免疫電気泳動法で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
免疫電気泳動法は、血清中のタンパク質を電気泳動で分離した後、特定の抗血清と反応させて沈降線(アーク)の形成を確認することで、各タンパク質を同定・定量する検査法です。トランスフェリンは、血清タンパク電気泳動においてβ-グロブリン領域に泳動される代表的なタンパク質であり、その泳動位置の知識は本検査の基礎となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 免疫電気泳動法で一般的に用いられるアガロースゲルなどの担体は、ゲル中に存在するカルボキシル基などの荷電基によって電気浸透現象の影響を受けます。これにより、電気泳動における分子の移動度が変化する可能性があります。正しくは:電気浸透現象の影響を受ける。選びやすい理由:電気泳動法全般における電気浸透現象の概念が曖昧な場合や、電気浸透現象を抑制する工夫がされている他の電気泳動法と混同した場合に、誤って「受けない」と判断してしまう可能性があります。混同注意:等電点電気泳動法など、電気浸透現象が積極的に抑制される、あるいは原理的に異なる分離を行う電気泳動法と混同している可能性があります。
- 2. ゲル中での分子の拡散速度は、分子量に反比例します。つまり、分子量が大きいほどランダムな熱運動による移動(拡散)は遅くなります。免疫電気泳動法における沈降線の形成には、この拡散速度が重要な要素となります。正しくは:分子量が大きい抗体ほど、拡散速度は遅くなる。選びやすい理由:拡散の概念を十分に理解していないと、「大きい分子はより活発に動く」といった誤ったイメージから、速度が速いと判断してしまう可能性があります。混同注意:分子量と電気泳動における移動度(電場によって加速される速度)の関係と、濃度勾配に基づく受動的な拡散速度を混同している可能性があります。
- 3. 免疫電気泳動法は、電気泳動でタンパク質を分離する段階と、その後抗原抗体反応による沈降線が形成される段階に分かれます。沈降線が十分に形成されるためには時間を要し、一般的には数時間から一晩(18〜24時間)かかることが多いです。2時間では十分な結果が得られません。正しくは:検査に要する時間は数時間から一晩程度である。選びやすい理由:比較的短時間で結果が出る他の電気泳動法(例:迅速電気泳動)や、免疫固定法との所要時間の違いを正確に把握していない場合に、誤って2時間と判断してしまう可能性があります。混同注意:血清蛋白電気泳動や免疫固定法の所要時間と混同している可能性があります。免疫固定法は免疫電気泳動法よりも短時間で結果が得られます。
- 4. 正解。血清タンパク電気泳動において、トランスフェリンは主要なβ-グロブリン画分を構成するタンパク質であり、β領域に泳動されます。この泳動位置は、免疫電気泳動法において各タンパク質を同定するための基本的な知識です。
- 5. 免疫固定法(Immunofixation Electrophoresis, IFE)は、免疫電気泳動法(Immunoelectrophoresis, IEP)と比較してM蛋白の検出感度が優れています。特に微量のM蛋白の検出において、免疫固定法がより適しています。正しくは:M蛋白の検出感度は免疫固定法よりも低い。選びやすい理由:免疫電気泳動法と免疫固定法がM蛋白検出に用いられることは共通しているため、どちらが感度が高いか混同しやすいです。「免疫」という言葉から、専門的で感度が高いと誤解する可能性もあります。混同注意:免疫電気泳動法と免疫固定法の検出原理の違い、特に電気泳動後の抗体添加方法や洗浄工程が感度に与える影響を正確に理解していない可能性があります。免疫固定法は、分離後に特定の抗血清を直接ゲルに添加するため、より特異的かつ高感度な検出が可能です。
国試ポイント
免疫電気泳動法の基本的な原理(電気浸透現象、拡散速度)、検査の所要時間、主要な血清タンパク質の泳動位置、そして類似検査法である免疫固定法との感度の比較に関する知識が問われています。特に、血清タンパク質の電気泳動パターンと各画分に含まれる主要タンパク質の関連、M蛋白の検出におけるIEPとIFEの感度の違いは頻出テーマです。
混同注意
免疫電気泳動法と免疫固定法の検査原理、手順、感度、所要時間の違いが混同されやすい点です。また、電気泳動法全般における電気浸透現象や分子の拡散現象の概念も、誤解を招きやすい要素です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、免疫電気泳動法や免疫固定法の沈降線パターンから、M蛋白やその他の異常所見を正確に読み取れるか、また各疾患と血清タンパク質の異常パターンを関連付けられるかが問われる可能性があります。
関連知識
血清タンパク電気泳動における各画分(アルブミン、α1, α2, β, γグロブリン)とそこに属する主要なタンパク質(アルブミン、α1-アンチトリプシン、ハプトグロビン、セルロプラスミン、トランスフェリン、IgGなど)の関連を理解していることが重要です。電気泳動の基本原理(荷電、分子量、形状による移動)と拡散の原理についても知識が必要です。