培養に用いる検体で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
髄液は細菌培養において非常に重要な検体であり、細菌性髄膜炎の診断に直結します。冷蔵保存は一部の細菌、特に繊細な菌種や低温に弱い菌の生存率を低下させたり、増殖を阻害したりする可能性があります。そのため、迅速な培養が最も推奨されますが、すぐに培養できない場合、菌の死滅を避けるために室温での短時間保存が選択肢となることがあります。他の選択肢は、検体の汚染、不適切な処理、または保存条件のために培養には適していません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。髄液は非常にデリケートな検体であり、細菌培養検査においては迅速な処理が求められます。しかし、すぐに検査できない場合でも、細菌の増殖を促さないように冷蔵保存ではなく、室温での短時間保存が適切とされる場合があります。特に、微量の細菌を検出する必要がある髄膜炎の診断などでは、冷蔵によって細菌が死滅するのを避けるため、室温保存が推奨されることがあります。正しくは:髄液は細菌培養の検体として非常に重要であり、可能な限り速やかに培養を開始すべきですが、それが不可能な場合は菌種によって室温での短時間保存が選択されることがあります。冷蔵は一部の菌の増殖を抑制したり死滅させたりする可能性があるため、室温保存が適切とされる場合があります。選びやすい理由:一般的に検体は冷蔵保存されることが多いという知識から、室温保存が不適切だと考えてしまうかもしれません。しかし、髄液など特殊な検体では菌の生存と増殖を考慮した保存法が推奨されます。混同注意:他の検体と異なり、髄液培養における室温保存の意義を理解していないと、不適切な選択肢と誤解する可能性があります。
- 2. 喀痰培養では、下気道の感染を診断するために肺からの検体を採取する必要があります。唾液成分のみの喀痰は、口腔内の常在菌で汚染されており、下気道の真の病原菌を反映しないため、培養検体としては不適切です。適切な喀痰は、膿性で粘稠性が高く、唾液成分の混入が少ないものであるべきです。正しくは:下気道からの病原菌を検出するため、唾液成分の混入が少なく、膿性で粘稠性の高い喀痰を選別する必要があります。選びやすい理由:喀痰という検体名から適切だと感じてしまうかもしれませんが、その内容物(唾液成分のみ)がポイントです。混同注意:喀痰の質が培養結果に与える影響を理解していないと、これが不適切であると判断できない可能性があります。
- 3. 尿バッグ内の尿は、長時間貯留されているため、細菌がバッグ内で増殖している可能性が高く、またバッグやチューブからの汚染も考えられます。そのため、膀胱内の真の細菌状況を反映しないため、培養検体としては不適切です。正確な尿培養を行うためには、新鮮な中間尿を清潔に採取する必要があります。正しくは:尿バッグ内の尿は細菌の増殖や汚染のリスクが高いため、培養には新鮮な中間尿を清潔に採取したものを用いるべきです。選びやすい理由:尿が培養検体になるという知識があるため、尿バッグからの採取も許容されると考えてしまうかもしれません。混同注意:尿の適切な採取方法と、尿バッグ内の尿がもつ問題点を理解していないと、誤って適切な選択肢と判断してしまう可能性があります。
- 4. ホルマリンは組織の固定に使用される化学物質であり、細菌を含む微生物を死滅させる作用があります。そのため、ホルマリン処理された組織からは細菌を培養することはできません。培養検体としては、無菌的に採取された新鮮な組織を用いる必要があります。正しくは:ホルマリンは微生物を固定・殺菌するため、培養検体としては無菌的に採取した新鮮な組織を用いるべきです。選びやすい理由:組織が培養検体になること自体は正しいですが、「ホルマリン処理された」という条件を見落とすと誤判断する可能性があります。混同注意:病理組織学的検査と細菌学的培養検査の検体処理方法の違いを混同していると、この選択肢が不適切であると判断できないかもしれません。
- 5. 血液培養ボトルは、採取後に速やかに培養器にセットするか、それができない場合は室温で保管することが一般的です。冷蔵保存は、血液培養ボトル内の菌の増殖を抑制したり、特に嫌気性菌や低温に弱い菌の生存率を低下させたりする可能性があるため、不適切とされています。正しくは:血液培養ボトルは、菌の増殖に最適な状態を保つため、採取後は速やかに培養器へ移すか、室温で保管すべきであり、冷蔵は避けるべきです。選びやすい理由:他の一般的な検体の冷蔵保存の知識に引きずられ、血液培養ボトルも冷蔵すべきだと考えてしまう可能性があります。混同注意:血液培養ボトル特有の保存条件について理解していないと、他の検体の冷蔵保存の習慣と混同してしまいます。
国試ポイント
細菌培養検査における検体の適切な採取、処理、保存方法を理解しているかが問われる問題です。特に、検体の種類に応じた特殊な取り扱い(髄液や血液培養ボトル)を正確に把握していることが重要になります。
混同注意
検体の一般的な保存方法(冷蔵が多い)と、特定の検体(髄液、血液培養)の保存条件の違い。また、培養目的の検体と病理組織検査目的の検体の処理方法の違い。
次に同じ論点が出たら
この問題では「適切なのはどれか」と問われているため、各選択肢の検体の状態が細菌培養に適しているかを判断する必要があります。特に、汚染のリスク、菌の生存・増殖への影響、および検体の質に注目して判断することが求められます。
関連知識
各検体(血液、尿、喀痰、髄液、便など)の一般的な細菌培養における適切な採取法、保存法、運搬法。嫌気培養、抗酸菌培養など特殊培養における検体処理。滅菌操作の重要性。