末梢神経障害を呈するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ギラン・バレー症候群は、感染などを契機に自己免疫機序によって末梢神経のミエリン鞘が障害される疾患であり、急性発症の末梢神経障害を特徴とします。上行性の運動麻痺や感覚障害が典型的です。他の選択肢は、アルツハイマー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、ウィルソン病のいずれも主に中枢神経系を障害する疾患であり、末梢神経障害を主要な病態とはしません。
選択肢ごとの解説
- 1. アルツハイマー病は中枢神経系(脳)の変性疾患であり、記憶障害や認知機能低下が主な症状です。末梢神経障害は通常呈しません。正しくは:中枢神経系の変性疾患である。選びやすい理由:神経変性疾患という共通点から、神経系の疾患として漠然と選んでしまう可能性があります。混同注意:ギラン・バレー症候群のような急性炎症性疾患ではなく、慢性進行性の神経変性疾患であり、病態が大きく異なります。
- 2. クロイツフェルト・ヤコブ病はプリオン病の一種で、急速に進行する認知症や運動失調などを特徴とする中枢神経系の疾患です。末梢神経障害は一般的ではありません。正しくは:中枢神経系のプリオン病である。選びやすい理由:稀な、進行性の神経疾患というイメージから選んでしまう可能性があります。混同注意:ギラン・バレー症候群のような自己免疫性疾患とは病因が全く異なります。神経疾患という大分類で迷うかもしれません。
- 3. 正解。ギラン・バレー症候群は、自己免疫が末梢神経のミエリン鞘を攻撃することで引き起こされる急性炎症性脱髄性多発神経炎であり、末梢神経障害の典型的な疾患です。上行性の運動麻痺や感覚障害を特徴とします。
- 4. パーキンソン病は、中脳の黒質におけるドパミン産生ニューロンの変性によって引き起こされる中枢神経系の疾患です。振戦、固縮、無動、姿勢反射障害などの運動症状が主であり、末梢神経障害は主な病態ではありません。正しくは:中枢神経系の変性疾患(錐体外路疾患)である。選びやすい理由:進行性の神経変性疾患であるため、神経疾患という広い意味で選んでしまう可能性があります。混同注意:末梢神経ではなく、運動を司る脳(大脳基底核)の機能不全による疾患です。
- 5. ウィルソン病は銅代謝異常症であり、過剰な銅が肝臓や中枢神経系(特に大脳基底核)に蓄積することで、肝機能障害や錐体外路症状(振戦、ジストニアなど)を呈します。末梢神経障害は稀にみられることがありますが、主要な症状ではありません。正しくは:主に肝臓と中枢神経系を障害する銅代謝異常症である。選びやすい理由:代謝性疾患が神経症状を引き起こすことを知っていると、選択肢に入れるかもしれません。また、「稀に末梢神経障害を伴う」という知識があると迷う可能性があります。混同注意:代謝性疾患による神経障害という点では似ていますが、本症の主たる神経障害は中枢神経系です。
国試ポイント
神経疾患が「中枢神経系」と「末梢神経系」のどちらを主に障害するかを正確に区別できるかが問われています。代表的な疾患の分類と主要な症状を理解している必要があります。
混同注意
神経系の疾患全般と混同しやすいです。特に、進行性の神経変性疾患や代謝性疾患が、中枢と末梢のどちらに主に影響するかを明確にしておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出た場合、各疾患が「中枢神経」または「末梢神経」のどちらを主として障害するかの分類を改めて確認します。さらに、各疾患の代表的な症状や検査所見についても押さえておくと良いでしょう。
関連知識
ギラン・バレー症候群の病態生理(自己免疫性、ミエリン鞘破壊)、主な症状(上行性麻痺)、原因となる先行感染(カンピロバクターなど)。他の選択肢の各疾患の主要な病態、症状、障害部位(中枢か末梢か)。