ABO血液型について誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
選択肢4が誤りです。抗A抗体および抗B抗体は自然抗体と呼ばれ、通常は出生後に環境中の細菌や食物などに含まれるA様物質やB様物質に暴露されることで、生後3〜6ヶ月頃から産生が始まり、4〜10歳頃にピークを迎えます。胎児期にはこれらの抗体はほとんど産生されません。他の選択肢はすべてABO血液型に関する正しい記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. この記述は正しいです。ランズタイナーの法則とは「赤血球上に存在する抗原に対応する抗体は血漿中に存在せず、また赤血球上に存在しない抗原に対応する抗体は血漿中に存在する」というものであり、ABO血液型はこの法則に従って抗原と抗体の組み合わせが決まります。
- 2. この記述は正しいです。ABO血液型を決定する遺伝子(ABO遺伝子)は、ヒトの第9染色体長腕(9q34.2)にマッピングされています。選びやすい理由:染色体の知識が曖昧だと、他の染色体と混同して誤りだと考えてしまう可能性があります。混同注意:他の血液型遺伝子(例: Rh遺伝子、MNS遺伝子など)の染色体座と混同する可能性があります。
- 3. この記述は正しいです。ABO血液型抗原は胎児期から存在しますが、新生児や乳児の時期は成人よりも赤血球上の抗原部位の数が少なく、抗原の発現が弱いことが知られています。これは、新生児溶血性疾患の診断や、新生児輸血の際の血液型判定で考慮される点です。選びやすい理由:抗体産生が胎児期に始まらないことを知っていても、抗原の発現量も低いことと混同して、誤りだと考えてしまう可能性があります。混同注意:成人と同じレベルで抗原が発現していると誤解することがあります。
- 4. 正解。この記述は誤りです。抗A抗体および抗B抗体は自然抗体と呼ばれ、通常は出生後、環境中の細菌や食物などに含まれるA様物質やB様物質に暴露されることで、生後3〜6ヶ月頃から産生が始まり、4〜10歳頃にピークを迎えます。胎児期にはほとんど産生されません。正しくは:抗A抗体および抗B抗体の産生は、出生後に始まります。選びやすい理由:胎児期に母親由来の抗体が移行することはあるため、抗体の話が出ると安易に「胎児期」に何かがあると考えてしまうかもしれません。しかし、これは「胎児自身の産生」の話です。混同注意:母親から胎児への移行抗体(IgG)と、胎児自身の抗体産生開始時期を混同する可能性があります。特に、母体から移行する抗体はIgGであり、ABO抗体は主にIgMである点も重要です。
- 5. この記述は正しいです。獲得性B型は、A型血液型の患者において、腸管内の細菌(大腸菌など)が産生する脱アセチル化酵素により、赤血球上のA抗原のN-アセチルガラクトサミンがガラクトサミンに変化し、B抗原と類似した構造になることで生じます。これにより、B型判定試薬と反応するようになりますが、これは一時的なもので、真のB型ではありません。選びやすい理由:稀な現象であるため、知識がないと誤りだと判断しがちです。また、「A抗原がB抗原に変化する」という表現が、生物学的に通常ありえないことのように聞こえ、不正確だと考えてしまうかもしれません。混同注意:真のB型と獲得性B型を混同したり、他の稀な血液型表現型(例:シスAB型)と混同したりする可能性があります。
国試ポイント
ABO血液型の基本的な特性、特に抗原と抗体の産生・発現時期、遺伝学、そして臨床的に重要な特殊な現象(新生児期の特徴や獲得性Bなど)に関する知識が問われています。それぞれの項目が正しいか誤りかを正確に判断できるかがポイントです。
混同注意
新生児の抗体産生と、母親由来の移行抗体(IgG)の存在。また、抗原の発現と抗体の産生時期の混同。稀な血液型現象(獲得性B、シスAB、ボンベイ型など)の概念とメカニズム。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、ABO血液型以外の主要な血液型(Rh、MNSs、Kellなど)についても、遺伝子座、抗原・抗体の特徴、臨床的意義(特に溶血性疾患、輸血副作用との関連)を正確に理解しているかを確認する必要があります。また、血液型検査の実際的な注意点(新生児、亜型、稀な表現型)に関する知識も問われる可能性が高いです。
関連知識
ランズタイナーの法則の詳細と例外(シスAB型など)。ABO遺伝子の分子生物学(遺伝子座、対立遺伝子、糖鎖合成酵素)。ABO抗原の生化学的構造と発現(H抗原との関連)。血液型判定の原理と注意点(新生児、亜型、稀な表現型など)。輸血学的検査における抗体の種類(自然抗体、不規則抗体)と臨床的意義。胎児・新生児の免疫学的特徴。