末梢血検査で赤血球数310万/μL、ヘモグロビン濃度6.2 g/dL、ヘマトクリット値21.7%を認めた。原因の特定に有用な検査項目はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
提示された検査値は、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値がすべて基準値を大きく下回っており、重度の貧血を示しています。特にヘモグロビン濃度が6.2g/dLと非常に低いため、鉄欠乏性貧血が最も強く疑われます。鉄欠乏性貧血の診断において、体内の貯蔵鉄量を反映するフェリチンは非常に重要な指標であり、原因特定に最も有用です。他の選択肢は、それぞれ異なる種類の貧血や関連疾患の検査項目であり、今回の所見から第一に疑われる鉄欠乏性貧血の鑑別としては優先度が低いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 銅欠乏性貧血はまれですが、貧血の一因となることがあります。しかし、一般的な貧血の鑑別において、初期に測定される項目としては優先度が低いと考えられます。正しくは:鉄欠乏性貧血の鑑別では、フェリチンや血清鉄、TIBCなどがより直接的な指標となります。選びやすい理由:微量元素の一つであり、一部の貧血と関連があるため、選択肢として考慮する可能性はあります。混同注意:鉄欠乏と混同しやすいが、銅は鉄の代謝に関わるが直接的な鉄欠乏の指標ではない。
- 2. 正解。提示された検査値(赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の低下)は貧血を示唆しています。中でも、ヘモグロビン濃度が6.2g/dLと著しく低いため、鉄欠乏性貧血が強く疑われます。フェリチンは体内の貯蔵鉄量を反映する指標であり、鉄欠乏性貧血の診断において非常に有用な検査項目です。
- 3. ビタミンB12(コバラミン)や葉酸の欠乏は巨赤芽球性貧血の原因となります。しかし、この貧血では大球性貧血を呈することが多く、今回の検査値からは小球性低色素性貧血の可能性も否定できないため、フェリチンに比べて優先度は低いです。また、単に「ビタミンB」という表現は広範すぎて、具体性に欠けます。正しくは:ビタミンB12や葉酸は巨赤芽球性貧血の鑑別に用いられるが、鉄欠乏性貧血を疑う状況ではフェリチンが優先される。選びやすい理由:ビタミンB群が貧血と関連があることは知られているため、一般的な知識から選んでしまう可能性があります。混同注意:鉄欠乏性貧血と巨赤芽球性貧血の原因(ビタミンB12/葉酸欠乏)を混同しやすい。
- 4. ハプトグロビンは溶血性貧血の指標として用いられます。溶血が起こるとハプトグロビン値は低下しますが、提示されたデータだけでは溶血性貧血を直接示唆する所見はありません。まずは最も疑わしい鉄欠乏性貧血の鑑別が優先されます。正しくは:溶血性貧血を疑う場合(例:網状赤血球増加、間接ビリルビン上昇、LDH上昇など)にハプトグロビンを測定する。選びやすい理由:貧血の原因鑑別の一つとして、溶血性貧血を考慮する際に測定される項目であるため、選択肢として魅力的に映る可能性があります。混同注意:溶血性貧血と、最も一般的な貧血である鉄欠乏性貧血の鑑別項目を混同しやすい。
- 5. エリスロポエチンは腎臓から分泌され、赤血球産生を促進するホルモンです。腎性貧血などで低下することがありますが、これは貧血の原因を特定するための初期検査としては一般的ではありません。まずは貯蔵鉄の状態を確認することが優先されます。正しくは:エリスロポエチンは腎性貧血の診断や、赤血球増加症の鑑別などで測定される。選びやすい理由:造血に関わるホルモンであるため、貧血の原因究明に必要だと考えるかもしれません。混同注意:貧血の原因として、腎機能の関与と鉄代謝の関与を混同しやすい。
国試ポイント
貧血の基本的な鑑別診断プロセスと、各貧血の主要な検査項目を理解しているか。特に最も頻度の高い鉄欠乏性貧血の診断におけるフェリチンの重要性を問う。
混同注意
鉄欠乏性貧血と巨赤芽球性貧血(ビタミンB12/葉酸欠乏)、溶血性貧血(ハプトグロビン)、腎性貧血(エリスロポエチン)の鑑別項目。それぞれの貧血の原因と関連検査項目を正確に紐づけられないと、誤った選択肢を選んでしまう可能性がある。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が問われた場合、まずは提示された血算値から貧血の種類(小球性低色素性、大球性、正球性)を推測し、それぞれのタイプに合致する原因鑑別項目を検討することが重要になる。
関連知識
貧血の分類(大球性、小球性、正球性)、MCV、MCH、MCHCの意義、血清鉄、TIBC、UIBC、トランスフェリン飽和度、ビタミンB12、葉酸、網状赤血球数、LDH、間接ビリルビン、クームス試験。