原虫に用いられない染色法はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Gram染色は細菌の細胞壁の構造に基づいて染色し分類するための方法であり、真核生物である原虫の検出や鑑別には適していません。一方で、アクリジンオレンジ染色、抗酸染色、Giemsa染色、Kohn染色は、それぞれ特定の原虫の種類や形態(栄養型、シスト、オーシストなど)に応じて、検出や詳細な観察に用いられる実績のある染色法です。
選択肢ごとの解説
- 1. アクリジンオレンジ染色は、DNAやRNAに結合して蛍光を発する特性を持ち、クリプトスポリジウムなどの原虫を含む様々な微生物の検出に利用される蛍光染色法です。選びやすい理由:蛍光染色であるため、一般的な形態観察の染色法とは異なる印象を与え、原虫には使われないと誤解しやすいかもしれません。混同注意:通常の光学顕微鏡観察とは異なる手法であるため、用途を特定しにくいことがあります。
- 2. 抗酸染色の変法(例:Kinyoun染色)は、クリプトスポリジウム、サイクロスポラ、イソスポラといった抗酸性を持つ一部の腸管寄生原虫のオーシストの検出に有効であり、実際に臨床検査で利用されています。選びやすい理由:抗酸染色と聞くと結核菌などの抗酸菌を強く連想するため、原虫には使われないと誤解しやすいです。混同注意:抗酸菌の検出に特化した染色法という一般的な認識と、一部の原虫が抗酸性を持つ事実が混同されやすいです。
- 3. Giemsa染色は、マラリア原虫、リーシュマニア、トリパノソーマなどの血液や組織に寄生する原虫の検出、形態観察、および鑑別に広く用いられる基本的な染色法です。
- 4. 正解。Gram染色は、細菌をその細胞壁の構造に基づいてグラム陽性菌とグラム陰性菌に分類するために開発された染色法です。原虫は真核生物であり、細菌とは細胞構造が根本的に異なるため、Gram染色は原虫の検出や分類には全く用いられません。正しくは:Gram染色は細菌の分類に用いられます。選びやすい理由:微生物検査において非常に一般的な染色法であるため、幅広い微生物の検出に使えると錯覚しやすいですが、原虫には適用されません。混同注意:細菌と原虫という異なる種類の微生物に対する染色法の適用範囲が混同されることがあります。
- 5. Kohn染色は、赤痢アメーバなどのアメーバ類やジアルジア、クリプトスポリジウムといった腸管寄生原虫のシストの形態観察(特に核の構造)に用いられる染色法です。選びやすい理由:あまり一般的ではない特殊染色であるため、用途を知らないと原虫に使われないと誤解しやすいかもしれません。混同注意:他の特殊染色法と混同し、特定の用途が不明瞭に感じられることがあります。
国試ポイント
この問題は、微生物学における基本的な染色法の知識、特に各染色法がどのような微生物(細菌、真菌、原虫など)の検査に適用されるか、その原理と目的を正確に理解しているかを問うものです。原虫検査に特化した知識が試されています。
混同注意
細菌検査で頻用されるGram染色が、他の微生物にも広く応用できると誤解しやすい点があります。また、抗酸染色は抗酸菌以外の特定の原虫(クリプトスポリジウムなど)にも応用されるため、その応用範囲を正確に理解しておく必要があります。Kohn染色のようなマイナーな染色法も、その用途を知らないと誤答につながることがあります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された際は、まず各染色法の『基本的な対象微生物』を思い出し、その染色法の『原理』が原虫に適用可能かどうかを判断する視点を持つと良いでしょう。特に、特定の原虫が特殊な染色性を示すケース(例:クリプトスポリジウムの抗酸性)も押さえておく必要があります。
関連知識
原虫検査には、直接塗抹、生理食塩水法、ルゴール染色法、遠心沈殿法、ホルマリン・エーテル法などの前処理法と組み合わせ、Giemsa染色、トリクローム染色、修正チール・ネルゼン染色(変法抗酸染色)、アクリジンオレンジ染色、免疫蛍光染色法などが用いられます。各染色法の原理(例:核酸染色、細胞壁染色、細胞質染色)と、どの原虫に有効か、またどのような病原体を検出するために用いられるかという知識が重要です。