膵臓の特殊染色(別冊No. 8)を別に示す。染色法はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Grimelius染色は、膵臓のランゲルハンス島などの消化管内分泌細胞が持つアルギロフィル顆粒を黒色に染色する銀染色法です。画像から細胞質内に多数の黒色顆粒が確認でき、これが特徴的な所見となります。この染色法は、カルチノイド腫瘍や膵内分泌腫瘍(NET)の診断に広く用いられます。他の選択肢の染色法は、それぞれ神経線維、真菌、細菌、メラニンなどの検出を目的とするものであり、膵臓内分泌細胞の顆粒を染めるものではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. PAM染色(過ヨウ素酸メセナミン銀染色)は、主に糸球体基底膜や真菌の検出に用いられる染色法であり、膵臓の内分泌細胞(ランゲルハンス島)の顆粒染色には適していません。正しくは:PAM染色は腎臓病理(膜性腎症など)や真菌感染症の診断に用いられます。選びやすい理由:銀染色法の一種であるため、細胞内の顆粒構造を染める可能性があると誤解するかもしれません。混同注意:他の銀染色法(例: Grimelius染色、Warthin-Starry染色)と混同しやすいです。それぞれ目的とする構造や病原体が異なります。
- 2. Bodian染色は、神経線維や神経細胞を検出するための銀染色法です。膵臓の内分泌細胞の顆粒染色には使用されません。正しくは:Bodian染色は主に神経組織の病理診断に用いられます。選びやすい理由:銀染色であるため、微細な構造を染め出すイメージから選んでしまう可能性があります。混同注意:Grimelius染色と同様に銀染色ですが、対象とする組織成分が異なります。Bodianは神経、Grimeliusは内分泌細胞の分泌顆粒です。
- 3. 正解。Grimelius染色は、膵臓のランゲルハンス島(特にα細胞や一部のδ細胞)などの消化管内分泌細胞腫瘍において、細胞質の分泌顆粒に含まれるアルギロフィル顆粒を特異的に染め出す銀染色法です。下図の染色像は、特徴的な顆粒の黒色沈着を示しており、Grimelius染色に合致します。選びやすい理由:特にありません。内分泌細胞腫瘍の診断に非常に重要な染色法であるため、知識があれば正答しやすいです。
- 4. Warthin-Starry染色は、主にスピロヘータ(梅毒、ライム病)やヘリコバクター・ピロリなどの細菌を検出するための銀染色法です。膵臓の内分泌細胞の染色には使用しません。正しくは:Warthin-Starry染色は細菌感染症の診断に用いられます。選びやすい理由:これも銀染色の一種であるため、他の銀染色法と混同しやすいです。混同注意:他の銀染色(Grimelius染色など)との違いは、検出対象が細菌であるという点です。Grimeliusは細胞内の分泌顆粒を染めます。
- 5. Masson-Fontana染色は、メラニン顆粒やクロマフィン顆粒を特異的に検出する銀染色法です。膵臓の内分泌細胞(ランゲルハンス島)の顆粒染色には通常用いられません。正しくは:Masson-Fontana染色は、悪性黒色腫の診断におけるメラニン検出や、褐色細胞腫の診断におけるクロマフィン顆粒検出に用いられます。選びやすい理由:内分泌細胞の顆粒を染める銀染色という点でGrimelius染色と似ていますが、検出対象となる顆粒の種類が異なります。混同注意:Grimelius染色とMasson-Fontana染色は、どちらも銀染色で細胞内の顆粒を染めますが、Masson-Fontanaはメラニンやクロマフィン顆粒、Grimeliusはアルギロフィル顆粒に特異的です。
国試ポイント
特殊染色とその主な対象・用途に関する知識が問われています。特に内分泌細胞腫瘍の診断に用いられる銀染色法の識別が重要です。画像から特徴的な染色像を読み取り、適切な染色法を選択できるかがポイントとなります。
混同注意
さまざまな銀染色法(PAM、Bodian、Grimelius、Warthin-Starry、Masson-Fontanaなど)は、原理は似ていても検出対象や用途が異なるため、混同しやすいです。それぞれの染色法が何を特異的に染めるのかを正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず画像から染色されている対象(顆粒、線維、細菌など)とその色調(黒色、茶色など)を確認し、それがどの臓器のどの細胞に由来するものかを判断します。その上で、各染色法の特異性(何を染め出すか)と用途を照合して選択します。
関連知識
ホルマリン固定組織の標本作製における特殊染色の選択、およびその診断的意義。特に膵臓や消化管の内分泌腫瘍の病理診断におけるGrimelius染色の位置づけ。免疫組織化学染色(クロモグラニンA、シナプトフィジンなど)との関連性も重要です。