免疫グロブリンで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
免疫グロブリン(特にIgG)をパパインで処理すると、ヒンジ領域のジスルフィド結合の上で切断され、2つのFabフラグメント(抗原結合能を持つ)と1つのFcフラグメント(結晶化しやすく、生物学的活性を持つ)に分かれる。この知識は抗体の構造と機能、および実験的な断片化方法に関する基本である。
選択肢ごとの解説
- 1. 抗原と抗体の結合は、水素結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス力、イオン結合といった非共有結合性の弱い結合の組み合わせによるものであり、共有結合ではありません。正しくは:抗原との結合は非共有結合による。選びやすい理由:「結合」という言葉から、安定した強い結合を連想し、共有結合だと誤解する可能性があります。混同注意:分子内の原子間結合や、非常に安定な複合体形成に見られる共有結合と混同しやすいです。
- 2. 重鎖(H鎖)の可変部(V領域)は、抗原結合部位を形成するためにN末端側に位置しています。C末端側には定常部(C領域)が存在します。正しくは:H鎖の可変部はN末端側に存在する。選びやすい理由:アミノ酸配列の末端位置に関する知識があやふやな場合、N末端側とC末端側を混同してしまう可能性があります。混同注意:一般的なタンパク質の構造におけるN末端・C末端と、抗体特有の機能的配置を混同するかもしれません。
- 3. 軽鎖(L鎖)は、N末端側に1つの可変部ドメイン(VL)と、C末端側に1つの定常部ドメイン(CL)から構成されます。重鎖(H鎖)の定常部ドメインはIgGの場合3つです。正しくは:L鎖の定常部ドメインは1つからなる。選びやすい理由:重鎖の定常部ドメイン数(IgGで3つ)や、Fabフラグメントが複数ドメインからなることなどと混同し、L鎖の定常部も複数だと誤解する可能性があります。混同注意:重鎖のドメイン構造や、Fab・Fcフラグメントの構成と混同しやすいです。
- 4. 正解。免疫グロブリン(特にIgG)をプロテアーゼであるパパインで消化すると、ヒンジ領域のジスルフィド結合の上で切断され、2つの抗原結合断片(Fabフラグメント)と1つの結晶化可能断片(Fcフラグメント)が生成されます。
- 5. 免疫グロブリンのクラス(アイソタイプ)は、重鎖(H鎖)の定常部(C領域)の種類(μ, γ, α, δ, ε)によって決定されます。イディオタイプは、可変部によって形成される抗原結合部位の特異性に関連する概念です。正しくは:グロブリンクラスはH鎖の定常部で決定される。選びやすい理由:L鎖も抗体構造の一部であり、イディオタイプという専門用語が含まれるため、何らかの関連があると誤解しやすいです。混同注意:アイソタイプ(重鎖定常部)、アロタイプ(同種抗体間での軽微な差異)、イディオタイプ(抗原結合特異性)を混同しやすいです。また、L鎖の種類(κまたはλ)はクラス決定とは異なります。
国試ポイント
免疫グロブリンの構造、各部位の機能、およびプロテアーゼによる切断部位と生成されるフラグメントの種類は、国家試験で頻繁に出題される基本的な知識である。特にパパインとペプシンによる切断の違いは重要。また、抗原結合のメカニズム、H鎖・L鎖のN/C末端の可変部/定常部の位置、ドメイン数、クラス決定要因なども問われる。
混同注意
パパイン処理とペプシン処理による抗体断片化の違い(Fab vs F(ab')2、Fc vs pFc')。免疫グロブリンの各鎖(H鎖、L鎖)における可変部・定常部の位置と機能。イソタイプ、アロタイプ、イディオタイプという用語の違い。
次に同じ論点が出たら
次回この論点が出題された場合、ペプシン処理による切断部位と生成フラグメント、またはそれぞれのフラグメント(Fab, Fc, F(ab')2)が持つ機能(抗原結合能、補体結合能、Fcレセプター結合能など)が問われる可能性が高い。また、各免疫グロブリンクラスのH鎖の種類、多量体構造、胎盤通過の有無、初期応答/二次応答なども確認する必要がある。
関連知識
免疫グロブリンの基本構造(H鎖、L鎖、ジスルフィド結合、ヒンジ領域)、5種類のクラス(IgG, IgA, IgM, IgD, IgE)、各クラスの特徴と機能、抗体価測定法、モノクローナル抗体・ポリクローナル抗体。