AB型血漿製剤が最も安全です。選びやすい理由:O型が赤血球の万能供血者であることから、血漿もO型が万能だと誤解しやすい。混同注意:赤血球製剤と血漿製剤の適合原則の混同。「万能供血者」の概念が赤血球と血漿で逆になる点を理解していない。
国試ポイント
血液型不明時の緊急輸血における、赤血球製剤と血漿製剤それぞれの適切な血液型選択が問われています。特に、赤血球製剤と血漿製剤における『万能供血者』および『万能受血者』の概念が逆転することを正確に理解しているかが重要です。
混同注意
赤血球製剤と血漿製剤における『万能供血者』と『万能受血者』の概念の混同。赤血球輸血のO型万能供血者と、血漿輸血のAB型万能供血者を混同しやすい。RhD陰性赤血球が汎用性が高い一方で、RhD陽性赤血球も緊急時に使用される条件も合わせて理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
血液型不明の緊急輸血の状況が提示された場合、まず『赤血球製剤か、血漿製剤か』を確認し、次にそれぞれの製剤の『万能供血者』の血液型を思い出すこと。RhD型については、受血者の性別や既往歴に言及があるかを確認する。
関連知識
血液型不明時の緊急輸血ガイドライン、赤血球製剤におけるABO血液型適合原則(O型が万能供血者)、血漿製剤におけるABO血液型適合原則(AB型が万能供血者)、RhD血液型に関する輸血の原則(特に女性への配慮)、交差適合試験(クロスマッチ)の重要性と緊急時の省略条件。