不規則抗体同定検査の結果を以下に示す。可能性の高い抗体はどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
不規則抗体同定検査の結果から、各細胞の抗原と反応の有無を比較します。細胞1はE抗原陰性、M抗原陰性で反応は陰性です。細胞2はE抗原陽性、M抗原陽性で反応は陽性です。細胞3はE抗原陽性、M抗原陽性で反応は陽性です。このパターンはE抗原とM抗原の両方に対応する抗体が存在することを示唆しています。したがって、抗Eと抗Mが可能性の高い抗体です。
選択肢ごとの解説
- 1. 細胞1、2、3のc抗原は陽性であり、これらの細胞で反応が見られるため、抗c抗体である可能性は低いと考えられます。抗c抗体であればc抗原陽性の細胞とは反応するはずですが、表のパターンからは一致しません。正しくは:抗c抗体はc抗原陽性細胞全てと反応するはずですが、細胞1、2、3の反応陰性または弱陽性と矛盾します。選びやすい理由:Rh血液型抗体はよく不規則抗体として検出されるため、Rh抗原の選択肢は魅力的に見えます。混同注意:Rh抗体は複合的な反応を示すことがあり、複数のRh抗原の組み合わせで反応パターンが複雑になるため、見誤る可能性があります。
- 2. 細胞1と3はC抗原陽性ですが、細胞1では陽性反応が見られず、細胞3では陰性反応です。この反応パターンは抗C抗体と矛盾します。抗C抗体であればC抗原陽性の細胞全てと反応するはずです。正しくは:抗C抗体であればC抗原陽性細胞全てと反応するはずですが、細胞1と3の反応結果と一致しません。選びやすい理由:Rh血液型抗体は主要な不規則抗体の一つであるため、考慮されやすいです。混同注意:Rh抗体はD、C、c、E、eなど複数の抗原の組み合わせで複雑な反応パターンを示すため、判断が難しくなることがあります。
- 3. 正解。抗E抗体はE抗原陽性細胞と反応します。表のデータでは、細胞2と3がE抗原陽性であり、これらの細胞で(+)の陽性反応が示されています。一方、E抗原陰性の細胞1では反応が示されていません。この反応パターンは抗E抗体と一致します。
- 4. 細胞1、2、3のいずれもFyb抗原は陽性であり、もし抗Fyb抗体が存在するならばこれらの細胞全てと反応するはずです。しかし、表の反応では細胞1で陰性、細胞2と3で陽性となっており、一貫性がありません。これは抗Fyb抗体の反応パターンとは一致しません。正しくは:抗Fyb抗体であればFyb抗原陽性細胞全てと反応するはずですが、細胞1の反応陰性と矛盾します。選びやすい理由:Kell、Duffy、Kiddなどの抗体も不規則抗体として検出されるため、Fybも選択肢として考えやすいです。混同注意:複数の抗体が同時に存在する場合や、抗体価が低い場合、抗原量によって反応が変化することがあるため、判断が難しくなることがあります。
- 5. 正解。抗M抗体はM抗原陽性細胞と反応します。表のデータでは、細胞2と3がM抗原陽性であり、これらの細胞で(+)の陽性反応が示されています。一方、M抗原陰性の細胞1では反応が示されていません。この反応パターンは抗M抗体と一致します。
国試ポイント
不規則抗体同定では、提示された同定用パネルの各細胞における抗原の有無と、それに対する患者血清の反応の有無を照合し、陽性反応を示す抗原と陰性反応を示す抗原を特定することが重要です。特に、『抗原陽性=反応陽性』かつ『抗原陰性=反応陰性』という一貫性のあるパターンを見つけることが鍵となります。
混同注意
複数の抗体が同時に存在する場合、反応パターンが複雑になり、単一の抗体による反応と誤認しやすいです。また、Rh血液型抗体のように複数の関連抗原が存在する場合、どの抗体かを特定するのに迷うことがあります。
次に同じ論点が出たら
同定された抗体が臨床的に意義のある抗体である場合、その抗体に対する抗原陰性の血液製剤を選択する必要があります。また、新生児溶血性疾患のリスクを評価するため、抗体価の測定や他の検査の実施も検討されます。
関連知識
不規則抗体には、Rh、Kell、Duffy、Kidd、MNSs、Lewisなどの血液型抗体が含まれます。臨床的な意義として、輸血副作用(溶血性輸血反応)や新生児溶血性疾患(HDN)の原因となるため、その同定は非常に重要です。同定パネルでは、各抗原の発現頻度や抗体価の強さなども考慮されることがあります。