骨髄において赤芽球の過形成を呈するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
自己免疫性溶血性貧血は、自己抗体によって赤血球が破壊される疾患です。体内の赤血球が減少すると、骨髄はこれを補うために赤血球の産生を活発化させます。その結果、骨髄では赤芽球系細胞が増殖し、『赤芽球過形成』として観察されます。他の選択肢は、赤芽球の過形成を主とする疾患ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 腎性貧血ではエリスロポエチン産生が低下するため、骨髄での赤芽球系細胞の増殖は抑制され、過形成ではなく低形成を示すことが多いです。正しくは:腎性貧血では赤芽球系の低形成を呈することが多い。選びやすい理由:「貧血」という言葉から、赤芽球に異常がある疾患だと連想しやすいかもしれませんが、本疾患の病態はエリスロポエチン不足による産生抑制です。混同注意:再生不良性貧血のような造血抑制を伴う貧血と混同しやすいかもしれません。
- 2. 骨髄線維症では骨髄が線維化し、造血機能が低下します。これにより汎血球減少や髄外造血が見られますが、骨髄内での赤芽球過形成は一般的ではありません。正しくは:骨髄線維症では骨髄の線維化により造血機能が低下し、赤芽球過形成はみられない。選びやすい理由:骨髄の病気であるため、骨髄の異常増殖と関連があるかのように思われるかもしれませんが、線維化が主病態です。混同注意:他の骨髄増殖性疾患(例:真性多血症、慢性骨髄性白血病)と混同しやすいかもしれません。
- 3. 多発性骨髄腫は形質細胞の悪性増殖であり、骨髄では形質細胞の浸潤が見られます。赤芽球系細胞はむしろ減少することが多く、過形成は通常観察されません。正しくは:多発性骨髄腫では形質細胞の増殖が見られ、赤芽球過形成は通常伴わない。選びやすい理由:骨髄の腫瘍であるため、骨髄に異常増殖があると誤解しやすいです。混同注意:他の血液悪性腫瘍(例:白血病)と混同しやすいかもしれませんが、細胞系が異なります。
- 4. 慢性骨髄性白血病は顆粒球系細胞の著しい過形成と増加が特徴で、赤芽球系の過形成は主たる所見ではありません。白血球(特に好中球系)の異常増殖がみられます。正しくは:慢性骨髄性白血病では顆粒球系細胞の過形成が主徴である。選びやすい理由:「骨髄性」とあるため、骨髄で細胞が過形成を起こす疾患という連想は正しいですが、どの細胞系が過形成を起こすかを正確に理解していないと誤答しやすいです。混同注意:真性多血症(赤血球系)や本態性血小板血症(巨核球系)などの他の骨髄増殖性腫瘍と混同しやすいです。
- 5. 正解。自己免疫性溶血性貧血では、赤血球が早期に破壊されるため(溶血)、それを代償しようとして骨髄での赤芽球産生が亢進します。このため、骨髄穿刺で赤芽球の過形成が観察されます。
国試ポイント
溶血性貧血における骨髄の代償性変化(特に赤芽球過形成)が問われています。各疾患の病態生理と、それが骨髄像にどのように反映されるかを正確に理解しているかが重要です。特に、貧血の原因が「産生不足」なのか「破壊亢進」なのかによって、骨髄の反応が異なる点を理解している必要があります。
混同注意
再生不良性貧血(骨髄低形成)、鉄欠乏性貧血(赤芽球過形成はあるが、異形成を伴う場合がある)、巨赤芽球性貧血(巨赤芽球の出現と赤芽球系細胞の成熟異常)など、他の貧血の骨髄像と混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、貧血の種類とそれが骨髄のどの細胞系にどのような影響を与えるか(過形成、低形成、異形成など)に着目して選択肢を判断する。特に、代償性の造血亢進が起こる貧血(溶血性、出血性)と、造血抑制が起こる貧血(再生不良性、腎性)の違いを明確にする。
関連知識
貧血の分類(形態学的、病態生理学的)、溶血性貧血の診断基準(網状赤血球増加、間接ビリルビン上昇、ハプトグロビン低下、LDH上昇など)、骨髄の造血メカニズム、エリスロポエチンの役割。