尿沈渣の無染色標本(別冊No. 1A)及びSternheimer染色標本(別冊No. 1B)を別に示す。この構造物はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下図Aの無染色標本では、構造物が均質で高い屈折率を示し、亀裂が認められます。下図BのSternheimer染色標本では、構造物が一様に淡く染色され、内部の構造が不明瞭で蝋のような外観を呈しています。これらの特徴は、腎尿細管内で長期間停滞し、変性が高度に進んだ『ろう様円柱』の典型的な所見です。ろう様円柱は、慢性腎不全など重度の腎機能障害を示す指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 硝子円柱は均質で透明な構造物で、内部に顆粒や細胞はほとんど見られません。下図の構造物は内部構造が密で、屈折率も異なって見えます。正しくは:硝子円柱は均質で透明な構造物で、内部に顆粒や細胞はほとんど見られません。選びやすい理由:円柱形であることから円柱の種類を迷う可能性があります。混同注意:他の種類の円柱、特に顆粒円柱やろう様円柱との区別が難しいことがあります。
- 2. 顆粒円柱は、内部に粗大な顆粒または微細な顆粒を多数含んでいますが、下図の構造物のような亀裂や破壊された蝋状の外観は通常示しません。正しくは:顆粒円柱は、内部に粗大または微細な顆粒を多数含んでいます。選びやすい理由:円柱形であり、内部に何らかの構造があるため顆粒円柱と誤認する可能性があります。混同注意:ろう様円柱と顆粒円柱は、円柱の成熟度や変性度合いを示すため、区別がつきにくいことがあります。
- 3. 上皮円柱は、円柱の基質内に腎尿細管上皮細胞を包み込んでいるものです。下図の構造物は細胞を明確に含んでいるようには見えず、より均質で変性が進んだ外観をしています。正しくは:上皮円柱は、円柱の基質内に腎尿細管上皮細胞を含みます。選びやすい理由:円柱形であり、腎臓由来であるという知識から選択肢に入る可能性があります。混同注意:他の細胞性円柱(赤血球円柱、白血球円柱)との混同や、変性した上皮細胞を顆粒と見誤る可能性があります。
- 4. 赤血球円柱は、円柱の基質内に赤血球を多数含んでいます。通常、赤血球の色調を反映し、赤褐色に見えることが多いです。下図の構造物は赤血球らしき細胞を含んでいません。正しくは:赤血球円柱は、円柱の基質内に赤血球を多数含んでいます。選びやすい理由:腎臓疾患の指標となる円柱であるため、鑑別選択肢として考えられる可能性があります。混同注意:他の細胞性円柱や、赤血球が凝集しただけの状態と混同することがあります。
- 5. 正解。ろう様円柱は、重度の腎疾患や慢性腎不全でみられる円柱で、変性がさらに進み、均質で光沢があり、ガラスのように見えることが特徴です。しばしば亀裂や切れ込みを伴い、無染色標本では高い屈折率を示し、Sternheimer染色では薄いピンク色または紫赤色に染まることが多く、本問題の画像所見と一致します。
国試ポイント
尿沈渣における各種円柱の形態学的特徴(無染色および染色標本)を正確に識別できるか、特に変性度の高い円柱の鑑別ができるかが問われています。ろう様円柱の典型的な形態と、それが示唆する臨床的意義を理解していることが重要です。
混同注意
顆粒円柱、広範な変性を伴う他の円柱(例えば、重度に変性した細胞性円柱)との鑑別が難しい場合があります。顆粒円柱は顆粒状の構造が確認できますが、ろう様円柱はより均質で光沢があり、亀裂を伴うことが多いです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、円柱の『均質性、屈折率、亀裂の有無、染色性』に注目し、どの段階の変性を反映しているかを判断します。特に、硝子円柱、顆粒円柱、ろう様円柱の鑑別ポイントを明確に区別できるようにします。
関連知識
尿沈渣の円柱は、硝子円柱から顆粒円柱、細胞性円柱(赤血球、白血球、上皮)、そして最終的にろう様円柱へと変性していく過程を反映しています。それぞれの円柱が示唆する腎病態(硝子円柱:正常〜軽度、顆粒円柱:腎実質の変性・壊死、ろう様円柱:慢性腎不全など重度な病態)も理解しておく必要があります。Sternheimer染色液は核や細胞質を青紫色に染める色素であり、尿沈渣成分の鑑別に役立ちます。