過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応に必要な試薬はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
過酸化水素・ペルオキシダーゼ系の呈色反応は、主にTrinder(トリンダー)反応を指します。この反応では、ペルオキシダーゼが過酸化水素の存在下で特定のカップリング試薬(発色団)を酸化し、有色物質を生成します。代表的なカップリング試薬の組み合わせとして、フェノールまたはその誘導体(例:4-クロロフェノール)と4-アミノアンチピリンが挙げられます。これら2つの試薬が反応することで、キノンイミン色素が生成され、その吸光度を測定することで過酸化水素量を定量できます。
選択肢ごとの解説
- 1. ADP(アデノシン二リン酸)はエネルギー代謝に関わる物質であり、過酸化水素・ペルオキシダーゼ系の呈色反応における発色には直接関与しません。正しくは:この反応には、発色団となる特定の有機化合物が必要です。選びやすい理由:生体内の重要な物質であるため、何らかの酵素反応に関わると誤解されやすいですが、本反応の構成要素ではありません。混同注意:ATPやAMPなどの他のヌクレオチドや、エネルギー産生系の生化学反応と混同する可能性があります。
- 2. NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元型)は酸化還元酵素反応の補酵素として機能しますが、過酸化水素・ペルオキシダーゼ系の呈色反応において、発色団を形成するカップリング試薬としては使用されません。正しくは:この反応では、ペルオキシダーゼが過酸化水素を還元する際に生じる中間体と反応して発色する特定の化合物が必要です。選びやすい理由:多くの酵素反応で補酵素として利用されるため、本反応にも必要だと考えがちですが、発色機構が異なります。混同注意:NADHなどの他の補酵素や、一般的な酸化還元酵素アッセイにおける補因子と混同する可能性があります。
- 3. 正解。フェノールは、過酸化水素・ペルオキシダーゼ系の呈色反応(特にTrinder反応)において、4-アミノアンチピリンと結合してキノンイミン色素を生成する重要なカップリング試薬(発色団)の一つです。ペルオキシダーゼの作用で過酸化水素が分解される際に発生する活性酸素種と反応し、発色に寄与します。
- 4. 4-ニトロフェノールは、主にアルカリホスファターゼなどの酵素活性測定において、特定の基質(4-ニトロフェニルリン酸)が分解されて遊離することで黄色の発色を示す試薬として知られていますが、過酸化水素・ペルオキシダーゼ系のTrinder反応におけるカップリング試薬としては通常使用されません。正しくは:Trinder反応では、フェノールまたはその誘導体と4-アミノアンチピリンが組み合わされます。選びやすい理由:発色団として利用される物質であるため、同様の発色反応に用いられると誤解しやすいです。混同注意:他の酵素活性測定法(特にアルカリホスファターゼ測定)で用いられる呈色試薬と混同する可能性があります。
- 5. 正解。4-アミノアンチピリンは、過酸化水素・ペルオキシダーゼ系の呈色反応(Trinder反応)において、フェノールまたはその誘導体と共存することで、ペルオキシダーゼによる過酸化水素の還元に伴い酸化され、キノンイミン色素を生成する不可欠なカップリング試薬(発色団)の一つです。
国試ポイント
臨床検査分野で広く用いられる酵素反応に基づく呈色法、特にTrinder反応の原理とその主要な構成試薬について正確に理解しているかを問う問題です。特定の酵素反応とそれに伴う発色機構を構成する具体的な試薬名を覚えていることが重要になります。
混同注意
他の酵素測定法で用いられる発色試薬(例:4-ニトロフェノールや、ナフチルアミン誘導体など)や、酸化還元反応の補酵素(NADPH、NADH)と混同しやすいです。それぞれの試薬がどの反応系で、どのような役割を果たすのかを区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
今後、類似の問題が出題された場合は、まず「どの酵素反応系か」を特定し、次にその反応系で「どのような発色機構が用いられているか」を考え、それに必要な「具体的な試薬(発色団、カップリング試薬)」が何かを判断します。特に、Trinder反応以外の主要な呈色反応(例:GOD-POD法、ヘキソキナーゼ法など)の構成要素も確認しておくと良いでしょう。
関連知識
Trinder反応は、グルコースオキシダーゼ法による血糖測定や、コレステロールオキシダーゼ法による総コレステロール測定など、様々な臨床検査項目において過酸化水素を指標とする場合に広く利用されています。この原理を理解することは、多くの測定法の基盤となります。