染色体検査が診断に有用なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Turner症候群は、X染色体の一本欠失(45,X)を特徴とする性染色体異常症です。この染色体異常は核型分析(染色体検査)によって明確に検出できるため、染色体検査が診断において極めて重要かつ直接的な役割を果たします。他の選択肢の疾患は、特定の遺伝子の変異や欠失が原因であり、染色体全体の大規模な変化を伴わないため、染色体検査ではなく遺伝子検査や生化学検査が診断に用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 血友病Aは、X染色体上にある凝固第VIII因子遺伝子(F8遺伝子)の点変異や微細な欠失・挿入などが原因で発症する遺伝性疾患です。このため、診断には主に凝固因子活性測定やF8遺伝子解析(遺伝子検査)が用いられ、染色体の数や構造の大きな異常を検出する染色体検査は直接的な診断には適していません。正しくは:凝固第VIII因子活性測定やF8遺伝子の遺伝子解析が診断に有用です。選びやすい理由:遺伝性の疾患であるため、遺伝子異常全般と混同し、染色体検査も有用だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:広範な意味での「遺伝子疾患」と、染色体レベルの異常を伴う「染色体異常症」とを混同することがあります。
- 2. サラセミアは、ヘモグロビンを構成するグロビン鎖の遺伝子(αまたはβグロビン遺伝子)の点変異や欠失が原因で発症する遺伝性溶血性貧血です。診断にはヘモグロビン分析やDNA診断(遺伝子検査)が用いられ、染色体の数や構造の大きな異常を検出する染色体検査は直接的な診断には適していません。正しくは:ヘモグロビン分析やグロビン遺伝子のDNA診断(遺伝子検査)が診断に有用です。選びやすい理由:遺伝性の血液疾患であるため、漠然と遺伝子レベルの検査すべてが染色体検査と関連すると誤解しやすいかもしれません。混同注意:「遺伝子病」と「染色体病」の区別が曖昧な場合、どちらの検査法が適しているか判断が難しくなります。
- 3. Gaucher病は、ライソゾーム酵素であるグルコセレブロシダーゼの遺伝子(GBA遺伝子)の変異によって酵素活性が低下し、特定の脂質が蓄積する代謝性疾患です。診断には酵素活性測定やGBA遺伝子解析(遺伝子検査)が用いられ、染色体の数や構造の大きな異常を検出する染色体検査は直接的な診断には適していません。正しくは:酵素活性測定やGBA遺伝子の遺伝子解析が診断に有用です。選びやすい理由:代謝異常症であっても、根本的な原因が遺伝子にあるため、染色体検査が関係すると錯覚しやすいかもしれません。混同注意:特定の酵素の欠損による代謝異常症と、染色体の数的・構造的異常による疾患とを混同する可能性があります。
- 4. 正解。Turner症候群は、性染色体異常の一つで、通常はX染色体が一本欠損している(45,X)状態を特徴とします。これは染色体の数異常であり、染色体検査(核型分析)によって容易に診断が確定できます。したがって、染色体検査が診断に最も有用な疾患です。
- 5. フェニルケトン尿症は、フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)遺伝子の変異により、フェニルアラニンの代謝が滞る先天性代謝異常症です。診断には血液中のフェニルアラニン濃度測定やPAH遺伝子解析(遺伝子検査)が用いられ、染色体の数や構造の大きな異常を検出する染色体検査は直接的な診断には適していません。正しくは:血液中のフェニルアラニン濃度測定やPAH遺伝子の遺伝子解析が診断に有用です。選びやすい理由:新生児マススクリーニングの対象となる遺伝性代謝疾患であるため、遺伝学的検査全般が関係すると考えやすいかもしれません。混同注意:遺伝子レベルの変異による代謝性疾患と、染色体レベルの異常による疾患とを混同する可能性があります。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、疾患の病態生理と診断に用いられる検査法の関連性がよく問われます。特に「染色体異常症」と「遺伝子異常症(単一遺伝子疾患など)」の概念を明確に区別し、それぞれに適した検査法(染色体検査 vs. 遺伝子検査、生化学検査など)を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
遺伝子レベルの微細な変異による疾患(単一遺伝子疾患)と、染色体レベルでの数的・構造的異常による疾患(染色体異常症)の診断に必要な検査法を混同しやすいです。前者には遺伝子検査が、後者には染色体検査が主として用いられます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず提示された疾患が「遺伝子レベルの異常」によるものか、「染色体レベルの異常」によるものかを区別します。その上で、それぞれの異常検出に適した検査法(例:遺伝子配列解析、PCR、染色体核型分析、FISH法、アレイCGHなど)を判断する知識が問われるでしょう。
関連知識
染色体異常症には、Turner症候群(45,X)の他に、Down症候群(21トリソミー)、Klinefelter症候群(47,XXY)、Patau症候群(13トリソミー)、Edwards症候群(18トリソミー)などがあります。これらの疾患も核型分析(染色体検査)によって診断されます。染色体検査には、G分染法による核型分析の他に、FISH法やマイクロアレイ解析などがあります。